バイデン大統領の年頭教書に建設業界が意見

Builderという建設業界の雑誌の2023年2月8日の記事に、バイデン大統領の年頭教書の演説に対し建設業界がコメントを発表しました。毎年年初めに大統領がっ議会で施政方針(State of Union, 年頭教書)を演説します。

日本の総理が頻繁に国会で演説、答弁するのと異なり、アメリカでは(他の西欧諸国もですが)大統領(大臣・長官)は議会で演説することはほとんどありません。議会で演説できる(する)のは議員だけです。議員同士の提案、議論で法案が成立し、それを大統領が署名し法律になります。日本は議員の立法能力は無きに等しく、ほとんどが行政(役人)が法案を作っている特異な政治体制です。

全米住宅建設業協会など住宅建設業界は住宅供給の重要性や中堅所得者が買える住宅の供給政策に重点を置き、議会と共に政策を推進することを表明しました。

日本ですと、どちらかというと、業界は国土交通省に陳情に行ったりする傾向がありますが、欧米では陳情というと立法府の議会、立法責任者の議員に対してが多いです。港区長時代、欧米系の区民と多く交流をしていましたが、彼らも政策課題があると「議員を紹介してくれ」と相談がありました。私は、日本では議員よりも区長、行政が仕切ることが多いので私か担当部長に言ったほうが良いと助言しました。

ゼロカーボン・コンクリート材

AIA(アメリカ建築家協会)の雑誌の紹介です。23年2月7日の記事です。アメリカの最大手の設計事務所SOMと材料メーカーと協力しゼロカーボンの建築材料を開発している。建設業界が排出するCO2は40%。生物(藻)を使い、コンクリートブロックなどを製造知る技術である。高い技術力を持つ日本も大いにCO2を出さない建築材料の開発を期待します。

メンフィス市事件、アメリカは情報公開先進国

 アメリカ、テネシー州メンフィス市で黒人警官5人が職質の過程で黒人に暴行し、死亡させたとして大事件になり、日本でも報道されました。メンフィス市役所警察本部長セレリン・デイヴィス女史が事件の説明の記者会見をしました。本部長は黒人女性です。画像を見ると胸にたくさんの勲章をつけておりましたので、多くの手柄をだした優秀な警察官だったと思います。アメリカの警察組織では上級職という制度はなく、全て巡査からスタートします。彼女の場合、本部長まで上り詰めました。

日本との違いです。アメリカでは事件があると必ず警察のトップが説明します。また、事件現場の映像(警察官がボディカメラを付けています)が公開されます。情報交換が徹底しています。日本も見習うべきです。3,4年前大阪府警の警察署で、留置人が警察署から逃走した事件がありました。大阪でその事件報道がどうだったか知りませんが、大事件にもかかわらず、東京では本部長が謝罪、説明したと言う報道はありませんでした。しかも、事件の直後、本部長は東京に呼び戻され、新しい本部長が就任しまsた。東京の報道では、本部長の退任、就任の報道を見ませんでした。日本的解決です。

日本のマスコミは、アメリカの事件になると、特に、人種問題になると、大騒ぎし、アメリカ社会はひどい、人権問題はひどい、黒人差別だと批判します。しかし、実態は、黒人女性が警察本部長に出世できる自由社会、平等社会と言う報道はありません。黒人女性がハーヴァード大学学長に就任する自由社会だと言う報道はありません。東大は(他の大学も)男性の教員ばかりでs、女性や外国人を排除する閉鎖的組織です。学長も自校出身の男性ばかりが就任する閉鎖的な組織だと批判するマスコミはありません。東大に忖度しているのでしょう。女性を中心に声高に発言しないとこの後30年も50年も閉鎖的、男性優位の日本社会は変わらない気がします。OECDで不名誉な(女性研究者比率最低)再開を継続するのではと恐れています。

パリオリンピック施設マスタープラン担当者ドミニク・ペロー

2024年パリのオリンピックを控え、競技施設の整備がかなり進んでいると思います。施設計画のマスタープランの担当はフランス人建築家ドミニク・ペローです。施設を見学できればと念じております。日本の場合、大型施設の設計は、大学教授の肩書を持つ建築家化建築家が数百人いる大手設計事務所が担当します。日本はそうした権威付けが必要です。

欧米では一匹狼の建築家が国歌プロジェクトを担当します。ドイツのミュンヘンオリンピックのメイン競技場はフライ・オットー親子が担当しました。オットー氏から直接聞いた話「息子と2人で設計活動をしている。」能力に無関係に設計事務所規模や売上高を参考に発注を決める日本社会では、小規模零細規模の設計事務所は排除されます。フィンランドの大統領官邸は、一匹狼建築家のレイマ・ピエティレが担当しました。私は学生時代、ピエティレ氏を訪問、インタビューをしました。(1972年の早稲田建築に寄稿)98年ワールドカップがパリで開催されました。メインスタジアムの設計を担当したのが一匹狼建築家のマッカレー。当時、マッカレー氏の案内で現地視察しました。

1994年パリを訪問した際、元大統領府チーフ・アーキテクト(日本に同じポストはありませんが、あえて言うなら建設大臣)だったベルモン氏曰く「将来のフランス建築界を背負っていくのはドミニク・ペローと紹介され、ペローの事務所にご案内いただきました。ベルモン氏は1980年代、ミッテラン大統領の下、パリの大改造を推進しました。ルーブル美術館のピラミッド形状のエントランス。バスティーユの新オペラ座。デファンス副都心。セーヌ川にせり出した大蔵省。アラブ世界研究所(設計は電通本社ビルを設計した方)、デファンス副都心など今や観光名所となった建築が立地しています。こうした施設はベルモン氏がプロデュ―スしました。観光名所の建築です。日本政府、東京都庁にこうした公共建築をプロデュースできる最高幹部がいるとよいのですが。パリ・オリンピック施設がどのような姿を現すか楽しみです。

アメリカで子育てしやすい州

ニューヨークタイムズ(1月26日)によりますと、某研究機関の調査で子育てしやすい州のランキングが紹介されました。評価項目の分野は健康、治安、医療、犯罪、道路交通の安全性、教育などで、51項目で点数評価しました。その結果、1位から、マサチューセッツ州、2位ミネソタ州、3位ニューヨーク州、4位ノースダコタ州、5位ヴァ―モント州、 最下位から、ミシシッピー州、ニューメキシコ州、ウェストヴァージニア州、ルイジアナ州、サウス・カロナイラ州…です。コロナ禍でリモートワーク、在宅勤務が増えたので、必ずしも勤務地の近くに住む必要性も低下しました。

原田コメント、アメリカはランキングが好きな文化を有する国です。評価点は、何を基準に、それぞれの評価項目に対し何点つけるかによって、結果が異なると思います。また、今回の調査は州単位ですが、自治体毎にランク付けしても面白いと思います。

コロンビア大学、初の女性学長

ニューヨークタイムズの報道によりますと、ニューヨーク市に立地するコロンビア大学の次期学長に初の女性が就任します。ネマト・シャフィーク女史です。女性活躍の海外情報です。その結果、ハーヴァード大学、ダートマス大学、MIT、ペンシルベニア大学、ジョージワシントン大学など歴史ある名門校の学長が女性です。新学長はエジプト生まれ。学歴は、学部はマサチューセッツのアムハースト大学、修士はロンドン経済政治大学院、博士はオックスフォード大学。職歴は、世界銀行副総裁、国際通貨基金副事務局長、英国銀行副総裁、ロンドン経済政治大学学長。家庭は子供2人。

原田のコメント。彼女の現在の国籍は不明ですが、エジプト人。コロンビア大学にとり外国人。学習歴は、欧米では当たり前の、学部、修士、博士と別々の大学で学びました。彼女はそもそもコロンビア大学とは無関係。欧米の大学では利害関係をなくすため、大学教授のほとんどは他校出身者です。私がライス大学留学した時も、指導教官はオーストラリア人、出身大学はメルボルン大学、後年ハーヴァードの大学院長に就任。修士号審査教授は南アフリカ出身、出身大学はハーヴァード大学、後年MITの大学院長に就任。経歴がバラエティに富んでいます。一昨年私が企画と司会進行を仰せつかった女性研究者を増やす目的のシンポジウムに招聘したハーヴァード大学建築大学院院長サラ・ホワイティング女史も、学部、修士、博士と異なる大学で学び、ハーヴァード大学と縁がありませんで、ハーヴァード大学の大学院長に就任しました。トルコのコジャエリ大学の学部長、ネヴニハルエルドーガン女史も、出身大学、職歴は多様で、他大学出身です。

日本では、東大学長は東大卒、日本の教授は、多くの場合、東大教授なら、学部、修士、博士とずーと東大。日本の教授は、世間的に視野の狭い研究者として育ちます。(個人によりますが)他流試合、他領域、他大学との交流はほとんどありません。日本の大学は「師匠と弟子」の関係が長期間続くのが、研究環境。男性指導者の場合、なかなか女性の若手を抜擢するのは難しいでしょう。日本の主要大学で女性学長が登場するのはいつのことか。

日大では田中元理事長が不祥事で逮捕され、退任。その後、小説家の林さんが理事長に就任しました。大学のトップは博士号を持ち、多様な研究機関で多くの実績を有し、かつ、教育政策、教育指導に明るい、高い意識の人物が最適です。林さんの理事長就任は、有名人なら良いと言う安易な日本的判断と思います。

欧米の教授は学生による厳しい評価に毎学期さらされます。評判悪い教授は即解雇です。日本の大学教授は、評価システムがありません。永久就職です。ですから自分の欠点を認識できません。教育・研究方法を改善できません。

教授、学長など「公募」を原則とすべきです。また、毎学期、学生による評価される必要があります。

コロナ患者隔離受け入れ先ホテルの部屋の湿度20%!?健康な室内気候を規制すべき

知人から聞いた話。コロナに罹患し、指定されたホテルで数日間隔離生活となりました。港区内APAホテルです。室内の湿度が20%。浴槽に水をはり、かつ、濡れタオルを室内に干し何とか湿度を確保したそうです。厚生労働省や東京都はコロナ患者を隔離するホテルの湿度について一定水準を維持するよう指導すべきです。

私は1998年東京都庁の依頼で、インフルエンザ予防対策マニュアルを作成しました。室内気候について、22度(高齢者はやや高めがよい)、湿度は40~60%としました。ウィルスは乾燥を好み、乾燥していると、ウィルスは空中を浮遊し、飛散し、感染を拡大する恐れがあります。

コロナ患者を単に隔離すればよい、ということでなく、室内環境を一定水準にした上で隔離する方策をとらなければいけません。室内気候に意識が欠如しているのは危険です。

世界で活力ある都市ランキング

Architecture Dailyという建築・都市の専門誌によりますと(22年7月4日)、22年の世界で最も活力ある都市のランキングが発表されました。調査実施組織はEIU(Economic Intelligence Unit)です。評価の視点は、安定性、インフラ整備状況、健康医療、文化芸術分野です。結果は、オーストリアのウィーンが第一位、以下、コペンハーゲン、チューリッヒと続きます。10位は大阪とオーストラリアのメルボルンです。

一方、最下位は、イランのテヘラン、以下、カメルーンのドゥアラ、ジンバブエのハラレ、バングラデッシュのダッカ、パプアニューギニアのポートモレスビー、パキスタンのカラチ、アルジェリアのアルジェ、リビヤのトリポリ、ナイジェリアのラゴス、シリアのダマスカスです。戦乱、災害、社会不安を抱えた都市です。

森記念財団が毎年世界の都市ランキングを発表しています。データ収集、整理、分析にご苦労が多いと思います。しかし、上記の都市ランキングと比較し、森記念財団の調査結果の違いは、東京、ニューヨーク、パリ、ロンドンの大都市の比較が中心で、その他の都市の比較がされていません。どちらが正しいとかでなく、調査の目的、評価の指標、点数付けで評価が異なると言う点です。

ニューヨーク州議会議員の年俸

各国、各都市の政治家の報酬について関心を持っております。ニューヨークタイムズの12月22日の記事によると、ニューヨーク州議会で議員報酬の値上げを決め、来年度から142,000ドル(現在の交換レイトで約1840万円)とします。全米の州議会議員の中で最も高い額です。

東京都議会議員の年俸は約2000万円。アメリカの議員の仕事は、立法、政策作りです。日本の議会は、行政が作成した法律案や政策を「審議する」ことです。つまり、日本では議員が法案や政策を作ることはほとんどしません。そういう点で、アメリカと日本の政治家の役割、仕事内容が大いに異なります。以前、ブログで紹介しましたが、ニューヨーク市議会議員の年俸は9万ドル(現在の交換レイトで1170万円)(最近の報酬は知りません)国会議員は海外視察をします。都議会議員もニューヨーク市など姉妹都市など視察しています。こうした報酬や議員の仕事ぶりなども大いに調査し、調査内容を日本の議会に活用していただきたい。

ブロードウェイの俳優の給料

以前のブログで、スウェーデンの文化芸術分野の職種の給料を紹介しました。1971年スウェーデンに留学した時に、入手したスウェーデン政府の統計資料です。俳優の給料が高いことに驚きました。組合組織がしっかりしており、俳優の権利を守っていることと思います。

日本では、現在でも、俳優、それに建築家もですが、低い給料、食えない給料の典型的な職業の一つと言われています。ニューヨークタイムズの12月19日の記事によると、ブロードウェイで働く俳優の給料が、雇用者側と俳優側の交渉で合意されました。週給2,638ドルです。現在の交換レイトで日本円で週給34万円です。日本でも、文化芸術の担い手である俳優の給料を適切な水準に決める必要があります。ブロードウェイの俳優の週給を知るにつけ、ニューヨーク市が文化芸術の拠点である理由が納得です。文化庁長官、政治家達はこうした分野の課題にもっと目を向けるべきです。