25年5月9日ニューヨークタイムズ記事によりますと、近年のDEI(Diversity, Equity, Inclusion)の潮流に反するように、連邦政府で最高位にいた黒人女性を解任しました。連邦議会図書館(日本の国会図書館に相当)の最高ポストの司書で博士号を持つヘイデン女史です。彼女はDEIを積極的に推進する立場でした。
アメリカでは図書館司書は高度な専門職で修士号以上の専門資格です。連邦議会図書館は議員の立法の支援をする重要な役割を持っています。アメリカでは連邦も州政府も市役所も、法律案は議員が作ります。議員が法律案を作る際、様々な情報、資料を提供し、法案作成に協力するのが議会図書館司書の重要な役割です。日本では議員は議会でイチャモンを付けることがもっぱらの仕事で、法律案を作れる能力のある議員は少数です。欧米では成績優秀者は社会の指導者である政治家を目指します。日本では成績優秀者は医学部を目指します。文化が異なります。連邦議会図書館はアメリカで重要な役所であり、その幹部は重要な役割を果たします。連邦議会図書館の最高幹部は、連邦政府の役人の中でも格が高いポストです。
DEIの流れに掉さす人事政策はいかがかなものかと思います。
トランプ大統領への批判は多いですが、一方、1969年来アメリカでの留学生活を送った立場から理解できる部分もあります。1969年オハイオ州の大学に早稲田大学の交換留学生として留学しました。いわゆるラストベルト(さび付いた地域)を体験しました。オハイオ州周辺のラストベルトの現状を見て、私は1974年フルブライト奨学金を得てサンベルト(暖かな経済発展をしている)の代表的都市のヒューストン市にあるライス大学建築大学院に留学しました。予想は的中。オハイオ州最大の都市クリーブランドは人口減少、一例ですが、ヤングスタウン市も衰退しました。
1975年移民、移住急増の原因で、ニューヨーク市は破産しました。(正確には破産寸前)1990年、ニューヨーク市の殺人被害者は2045人。毎日6人近く殺されるという荒れた状態でした。2013年自動車産業の拠点であるデトロイト市が破産しました。日本車、韓国車などの輸出攻勢が大きな原因です。1998年デトロイト市を訪問しました。中心市街地に人がいません。困った状態と感じました。
製造拠点の国際的役割分担は理論上適切で、お互いに仲良くしウィンウィンの関係なら良いです。しかし、中国は経済大国になり、その資金で軍事的圧力を圧力をかけてくるようになると問題です。トランプ大統領からすると放置できなという判断になりました。第一期トランプ政権の時、トランプ大統領はヒューストンの中国総領事館を「産業スパイの巣くつ」と断定し、閉鎖させました。ヒューストン周辺にはNASA、テキサス医療センター(世界最大)、情報産業、石油産業などの研究、製造拠点があります。世界最先端の研究をしているライス大学やテキサス大学などがあります。
トランプ大統領は一気呵成に現状を変革しようとしていると思います。