カテゴリー別アーカイブ: 国際

世界の活力ある都市ランキング

建築の専門誌Architecture Daily(2022年7月4日)の記事で、都市の安定性、インフラストラクチャーの整備状況、健康福祉、文科系術の成熟度等の観点から評価すると、1位はオーストリアのヴィエナ、2位デンマークのコペンハーゲン、3位、スイスのチューリッヒとカナダのカルガリー、5位はカナダのヴァンクーバー、6位スイスのジュネーブ、7位ドイツのフランクフルト、8位、カナダのトロント、9位オランダのアムステルダム、10位大阪市、メルボルン(オーストラリア)で同率。日本の研究組織も調査研究提案をしていますがどのような観点で評価委するかでその結果は異なります。

アメリカで活力ある都市

ニューヨークタイムズ2024年1月18日の記事によると、新しい産業の時代、いかに都市は繁栄するかと言う内容です。特にフェニックスし、オハイオ州州都コロンバス市、ニューヨーク州のシラキューズ市がセミコンダクターの製造工場など新産業を誘致し、元気があります。また、研究産業で、サンディエゴ(カリフォルニア州)、セントルイス(ミズーリ―州)、オハイオ州のデイトン市などが元気があります。1960年代までオハイオ州は製造業の拠点で特にクリーブランド市は繁栄していましたが、その後衰退しました。オハイオ州のコロンバス市、デイトン市が繁栄しています。新たな産業の拠点州に発展することを期待しています。

CNNニュースで3人のコメンテータ、女性!

1月19日(金)の朝6時半頃アメリカCNNのニュースをたまたま視聴しました。ワシントンは前日の夕方5時半です。トランプ候補がアイオワ州の大会で大勝利を収めた件について3人のコメンテータがコメントしていました。3人とも女性です。おそらく3人はシンクタンクの研究員かCNNの解説委員と思います。(想像ですが)驚きました。というより、驚いてはいけません。日本ですと、政治解説ですと、一例ですが、東大の政治学の男性教授がテレビに出演しコメントします。

アメリカの大学の授業料は年間600万円から800万円です。日本では学生は教授に教えていただくと言う意識ですが、アメリカでは高い授業料を納めるからしっかり知恵を伝授してね、と言う意識です。アメリカの大学には研究室制度はありません。日本は師匠と弟子と言う関係です。学生は高額の授業料を納めていますので必死に教授に食らいつきます。教授も必死に月曜から金曜まで、朝から夕方まで学生を指導しなければなりません。ですからテレビなどに出ている余裕はありません。アルバイトして教育に専念していないと学生から裁判で教授は訴えられてしまいます。教授は常に学生と接していなければなりません。日本では「大学教授は偉い」と言う明治時代の意識、価値観がマスコミも視聴者も抱き、未だに大学教授のコメントはありがたいと言う考えです。日本でもまともなコメンテーターとして女性の専門家がドンドン出てきて欲しいと期待しています。

ロンドンの英国博術館館長公募年収275,000ドルで。

2024年1月10日ニューヨークタイムズの報道です。英国博術館で館長公募しています。年俸275,000ドル、日本円で3850万円(1ドル140円として)です。欧米の博物館では館長は公募が基本。(大学学長、教授も)また、文化芸術分野の専門職の給与は高額です。日本では博物館の規模などにより異なると思いますが、このような高額を払う博物館はないでしょう。文化芸術の発展にはイギリス方式で、優秀な人材の確保、報酬のあり方を考えないといけません。

コロナ患者再び増加

1月10日のニューヨークタイムズの紹介です。アメリカCDC(疾病管理予防センター)の報道で、来週あたり再びコロナ患者が急増する恐れがあるとのことです。全米の下水監視システムで下水中のウィルスを調査した結果です。2022年1月のオミクロンが拡大した時の下水中のウィルスのレベルは基準値より23値が上でした。(基準値の内容については不明)2023年12月30日時点で値は13でかなり高水準です。この数値がかなり増加する恐れがあるとのことです。それに伴い、コロナ患者が急増する恐れがあります。

日本ではいくつかの下水処理場でウィルスの調査をしていますが、アメリカでCDCが報道している内容と比べるとあまり耳にしません。もっと広報すべきと思います。下水の監視システムを増やしてもらいたいと思います。こうした分野にも予算をつぎ込むべきです。国際間の人流が増えていますので、アメリカ(他国でも)で新種のコロナが流行すると日本でも再度流行する恐れがあります。

2024年は財政のイノヴェーションの年?

1月5日ニューヨークタイムズの論説の紹介です。「2024年は財政のイノヴェーションの年?」という内容です。この間コロナの世界的蔓延がありました。コロナ終息後(実際は新たな変異型ウィルスJN1が流行しています)はどういう分野に財政支援がされるかが大きなカギになると言う内容です。日本でも経済再生にどのような分野に集中投資がされるか今後の日本経済の動向に大きな影響を及ぼします。

率直な気持ちですが、今回問題になっている政治資金の裏金問題で名前が出てきた保守系の旦那衆では、従来型の財政運営に終始し、我田引水的な予算の付け方などで、少子化、新しい産業創成などのアイデアが出るとは思えないのが残念です。では、野党は大丈夫かというと同じようなタイプの方も多く見受けられます。

スウェーデンの例です。政治資金の出の報告書は詳細に作成されています。ある国会議員が200円のチョコレートバーを政治資金で買ったとの記載があり、次の選挙で落選しました。国民の目が厳しいと言うことです。一方、日本の国会議員はスウェーデンにも視察で訪れていると思いますが、上記に記載した内容について国会議員は勉強していないのでしょうか、多くは観光見物でしょう。

アメリカ建築家協会会長に黒人女性建築家就任

ニューヨークタイムズの23年11月11日記事で「黒人女性建築家が頑張っている」と紹介されました。アメリカ建築家協会(AIA、アメリカ唯一の専門家組織で、かつ、建築家の試験機関でもあります)の会長に12月からキンバリー・ダウデル女史が就任。40歳。現在大手設計事務所HOKの幹部社員です。40歳の黒人女性がAIA会長に就任するのは大ニュースです。AIA会長は現、前、次期、次次期と4代にわたり女性です。次次期予定者はアジア系女性です。

AIAは166年の歴史があり、白人男性が圧倒的に多い組織ですが、大きな変革が起こりつつあります。アメリカでアフリカ系は13.6%、建築家の1.8%が黒人。そういう点で黒人建築家は極めて少数派です。12万人の建築家のうち20%が女性。0.5%が黒人女性建築家。とりわけ黒人女性建築家は圧倒的に少数派です。

普通の投票なら勝てませんが、会員が社会の動きを認識し黒人女性を会長にしたのでしょう。2年後はアジア系女性が会長です。40歳と言う年齢、黒人、女性がAIAの会長に就任することは革命的なことです。大きく社会が変化しつつあることを意味します。日本では大学も政治も企業も全く変化がありません。特定勢力が既得権にしがみついています。数年後、日本の建築学会など多くの学会で40代の女性が会長に就任することを期待しています。ちょとづつではだめです。一気に変える必要があります。明治革命、戦後の革命も一気に社会を変えました。戦後の新しい地方自治法を作った、後年東京都知事になった鈴木さんは先輩がレッドパージでいなくなり30代で地方自治法を作りました。仕事は実質30代40代が担っています。女性の皆様、特に、若手の助成に頑張っていただきたいと期待します。

ニューヨーク市ロサンジェルス市、公開設計コンペ

ニューヨーク市とロサンジェルス市の公開設計コンペのニュースです。少し前の資料を見つけました。2000年12月30日Architecture Daily誌によりますと、ニューヨーク市役所住宅局はアフォーダブル(低家賃住宅)の1万㎡規模の設計コンペ内容を発表しました。驚きは、少数派や女性が経営する設計事務所の参加を呼び掛けていることです。日本、東京都などでこうしたコンペはありません。

2000年12月初旬、ロサンジェルス市は低所得者住宅の国際コンペを実施、締め切りは翌年の2月末。世界中どなたでも参加できます。日本、東京都などではこうしたコンペはありません。2000年3月にはロサンジェルス市は街路灯のデザインを実施、市長声明で「世界中の建築家、照明デザイナー、電気議事の皆様、ぜひ、街路灯のデザインコンペに参加してください。」と自ら呼びかけの発言をしました。世界中から知恵を求める、公正に素晴らしいデザインを選ぶ方法は好ましいです。

日本、東京ではありません。国際コンペを実施する能力、意識はありません。まず英語ができません。日本の業者選定は入札が原則、能力、経験、アイデアなどは審査対象外です。入札は会計法に基づき、価格競争が原則です。さらに制限付きで会社規模、売上高など必須条件の入札制度はいずれWTO(世界貿易機関)から日本、東京都は閉鎖的で設計業務の市場開放をしなさいと勧告を受けることになるかもしれません。

パリを訪問すると、国立図書館、新凱旋門、新オペラ座、ルーブル美術館ガラスの入口、ラヴィレット公園、パリ音楽院などの公共事業は観光名所でもあり多くの観光客が訪れます。全て国際コンペです。新凱旋門はデンマーク人、ルーブルは中国系アメリカ人、ラヴィレット公園はスイス人、オペラ座はエクアドル系のカナダ人です。パリ郊外にあるユニークな造形の市営住宅はスペイン人(実際の設計担当者はロシア人)です。誇り高いフランス人もよいデザインを選ぶために公正なコンペで、外国人であっても最適の建築家を選びます。

私自身、港区長時代、フランス大使館の建替えの設計コンペの審査員を仰せつかりました。審査のプロセスを体験しました。真剣で、熱心な審査でした。フランスで建築家の役割は設計課題を作る建築家、コンペに参加する建築家、応募案の技術評価をする建築家と3つの役割があることを知りました。

昔の話ですが、カナダのトロント市庁舎はフィンランド人、オランダ、ハーグの市庁舎はアメリカ人、ヘルシンキ美術館はアメリカ人と国籍に関係なく良いデザインを選ぼうと世界中に声掛けします。若手日本人建築家も活躍しています。最近のArchitecture Daily誌によりますと、ロシアのノヴゴロドのドストエフスキー劇場の保全の設計コンペが実施されました。中国、上海の広場の設計もコンペで建築家が選ばれました。共産主義の国でも設計者選定はコンペが多いです。

映画Barbieの紹介、ダイバーシティ・インクリュージョンを示唆

映画Barbieを六本木ヒルズ内の映画館で観賞しました。女性の社会参画のテーマです。ミュージカル仕立てで「バービー人形の世界」(女性が主導する社会)と「現実の世界」(男性が支配する社会)の2つの異次元をコミカルに表現し、最後は結論の場面です。結論のセリフはマイノリティと思われる中学生くらいの女の子とその母親役が発言することが面白いです。

最近の映画の特徴は多様性です。キャストは白人、黒人、インディアン、中東系、アジア系など様々です。以前ハリウッド映画というと、白人の美男、美女の俳優ばかりでした。また、体形も標準から太った方、妊婦さんなど様々です。妊婦ということでは、最近のハーヴァード大学建築大学院の教授募集に、妊婦さんも応募してください、と記載されていたことに時代の変化を感じました。現実社会のバービー人形の製造会社の役員会は全て男性で、その様子を面白く描いていました。

本当のインクリュージョンがビジネスを発展させる

Bond Buyer誌の10月10日号に(口先だけでなく)本当のインクリュージョン(包摂性)がビジネスを前に進めることができると言う調査結果の紹介記事です。Bondは債権のこと、アメリカでは地方自治体が自らの責任のおいて債権を発行し、財政状況を判断し、行政を運営しています。債権に関する情報誌です。

ある調査で、ダイバーシティ(多様性)、インクリュージョン(包摂性)、イクイティ(公正性)は労働者が高い生産性を生み出すためにも重要な要素であり、組織に最大の利益をもたらすとのことです。日本の特に、高齢の指導者たちは分かっているのかなーと疑問を感じます。私も高齢ですが。こうした報道に接すると、最近のジャニーズ問題、最近までジャニーズをよいしょしてきたマスコミ、また、ビッグモータースとそれとつるんでいた損保ジャパン、少し前の理事長が逮捕された日大、「俺の女になれ」と学生に迫った早稲田大学文学部の教授など残念な事件報道がありました。トップはBond Buyer誌で紹介されたような内容を自ら宣言し、リーダーシップを発揮しなければなりません。港区長を経験し、また、海外も経験した立場から、日本は「闇」の部分が多いです。教授人事でも、欧米は数十年前から公募です。日本の大学は「闇の世界」で人事が決まります。大学こそDEI(ダイバーシティ、イクイティ、インクリュージョン)を実践すべきです。