カテゴリー別アーカイブ: 評論

本当のインクリュージョンがビジネスを発展させる

Bond Buyer誌の10月10日号に(口先だけでなく)本当のインクリュージョン(包摂性)がビジネスを前に進めることができると言う調査結果の紹介記事です。Bondは債権のこと、アメリカでは地方自治体が自らの責任のおいて債権を発行し、財政状況を判断し、行政を運営しています。債権に関する情報誌です。

ある調査で、ダイバーシティ(多様性)、インクリュージョン(包摂性)、イクイティ(公正性)は労働者が高い生産性を生み出すためにも重要な要素であり、組織に最大の利益をもたらすとのことです。日本の特に、高齢の指導者たちは分かっているのかなーと疑問を感じます。私も高齢ですが。こうした報道に接すると、最近のジャニーズ問題、最近までジャニーズをよいしょしてきたマスコミ、また、ビッグモータースとそれとつるんでいた損保ジャパン、少し前の理事長が逮捕された日大、「俺の女になれ」と学生に迫った早稲田大学文学部の教授など残念な事件報道がありました。トップはBond Buyer誌で紹介されたような内容を自ら宣言し、リーダーシップを発揮しなければなりません。港区長を経験し、また、海外も経験した立場から、日本は「闇」の部分が多いです。教授人事でも、欧米は数十年前から公募です。日本の大学は「闇の世界」で人事が決まります。大学こそDEI(ダイバーシティ、イクイティ、インクリュージョン)を実践すべきです。

ノーベル経済学賞ゴールディン教授の研究、女性の働き方

ニューヨークタイムズの23年10月11日の記事の概要紹介です。ハーヴァード大学教授のゴールディン女史は、「過去50年間、女性の役割が社会・経済を変えた、いかに女性が教育分野で男性を凌いだか、労働市場に流入したか、仕事の中で意義を見つけたか、しかし、給与、組織での立ち位置、最高幹部のポストなどの観点から女性が遅れた立場に置かれているか、それは女性の責任ではない、なぜなら働き方の構造がそうした問題の原因だ、もし、労働者が働く場所、働く時間をコントロールできればこうしたギャップは無くなる」と研究論文で主張しました。大きな変化は、ゴールディン教授曰く「静かな革命」は1970年で、女性労働の反曲点でした。当時の女性は高学歴を求めはじめ、結婚を遅くし、出産年齢も遅くなりました。ピルの承認、普及も原因の一つと挙げています。ノーベル経済学賞で女性受賞者は初。ジェンダーギャップを止めるためには働き方をフレキシブルにする必要があります.

翌12日ノーベル経済学賞のクルグマン教授の論説が掲載されました。クルグマン氏は女性の社会参画を変えた一要因として「ピル」を挙げました。ピルが女性のキャリアや結婚の決定の力となりました。1960年代、女性の労働期間は男性の半分でした。2000年労働のジェンダーギャップは3/4は排除されました。2006年ゴルディン教授の著書で、冷蔵庫、洗濯機などの技術が女性の結婚や労働観を変えたと指摘「技術の重要性」を指摘しました。1970年前後、静かな革命が発生したと指摘しました。地道な調査研究で実態を明らかにし、ノーベル賞と言う形で評価されたのは何よりです。

テンプル大学日本校の活動紹介

テンプル大学はペンシルベニア州立大学で歴史伝統ある大学です。40年位前日本に進出、日本校が開学されました。しかし、文部省の頑なな政策(海外の大学の市場開放を認めないと言うことです)(仮にハーヴァード大学が日本校を開設したら多くの優秀な日本人学生が、日本の大学でなくハーヴァード大学日本校に入学する可能性が大です)で、テンプル大学は大学、学校として認可されず、単なる私塾扱いでした。港区長時代、私が東京都庁の私学部長に掛け合い、東京都認可の各種学校にしてもらいました。学割が発行可能となりました。テンプル大学日本校の学長、アメリカ大使館の教育担当の一等書記官が区長室にすっ飛んできて、お礼を言われました。たまたま、学長はタフツ大学フレッチャースクール(外交防衛の専門大学院)卒、一人の一等書記官も同様。フレッチャースクールに長年の交流があるペリー教授がおられ、お二人ともペリー教授の弟子と言うことが分かり、話しが弾みました。テンプル大学日本校は私の区長時代港区内にありました。日本人では国連の事務次長を務めた明石氏がフレッチャースクールの卒業生です。テンプル大学日本校は、今は世田谷区に立地しています。移転の理由は不明ですが、私が港区長だったら「港区に居て下さい」と強く要請したと思います。現区長は海外事情について全く意識、理解がありません。残念です。

前置きが長くなりましたが、テンプル大学は毎週市民講座を無料で開催しています。英語の講義です。英語の勉強と同時にテンプル大学教授が研究している内容の公開です。最近の社会問題、国際問題についても講義が公開されます。日本の大学でこのような質と量で地域サービスをしている大学はありません。

オハイオ州ウースター大学の多様性、差別・ハラスメント禁止

アメリカ、オハイオ州にあるウースター大学(The College of Wooster)の同総会誌記事の紹介です。ウースター大学に1969年早稲田大学交換留学生として留学、1年間過ごしました。クリーブランドから南へ100キロ程度、人口2万人の小都市に立地する大学です。リベラルアーツと称する全寮制の一般教養大学です。当時の学生規模は1300人程度、現在は2000人程度。早稲田大学は意図的にこうした小都市に立地する大学に交換留学生を派遣しました。地方都市を体験しろ、勉強に専念しろ、友達作れという意図だったと思います。ウースター大学から定期的に同窓会誌が送付されます。

最近号に重要な情報が記載されていました。大学の理念として「差別禁止」、「ハラスメント禁止」を掲げています。日本の大学も同じような思想を掲げるべきです。

もう一つは多様性です。人種の多様性、留学生の国籍の多さで高く評価されています。ニューヨークタイムズで多様性で2位にランクされました。今回の同総会誌の記事で、プリンストンレビューの引用で、ウースター大学はいくつかのカテゴリーで上位にランクされています。日本の大学経営者はこうしたアメリカの大学の運営を参考に大学改革をすべきです。

イリノイ工科大学(IIT)学科長ヴェネゼラ出身の女性建築家就任

アメリカ建築家協会誌(AIA)9月26日の記事の紹介です。イリノイ工科大学のランドスケープ・都市計画学科長にマリア・ヴィラロボス女史が就任しました。IITはシカゴ市に立地、世界三大建築家の一人ドイツ生まれのミース・ファン・デル・ローエがナチを嫌いアメリカに移住し、IITの大学院長に就任、発展させた大学です。ヴィラロボス女史はIITで初のヒスパニック系の幹部教員です。彼女自身が就任したことで、IITの「イクイティ、正義」を教科内容に反映させることができます。彼女はヴェネゼラ生まれ、2019年IITの教員に就任、2023年准教授に昇格、今回学科長に就任。彼女はシカゴ市の都市計画にも大いに貢献しました。専門領域で様々な受賞歴があります。日本の大学、企業も「イクイティ、正義」を大学経営理念、企業の経営理念に取り入れるべきです。

テキサス大学アーリントン校建築大学院長公募

イギリスの建築雑誌DZの23年10月配信記事にテキサス州立大学アーリントン校の建築大学院長の公募広告がありました。テキサス州ダラス近くにに立地するテキサス州立大学の一つです。学生数4万人です。アメリカ連邦政府から「ヒスパニック系、アジア系アメリカ人、インディアン(先住民族)、太平洋諸島のアメリカ人学生の支援」のモデル大学に指定されています。応募の条件は専門知識と社会常識の2分野です。

一つは専門知識や資格の有無です。専門的資格、経歴、受賞歴などです。革新的な建築・インテリア教育の能力、カリキュラムの改革、組織の発展、組織文化を構築する能力、卓越したコミュニケーション能力が要求されます。

もう一つの条件は社会常識、これは日本では見られない内容です。日本の大学も大いに採用すべきです。不当な差別(ハラスメント、人種、民族、宗教、年齢、性別、性的し好、妊婦、障がい者など)を許さないと言うことの理解、認識が問われています。何らかの障害があれば大学が支援する、と記載されています。企業でも共有すべき内容ですが、日本の大学管理者、経営者がこうしたことを理解しているのか疑問です。日本の大学も公募(形だけでなく本当の公募)を採用すべきです。

日本の大学教員は公募でなく特定の教授からお声をかけていただく人事です。読売新聞10月26日に元上智大学学長の石沢良昭氏の「時代の証言者」で「地方の大学に出張の度にこんな院生がいますから是非使ってやってくださいと売り込みます。」

女性建設労働者を増やすため、アメリカBuildersの記事

アメリカのBuildersという住宅建設の業界紙を読んでいます。10月号に女性の建設労働者を増やすための論説記事がありました。寄稿者は某住宅建設会社の女性社長です。

女性建設労働者が増えつつあります。また、女性建設労働者を受け入れる余地があります、と言う内容です。彼女のコメント概要の紹介です。1 自分が仕事を始めた80年代、女性はほとんどいなかったが、今、女性建設労働者が増えつつある。2 2016年から2021年の間32%増えた、3 建設労働者(管理職含め)の83%が男性で、まだまだ女性が増える余地がある。4 女性の応募者を増やすカギは次のとおり。①女性労働者のための指導員を増やす、②女性労働者が働ける環境を整備する、③フレキシブルな働き方を整備する、④安全を確保する、⑤女性労働者を支える組織を整備する、の5点です。以上5つの鍵は建設分野の女性労働者ばかりでなくあらゆる分野に共通する内容です。

AIA(アメリカ建築家協会)サステイナブルデザインの専門家紹介。多い女性、民間人

AIA(アメリカ建築家協会)誌の10月2日配信の記事です。今の時代重要なサステイナブルデザインの専門家紹介です。10名が紹介されています。内、女性建築家が6名です。また、10名の内、9名が設計事務所勤務の方で大学教授は1名です。日本ですとこの手の専門記事の場合、登場するのは男性、大学教授が圧倒的に多いです。民間に優秀な人材が多くいますが。

30年前、恩師である建築家菊竹清訓氏と大成建設のS社長を訪問した際の会話を今でも覚えています。社長は菊竹先生の同級生、菊竹先生が国際会議の応援を依頼し、社長から即「承知」と回答があった後、面会予定時間の残りの時間を、S社長は母校である早稲田大学建築学科からの学会論文、博士論文の少なさを率直に批判、「わが社の研究所の方が学会論文、博士論文は多い。大学の研究は遅れている。」との内容でした。

カリフォルニア大学バークレー校求人広告、DE&Iの小論要求

Dezeenというイギリスを中心とする建築専門誌があります。その中に求人広告も掲載されています。目を引いたのは名門大学の一つカリフォルニア州立大学のバークレー校建築学部の助教授募集の広告です。応募の際、履歴書、実績証明書類の提出は当然ですが、さらに応募者が「ダイバーシティ」(多様性)、「イークイティ」(公平性)、「インクルージョン」(包摂性)についてどう考えているか書きなさいと要求事項があります。ついに出たかと言う印象です。

日本の大学、企業、公務員試験でも、採用の際必ず要求すべき項目です。特に男性に対し「私はセクハラ行為をしません、パワハラ行為をしません。」と誓約させるのも一つの手です。さらに、日本の大学教授の一部にはアルバイトが過ぎる方がいます。また、マスコミも愚かだから「大学教授」と言う肩書、権威に拘り、テレビなどにコメンテーターで出演させます。極端に週一回出講し、後はアルバイト三昧と思われる教授もいます。アメリカの大学教授は教育、研究に専念ですから、アルバイトはほとんどできません。アメリカのテレビで、コメンテーターは民間企業の専門家、専門のコンサルタントなどです。大学教授採用の際、「アルバイトしません。」と誓約させるのも大切です。日本の大学の評価が低い理由の一つです。

世田谷区新庁舎建設、半年遅れ 監査は機能しなかった

5月31日の新聞報道で、世田谷区役所の新庁舎の建設工事、第一期工事の竣工予定が9月までだったのが半年延期になるとのことです。以前本欄でも書きましたが、町田市の図書館が工期3か月遅れで施工した東急建設は1年間の指名停止処分を受けました。単純に二倍の2年間の指名停止処分に値すると思います。それと気になるのが、監査委員の監査体制です。工事が適切に進んでいるか、お金がが適切に使われているかチェックするのが監査事務局の仕事です。監査委員も同様に責任があるということです。