2025年1月13日東京女子医大理事長岩本絹子女史が背任容疑で逮捕されました。少し前、日大理事長だった田中氏が逮捕されました。欲の皮のつっぱた人物であり、その取り巻きも問題人物たちでした。組織の統治不全でした。世間から見れば、医者、教授、ましてや大学の学長、理事長となれば世間から尊敬、敬意を最大限払われるポストです。岩本氏も田中氏も実態は幼稚園児以下の社会的常識に欠けた人物だったということです。周囲の理事会、教授会も社会の常識が通じない幼稚園児以下の人物だったということです。
欧米の大学では、教授人事は公募が原則、また、自校出身者を採用しません。例えばハーヴァード大学の教授の8割は他大学出身者です。学部長、大学院長、学長も公募です。他から適任者を選びます。一昨年までハーヴァード大学学長はハイチ出身の黒人女性、コロンビア大学学長はエジプト出身の女性です。私が留学したライス大学建築大学院ですが、90年代大学院長に就任したラース・リラップ氏はスウェーデン人、ハーヴァード大学大学院卒、その後カリフォルニア大学バークレー校の教授に就任、ライス大学建築大学院長の公募に応募し選ばれ大学院長に就任しました。氏から聞いた話です。「大学院長のポストに60人の応募があった。」とのことです。ラースの前はイギリス人のアラン・バルフォー氏、その前はイギリスの著名建築家ジェイムス・スターリング氏が大学院長でした。独裁者の存在を認めない、という大学、組織の意思表示でもあります。1954年コロンビア大学創立200年祭でグレイソン・カーク学長が今後の高等教育、コロンビア大学のヴィジョンについて講演しました。そのポイントは、①学歴のエスカレーション、②生涯学習、③コミュニティ教育です。今日の高等教育の状況は、グレイソン・カーク氏が語った通りになっています。従前、大卒(学士)で十分だったのが、産業の高度化などで修士号が必要となる、従前、修士で十分だったのが博士号が必要となる、それから、学習は生涯に亘り必要となる、さらに、地域での学習活動がひつようとなる、との内容です。
日本でも大学の学長、理事長に就任する方は、自分のヴィジョンを明確に語る必要があります。日本の大学では年功序列か利権、名誉を求め学長、理事長になる方がいるのは残念です。