カテゴリー別アーカイブ: 教育

メンフィス市事件、アメリカは情報公開先進国

 アメリカ、テネシー州メンフィス市で黒人警官5人が職質の過程で黒人に暴行し、死亡させたとして大事件になり、日本でも報道されました。メンフィス市役所警察本部長セレリン・デイヴィス女史が事件の説明の記者会見をしました。本部長は黒人女性です。画像を見ると胸にたくさんの勲章をつけておりましたので、多くの手柄をだした優秀な警察官だったと思います。アメリカの警察組織では上級職という制度はなく、全て巡査からスタートします。彼女の場合、本部長まで上り詰めました。

日本との違いです。アメリカでは事件があると必ず警察のトップが説明します。また、事件現場の映像(警察官がボディカメラを付けています)が公開されます。情報交換が徹底しています。日本も見習うべきです。3,4年前大阪府警の警察署で、留置人が警察署から逃走した事件がありました。大阪でその事件報道がどうだったか知りませんが、大事件にもかかわらず、東京では本部長が謝罪、説明したと言う報道はありませんでした。しかも、事件の直後、本部長は東京に呼び戻され、新しい本部長が就任しまsた。東京の報道では、本部長の退任、就任の報道を見ませんでした。日本的解決です。

日本のマスコミは、アメリカの事件になると、特に、人種問題になると、大騒ぎし、アメリカ社会はひどい、人権問題はひどい、黒人差別だと批判します。しかし、実態は、黒人女性が警察本部長に出世できる自由社会、平等社会と言う報道はありません。黒人女性がハーヴァード大学学長に就任する自由社会だと言う報道はありません。東大は(他の大学も)男性の教員ばかりでs、女性や外国人を排除する閉鎖的組織です。学長も自校出身の男性ばかりが就任する閉鎖的な組織だと批判するマスコミはありません。東大に忖度しているのでしょう。女性を中心に声高に発言しないとこの後30年も50年も閉鎖的、男性優位の日本社会は変わらない気がします。OECDで不名誉な(女性研究者比率最低)再開を継続するのではと恐れています。

コロンビア大学、初の女性学長

ニューヨークタイムズの報道によりますと、ニューヨーク市に立地するコロンビア大学の次期学長に初の女性が就任します。ネマト・シャフィーク女史です。女性活躍の海外情報です。その結果、ハーヴァード大学、ダートマス大学、MIT、ペンシルベニア大学、ジョージワシントン大学など歴史ある名門校の学長が女性です。新学長はエジプト生まれ。学歴は、学部はマサチューセッツのアムハースト大学、修士はロンドン経済政治大学院、博士はオックスフォード大学。職歴は、世界銀行副総裁、国際通貨基金副事務局長、英国銀行副総裁、ロンドン経済政治大学学長。家庭は子供2人。

原田のコメント。彼女の現在の国籍は不明ですが、エジプト人。コロンビア大学にとり外国人。学習歴は、欧米では当たり前の、学部、修士、博士と別々の大学で学びました。彼女はそもそもコロンビア大学とは無関係。欧米の大学では利害関係をなくすため、大学教授のほとんどは他校出身者です。私がライス大学留学した時も、指導教官はオーストラリア人、出身大学はメルボルン大学、後年ハーヴァードの大学院長に就任。修士号審査教授は南アフリカ出身、出身大学はハーヴァード大学、後年MITの大学院長に就任。経歴がバラエティに富んでいます。一昨年私が企画と司会進行を仰せつかった女性研究者を増やす目的のシンポジウムに招聘したハーヴァード大学建築大学院院長サラ・ホワイティング女史も、学部、修士、博士と異なる大学で学び、ハーヴァード大学と縁がありませんで、ハーヴァード大学の大学院長に就任しました。トルコのコジャエリ大学の学部長、ネヴニハルエルドーガン女史も、出身大学、職歴は多様で、他大学出身です。

日本では、東大学長は東大卒、日本の教授は、多くの場合、東大教授なら、学部、修士、博士とずーと東大。日本の教授は、世間的に視野の狭い研究者として育ちます。(個人によりますが)他流試合、他領域、他大学との交流はほとんどありません。日本の大学は「師匠と弟子」の関係が長期間続くのが、研究環境。男性指導者の場合、なかなか女性の若手を抜擢するのは難しいでしょう。日本の主要大学で女性学長が登場するのはいつのことか。

日大では田中元理事長が不祥事で逮捕され、退任。その後、小説家の林さんが理事長に就任しました。大学のトップは博士号を持ち、多様な研究機関で多くの実績を有し、かつ、教育政策、教育指導に明るい、高い意識の人物が最適です。林さんの理事長就任は、有名人なら良いと言う安易な日本的判断と思います。

欧米の教授は学生による厳しい評価に毎学期さらされます。評判悪い教授は即解雇です。日本の大学教授は、評価システムがありません。永久就職です。ですから自分の欠点を認識できません。教育・研究方法を改善できません。

教授、学長など「公募」を原則とすべきです。また、毎学期、学生による評価される必要があります。

ハーヴァード大学学長黒人女性就任

12月15日のニューヨークタイムズ(その他主要紙ワシントンポスト、ボストングローブ誌等)によると、次期のがハーヴァード大学学長にクローディン・ゲイ女史が就任予定。黒人で初、女性で2人目です。彼女は現在同大の科学人文学部長。先祖はハイチからの移民。彼女は1988年フィリップス・エクセター大学卒。スタンフォード大学で経済の修士号。その後、ハーヴァード大学学長で博士号。ハーヴァード大学の教授になる前はスタンフォード大学で准教授。最近お隣のMITも女性学長が誕生しました。いつも書きますが、アメリカの大学教授の学歴、経歴は多様です。日本では東大教授は東大卒、早稲田大教授は早稲田卒、外の社会を経験したことがない方が卒業した大学の教員になります。

日本の主要な大学で女性学長がいつ誕生しますか?私の生きている間に誕生するのでしょうか?日本の大学教員の人事は水面下の談合人事。誰がどのように決めているのか不明です。一部の男性が支配する社会。密室の談合で選ばれた教授がテレビで専門家として「政府は(不祥事を起こした企業は)情報を公開せよ」などと偉そうにの賜っています。

ライス大学の評価

アメリカはランク付け、評価が大好きな国です。最近のUSNews & World Reportsによると、ライス大学は全米で15位にランクされたとのことです。おそらく小規模総合大学(宇宙工学から音楽部もあります)ではトップと思います。(建築大学院の学生数は75人です。ちなみにハーヴァード大学建築大学院の学生数は600人)また、別の評価方法で、「ベストヴァリュー」の観点から6位、さらに、卒業生の借金が最も少ない(アメリカでは学生はローンを借りて授業料を支払い、返済は出世払いが一般的です)観点から3位に位置付けられています。ライス大学は豊富な奨学金提供でも知られています。テキサス州内の大学ではトップです。ランク好きのアメリカならではのランクの発表でした。

博多高校剣道部顧問卑怯者。管理能力なき校長は辞任せよ。

11月初旬の報道で、福岡市の私立博多高校の女子生徒が剣道部の指導員の不適切な指導が原因で自殺したとのこと。校長の管理能力、事件後の対応方法の不適切さに、衝撃を受けました。このようなレベルの校長に高校生の教育を任せられません。公開の場で堂々謝罪し、自分の管理能力の至らなさを反省すべきです。また、剣道の指導員2人が暴力や罵倒を繰り返したとのこと。指導員は剣道家に相応しくない人物。自分の能力に自信がないから暴力をふるい、罵倒を繰り返し、剣道部員を支配したのでしょう。指導員の経歴、実績を明らかにしてもらいたいです。剣道家なら正々堂々、公開の場で説明謝罪すべきです。こそこそ雲隠れ。卑怯者です。

時々スポーツで暴力沙汰事件が報道されます。指導員に対し指導方法を教える授業を作るべきです。文部科学省や関連の団体は結果を出していません。日本で最も遅れている分野です。有名な若手スポーツ選手がアメリカなどにスポーツ留学します。アメリカなどでは、スポーツ教育の方法論が確立されています。また、人権重視の国ですから、暴力、罵倒などはご法度です。指導者は告訴されます。日本のスポーツ分野の指導者の指導力のレベルの低さにいつもがっかりさせられます。

パリのピアノコンクール(ロンティボー)で日本人優勝

11月14日の報道で、パリで開催されたロン・ティボー国際音楽コンクールのピアノ部門で日本人の亀井聖矢さん(桐朋学園4年生)と韓国のイ・ヒョクさんが優勝、重森光太郎さんが4位に入賞したとのことで、日本人として喜ばしいことです。ブログで何回か書きましたが、欧米では良いものは良いとして国籍差別や人種差別は感じられません。審査員の構成も中立、まじめな方々が務めているのでしょう。古くは小澤征爾がコンクールで優勝したり、比較的最近では辻井伸行がコンクールで優勝したり。

日本では、学閥や師匠と弟子の関係で入賞者が決まることが多いように感じます。以前も書きましたが、台東区が主催する奏楽堂コンクールで、以前は芸大名誉教授の平野氏が審査員を務め、特定の方が入賞していたようです。主催者の台東区の幹部からも審査がおかしいと感じたと証言がありました。平野氏は2013年2月週刊新潮で弟子のオペラ歌手を愛人にしていると書かれました。要は愛人の弟子、または、弟子の愛人を入賞させたり、公正な審査でないようです。日本の文化芸術レベル、芸大のレベルはこの程度と考えたほうが良いかもしれません。多くの意欲ある日本人が海外に行き挑戦する気持ちが分かります。奏楽堂のコンクールのようなことをしていたら、いつまでも日本の芸術文化レベルは三流で、海外から見向きもされなくなります。

MIT学長、女性就任

10月20日ニューヨークタイムズによりますと、MITはサリー・コーンブルース女史(61歳)、現デューク大学学長を次期MIT学長に任命しました。細胞生物学の専門家です。就任は23年1月です。学部はウィリアムズ・カレッジ卒、ロックフェラー大学で分子腫瘍学の博士号を取得、その後、デューク大学で教授に就任しました。MIT学長就任にあたり、黒人、メキシコ系、女子学生の比率を高めると語りました。

現在MITの学部の男女比は、51.9%、48.1%(学部総員は4638人)ですが、将来、理系女子学生をさらに増やすとのことです。

原田敬美のコメント:日本の大学と比較し、指導的立場の大学の学長に女性が就任したことは素晴らしいことです。黒人、メキシコ系の学生を増やすことを公約に挙げ、さらに、女子学生、女性研究者を増やすとのことです。

コーンブルース女史の経歴ですが、日本の大学教授は学部、修士、博士とほとんど同じ大学で学びさらに同じ大学で教員に就職することが多いですが、学部、博士号を取得した大学はそれぞれ異なり、就職した大学も異なります。それが欧米流の学び方であり、また就職の仕方です。多くの異なる環境に身を置き、多様な経験を積むということです。

日本の大学の学長や理事など、ぜひ、MITの女性学長のかじ取りを学んでほしいです。さらに、日本の大学でも同様の大学運営方法を実践していただきたいと思います。

東京医科歯科大・東工大の統合 運用の改革が必須、欧米の大学の運用を見習え

8月8日の報道で東京医科歯科大学と東工大が統合し、先端研究を充実「卓越大」指定を目指すとのことです。意欲的なことと思います。と同時に、大学の運用を根本的に改革しなければ単なる合併で終わる恐れがあります。

アメリカの大学に2度留学し、アメリカの大学の運営を体験しました。日本の大学の運営と似て非なる内容です。欧米の大学運営を参考にしなければ世界の中で生き残れません。

欧米の大学と比較して日本の大学の運営の特質についてです。日本の大学は各部門ごと、研究室ごと「タコつぼ型」で閉鎖的で、横の連携が欠けています。アメリカの事例です。私が50年前留学したライス大学建築大学院の事例です。建築だけでなく、ビジネス(建築設計事務所の運営、都市開発などはビジネスの知識が必要です)の授業も取ることができ、建築の修士号とビジネスの修士号(MBA)を同時に取得できました。また、病院建築の研究をしたい学生はライス大学に隣接するテキサス・メディカルセンター(世界最大の医療複合施設)にある医科大学で公衆衛生学などの授業を取り、建築修士号と公衆衛生学の修士号を同時に取得できました。最近ハーヴァード大学公衆衛生大学院に留学した医師の話を聞きましたら、ハーヴァード大学のビジネススクールの授業も取り、また、お隣にあるMITの機械(医療器械)の授業も取得でき、驚きだったとのことです。

第2に教授の人事です。日本では教授の採用は「公募」でなく「水面下」「上司の指名制」です。先輩教授が人事権(ある種の利権)を握り後輩を教授に指名する方式です。年功序列、終身雇用です。欧米の大学の人事をみると、公募が原則で、専門誌に教授の募集広告が掲載されています。大学は原則自校出身者を採用しません。教員の8割は他大学出身者です。教授は5年から10年で他大学、他分野へ異動します。ライス大学で私の指導教官だったピーター・ロウはオーストラリア人で40歳でハーヴァード大学建築大学院の学科長に転出、45歳で大学院長に就任しました。私の修士号審査教授だったアデール・サントス女史は南アフリカ出身でハーヴァード大学大学院卒、ライス大学教授からカリフォルニア州立大学サンディエゴ校の大学院長に異動、その後MITの大学院長に就任しました。同じ人間が同じ大学に居続けると権力者になり、研究の自由が脅かされる恐れもあります。現ハーヴァード大学建築大学院院長のサラ・ホワイティング女史は学部、修士、博士とそれぞれ別々の大学を卒業し、その後ライス大学建築大学院長を勤め、3年前にハーヴァード大学建築大学院長に異動しました。90年代ライス大学建築大学院長だったラース・リラップはスウェーデン人、ハーヴァード大学建築大学院卒で、カリフォルニア州立大学バークレー校の教授を勤め、その後ライス大学建築大学院長に就任しました。院長のポストに60人の応募があったと聞きました。トルコのコジャエリ大学の建築学部長だったネヴニハル・エルドーガン女史は、イスタンブール工科大学出身、トラキヤ大学、エディルネ大学の教授を歴任、コジャエリ大学に異動し、学部長に就任し、退任後、現在は教授を務めています。公平な競争原理、公募、多様性が重要視されています。大学院長に就任する年齢は40代から50代、最も元気な時です。日本では年功序列で定年近くで学部長、大学院長、学長に就任します。60代後半で半分枯れかかった方が最高幹部では世界的な競争に勝てません。

第3に教授と学生の関係です。日本の大学は師匠と弟子の関係です。欧米の大学は対等、教える側と学ぶ側と言うドライな関係です。アメリカの大学で一番驚いたのは学期ごとに学生が教授の授業内容を評価することでした。高い評価の教授は給与も上がり、首がつながり、一方、評価の低い教授は解雇されます。日本の大学では、卒業研究と称し、教授の指示で教授のためのデータ集めといったお手伝いをさせられます。授業料を納めているのに指導の名目で無償で教授のお手伝いです。欧米の大学ではありえません。授業料を納め、教授から知的内容を学び取ると言う姿勢です。もし、教授が学生に何らかの手伝いをさせたらそれは「有償」になります。アメリカなら教授が学生にデータ集めさせたら、学生は教授や大学を訴えるでしょう。

日本の大学教育は文部科学省が箸の上げ下げまで管理します。アメリカの大学は連邦政府の関与はなく、自主独立です。大学の自治で運用されます。

最近日大の理事長が検察に逮捕されると言う事件がありました。日本の大学のガバナンス、理事会、評議員会が機能しなかった証です。世間的には評価の高い医学部長やマスコミなどで社会問題のコメントをする法学部長など社会的にバカだったということです。公正、適切なガバナンスの運用ができて初めて一人前の組織です。東京医科歯科大学と東工大の統合に際し、欧米の大学の運用を見習って全く新たな組織が生まれ、世界の学問の競争を引っ張ってくれることを期待します。

ハーヴァード大学公衆衛生大学院、女子学生比率、他大学とのコラボ

7月30日(土)私が一部ですが企画した勉強会。ハーヴァード大学公衆衛生大学院に留学したOさん(医師、医学博士)に講義していただきました。Oさんは既に日本で医師と医学博士を取得されている方ですが、公衆衛生に関心を持ちハーヴァードに留学し、公衆衛生(Public Health)の修士号を取得しました。立派な心掛けです。たまたま留学中にコロナ禍のパンデミックとなり公衆衛生の重要性が認識されました。

ハーヴァード大学公衆衛生大学院での女子学生比率は6割、学生は大学生時代様々な分野で学んだ方々です。ハーヴァード大学公衆衛生大学院のみならず、欧米の大学教育の分野の広さ、多様性があります。日本の大学と大いに違います。

Oさんは、ハーヴァード大学公衆衛生大学院に籍を置きながら、隣のMITで医療工学の授業を正式の単位として取得できました。また、ハーヴァード大学のビジネススクールの授業も取り、医療ビジネス、起業の方法(医療ヴェンチャー)などの授業も正式の単位として取得しました。

大学の中で異なる学部同士のネットワーク、他大学とのネットワーク、他分野とのネットワーク、留学生同士のネットワークなど日本では考えられないネットワークができたと喜んでいました。

日本の大学は「タコつぼ型」です。他大学とのコラボはありません。まして、同じ大学の他の学部の授業を正式な卒業単位として認めるこてゃほとんどないと思います。医学部であれ、工学部、理学部であれヴェンチャーを教える大学はないでしょう。日本の教授たちは明治時代の意識で、ヴェンチャーなどの発想はありません。逆に、ヴェンチャーなど邪悪な物と思っているかもしれません。(一部例外の教授もいますが)この程度の意識の大学、また、ヴェンチャーに資金提供しない銀行で、日本では新しい産業は起こりにくいと思います。

私が50年前ライス大学建築大学院に留学した時、既に建築と公衆衛生の2つの修士号を取得できるダブルディグリー・コースがありました。医療分野はライス大学の隣にあるテキサスメディカル・センター(世界最大の医療センター)にある複数の医科大学などの授業を取ります。病院建築の専門の建築家の養成です。また、ビジネススクールとの連携で、建築の修士号とMBAの二つの修士号を同時に取得できるコースもありました。建築は都市開発、不動産開発と関連しますので経営学の知識が必要で、こうした分野に進みたい方には最適なコースです。

さらに、知人の留学の話。パリ大学とロンドン大学のコラボで、1年づつ各大学院で学ぶと同時に二つの大学院の修士号を取得できるコースがあるとのこと。異なる国の大学間のコラボです。こうした事例を見ると(私は既に50年前から知っていましたが)日本の大学制度がいかに世界から遅れていることが分かります。文部科学省にも責任があります。箸の上げ下げまで指導します。個々の大学教授や学生は優秀です。しかし、大学のシステム(例えば女性教員が少ない、女子学生が少ない、異分野交流がないなど)として世界から評価されません。

ダートマス大学で初の女性学長

7月21日の情報で、アメリカ、ダートマス大学で初の女性学長が誕生しました。ダートマス大学はいわゆるアイヴィーリーグの一つで、名門大学の一つです。シャン・リー・ベイロック女史が、学長選考委員会により次期学長に選ばれました。学長選考のプロセスです。学内に学長選考委員会が設置され、18人が委員に就任、半年にわたり世界中から人材を探しました。委員会は卒業生等に「どのようなスキルが次の学長に最も必要か?」を尋ね、その条件に合う人材を探しました。彼女は脳科学が専門。カリフォルニア大学サンディエゴ校で学士を取得、ミシガン州立大学で博士号を取得しました。現在はバーナード大学学長、その前はシカゴ大学副学長でした。

ベイロック女史の業績説明の中に「ベイロック女史は数学や理科の分野でwomen and girlsを育てた(encourage)」と書かれています。この点、詳細な記述がありませんが、womenは大学生、若手研究者、girlsは女子高校生を意味すると私は判断しました。昨年10月私が企画を頼まれた女性研究者を増やすシンポジウムでハーヴァード大学建築大学院院長サラもトルコのコジャエリ大学建築学部元部長のネヴニハルも「女子高校生に建築に来なさい」とPR活動をしていると発言がありました。日本の大学ではこうしたPR活動はあまりないと思います。 

原田のコメントです。日本の大学学長就任プロセスと比較しての相違点、改革すべき点です。一点目、アメリカでは「選考委員会」が設置され、半年かけて世界中の人材から適任者を探す、日本では年功序列で内部登用です。二点目、アメリカの人材の経歴の多様性です。ベイロック女史は学部、大学院、就職先は多様です。ハーヴァード大学建築大学院長もトルコのコジェエリ大学の建築学部長も出身大学は現在の勤務先と別の大学出身で、かつ、複数の大学で教えました。欧米では研究の自由の確保、権力の腐敗防止、そのため人材の流動性を高め、他大学出身者を採用します。日本では30歳前後で助手に就任し、70歳まで教授を継続します。権力者となり、研究の自由が阻害される恐れがあります。3点目、教授、学部長、学長も5年から10年で交代し、他大学や民間企業に異動します。

日本の大学では、卒業した大学と同じ大学か、特定の大学の(国立が多いです)植民地の大学の教員に就職するパターンが固定化されています。(週刊文春のコラムで明治大学教授が指摘)ですから、日本では女性の教員就職の可能性は限りなく低いです。日本では、大学教授は人事権を握り、利権として維持しています。公平、公正さのために欧米のように公正・公平な公募、審査が必要です。