カテゴリー別アーカイブ: 都市計画

ウクライナ第2の都市ハリキウ市の復興計画。イギリス人建築家ノーマン・フォスターに託される

イギリスの代表的建築家ノーマン・フォスター事務所が4月18日公表、建築専門誌DZが4月21日、同じく建築専門誌ADが4月22日に発表した記事によりますと、ウクライナ第2の都市ハリキウ市の市長イホル・テレホフとイギリス人建築家ノーマン・フォスターはジュネーブで面会し、市長は、ロシア軍が破壊した街の復興計画の策定をフォスターに依頼し、フォスターは建築家としての英知を集め復興計画を策定すると応えました。ハリキウ市はウクライナの北東部、ロシア国境から40㎞に位置しています。フォスターはロシアでも建築設計をしていますが、ロシア軍のウクライナ侵攻に伴い活動が停止しているようです。侵攻が早く収束し、ハリキウ市の歴史遺産を活用しながら新たな都市が復活、再生することを祈っています。侵攻、侵略が未だ進んでいる段階で、市長が世界的に活動しているイギリス人建築家にマスタープランを託したことは驚きと感銘です。

「羽田空港のこれから」に電話しましたが?!

羽田空港の新飛行経路によって騒音被害があります。「航空機騒音などお問い合わせは」とパンフレットに0570-001-596と記載されていますので、電話しました。自己紹介し、空港の騒音問題に関して、アメリカ、デトロイト空港滑走路拡張時の環境アセスの報告書を持っていること、50年前スウェーデン留学中、オフィス・インテリアの研究の中で室内の騒音問題の研究もしたことなどから、資料提供をしたいと申し入れしました。同時に、アメリカやスウェーデンでの50年前の研究資料を基にすると、パンフレットに記載されている内容は問題があると、お伝えしました。

電話の相手は、声の様子からすると中年の女性のようですが、単に話を聞き、記録するだけの様子でした。私の持つ資料をどこへ送ったらよいか、住所を教えて下さいと伝えたら「上司に相談します」とのこと。国土交通省の航空局の住所、羽田空港事務所の住所など、公開されています。私は、関係者にとって参考になると思って、私の資料を担当者に送りたいので、住所を教えて下さいとお願いしましたが「後で連絡します」と発言し、電話を切り、その後なしのつぶて。その程度の担当者でした。この程度で機能しているのでしょうか?パンフレットには丁寧で分かり易い情報提供を行ってまいりますと書かれています。区民の声を聞くと言う姿勢ではないように感じました。

パンフレットに港区高輪台小の2021年4月から10月の騒音の実測値の平均値中型機の場合73.6dBと記載されています。小学校と言う土地利用からすると騒音値は高いです。また、数分おきに騒音が発生するということが、実は大変な問題です。断続音(間欠音)は心理的に影響が大きいです。パンフレットでは、空港騒音は市街地の騒音とほぼ同じだ型問題はない、と書いてあります。市街地でも、事務所、商業、学校、病院、戸建て住宅などで、騒音の影響は異なります。

築地跡地開発の視点、海外の大規模開発の事例から

築地市場跡地の開発について発注者である東京都の考え方が公表されました。私は、この数年専門誌に紹介された海外の大規模開発の事例を文献調査し、参考となると思われる40事例を整理、分析しました。私は40事例を便宜的にAウォーターフロント(リバーフロント)、B複合機能開発、Cテーマのある開発、D跡地開発と分けてみました。(多くの事例はそれぞれ絡み合っています)

築地の開発で参考となりそうな観点について、キーワードで整理すると以下の通りです。(順不同)1地元のエネルギーを活かす、2地域の文化を称え、都民の文化活動の目的地、3隅田川の玄関、都市の入口としてのアイデンティティ、ランドマーク、4アジアの高密度都市計画、5隅田川を中心軸とする、6ウォーターフロント(リバーフロント)開発の楔、7全ての市民にリバーフロントへのアクセス、8クリエイティブ産業の核、世界の拠点、サービス産業、観光産業、文化の核、世界第一級の商業、文化拠点、研究技術開発の拠点、将来の食糧産業発展の核、9環境との完全調和、10インクルーシブな開発、11デジタル都市。

また、参考となる計画内容は以下の通りです。1河川港、2複合機能都市、観光、商業、娯楽、市場、カフェ、レストラン、文化芸術、スポーツ、3多様な都市空間、ユニークなフォルム、地域を活き活きさせる建築、4段状の空間構成、5住宅は賃貸、高級、アフォーダブルのミックス、6交通拠点、駅、バスターミナル、マリーナ、ウォータータクシー、7緑、プロムナードでイベント、周囲の緑、公共広場と緑地空間のネットワーク、30mのセットバック、8ネットゼロ(地中熱、太陽熱、カーボンニュートラル、エネルギーの自立、(高断熱、ソーラーパネル、風力、有機的廃棄物処理、微気候で環境のコントロール)、9地元のアーティストとコラボでアートの配置、10ナイトライフ、11町会、区長の主導、12建築家選定の国際コンペ

晴海のオリンピック村の住宅計画は、羊羹のような建物が並んでいるだけで、水辺に対し壁を作り、内側からの水辺に対する眺望がなく、また、風のとおりがなく、ウォーターフロント計画の基本からすると失敗作です。築地の開発計画に際し、海外の高い評価の主れも参考にし、世界のモデルとなる計画として欲しいと願っております。

神宮外苑再開発で樹木1000本伐採、驚愕!

2022年2月18日読売新聞によりますと、神宮外苑再開発で樹木1000本伐採するとのこと、驚きました。2月9日東京都の都市計画審議会で都市計画決定をしました。環境の時代、CO2を削減しなければいけない時代、ESG(環境、社会性、ガバナンス)の時代と言われる時代背景に反する内容です。

樹木の効果は、CO2の吸収、緑陰による温度低下、景観上の効果、大気汚染防止、大雨の吸収、不動産の価値向上など大きな効果があります。2016年7月のワシントンポスト紙の報道によりますと、アメリカ連邦政府とカリフォルニア大学デイヴィス校の研究で、カリフォルニア州の都市部に910万本の樹木があり、年間10億ドル(約1100億円)の利益を生んでいるとのことです。1本の樹木の維持費が年間19ドル(約2000円)で、1ドルの支出にたいし、5.86ドルの利益があると研究成果を発表しました。

原田の体験です。その1,1971年フィンランドのヘルシンキ近郊のニュータウンを見学した際、案内してくれたフィンランドの建築家チャーリーが「コンクリートの塀を造る際、既存の白樺の樹木を外し、コンクリートを打設している」と環境(既存の樹木)に配慮した建設行為を指摘してくれました。

港区長時代、防衛庁跡地の再開発で、区長自ら開発事業者に直接いくつかの注文を出しました。既存の樹木を守るため、工事中は別の所に仮移植し、竣工間際の外構工事で、再度樹木を植え直すと言う方法を取りました。(取らせました)

神宮外苑の敷地は、港区と新宿区にまたがっています。港区長と新宿区長の環境問題(緑の保存)に対する意識の欠如と言えるかもしれません。港区の武井区長は、私の区長時代の人事課長、人事や総務部門の経験者ですが、残念ながら環境問題は全くの素人。また、区議会、都議会でどのような議論をしたのか。

ニューヨークのハイラインなど提言した市民活動家の死亡記事

ニューヨークタイムズ22年1月14日の著名人の死亡記事の紹介です。ニューヨーク市の都市開発、建築は常に世界の注目を浴びています。最近ですと、マンハッタン南部(下町ウェストサイド)ハイライン(公園)が有名です。ニューヨーク市民のみならず世界から多くの観光客が訪れます。小池都知事も、銀座の高速道路を閉鎖し、ニューヨークのハイラインのような空中公園にしたいと発言しています。

エドワード・カークランド氏が96歳で亡くなりました。氏はハイライン(鉄道高架跡の空中公園)、ハドソン川(マンハッタンの西側の川)沿いの公園、チェルシー地区(マンハッタンの南部下町)の歴史的建造物保存運動など南部マンハッタン地区のアーバンデザインの重要なカギを担いました。市民運動を通して、世界に誇るニューヨーク市のアーバンデザインを具体化しました。

原田のコメント、行政、政治の仕組みとして、アメリカには、市民の声を受け止める制度、度量があることが素晴らしいです。日本の政治、行政の中でなかなかありません。また、市民運動家と言うと、ややもすると、反体制、反行政的な方がいますが、具体的な政策提言をし、実現させる能力、住民組織を引っ張る力は尊敬に値します。日本でもこうした市民運動家の出現を期待したいです。

アメリカの都市問題の本質大都市より地方都市が深刻

ニューヨークタイムズ21年7月2日、ノーベル経済学賞受賞のポール・クルグマンの都市問題の論説記事がありました。都市問題(住宅問題、治安問題、財政問題、経済問題など)は、一般的にニューヨーク市などの大都市が、地方都市と比べ、深刻であると印象が強いが、実は違う、地方都市の方が深刻である、との指摘です。同感です。

私は3年前、明治大学ガバナンス研究科紀要論文に「ニューヨーク市の治安政策」を寄稿しました。10万字の論文です。ニューヨーク市の治安状況は大分改善されました。クルグマンによると、オハイオ州の州都中規模都市のコロンバス市の方が犯罪件数は多く申告であると指摘しています。1969年、早稲田大学の交換留学生としてオハイオ州のThe College of Woosterに留学した際、ウースターに行く前にワシントンDCから飛行機でコロンバスに到着、コロンバスからウースターに向かいました。その後、2度コロンバスを訪問しました。現在、コロンバス市は犯罪率ではニューヨーク市よりも高く、危険度が高い都市と言えます。

氏は「深刻な都市問題はルイジアナ州(南部、メキシコ湾に面した州)からミシガン州(中西部)の中規模都市に存在する。」、さらに氏は「そうした地域では、労働力となるはずの男性の失業率が高く、アルコール中毒、自殺、麻薬使用の問題がある。」と指摘しました。

また、産業構造が変化し、知識産業が増加し、その雇用は高学歴者で、巨大都市に集中し、その結果、「大都市に多くの雇用と富の集中が生じた。」、「大都市は悪で、中小都市の方が生活、就業環境が良いという神話は崩壊した。」と指摘しました。

コロナウィルスの蔓延では、大都市の高密度が問題と言う認識をトランプ大統領は持っていました。しかし、氏は「コロナ患者について、サウスダコタ州の死者数は、サウスダコタ州とサンフランシスコ市の人口がほぼ同数であるが、サンフランシスコ市での死者数の4倍。」と指摘しました。密度の問題ではない、と言うのが氏の指摘です。12月31日のニューヨークタイムズによると、ワイオミング州の小規模都市で患者数が相当増えているとの報道がありました。

財政の観点から見ると、氏は「ケンタッキー州は極端な事例で、連邦政府から社会保障、医療保障のなどの補助金は、年間、1人あたりの額は、年間、納税額より140万円も多い。」と指摘しました。

犯罪、雇用、住宅など深刻な都市問題を抱えているのは、地方の中小都市であると認識する必要があります。

世界初のマイアミ郡役所の熱化対策官

ブルムバーグ通信、9月の記事によりますと、アメリカ、フロリダ州(暖かい、というより暑い地域です)マイアミ・デイド郡役所の熱対策官(Heat Officer)にジェイン・ギルバート女史が就任しました。おそらく世界で初の温暖化対策専門のポストとのことです。これからの活躍に期待したいと思います。収集したデータ、策定した具体的な政策をその内学びたいと思います。

ニューヨーク市の都市デザインを牽引した都市計画家エリオット氏の訃報

ニューヨークタイムズ12月27日の記事によると、1960年代、70年代のニューヨーク市のアーバンデザインを牽引した革新的都市計画家ドナルド・エリオット氏が89歳で亡くなったとのことです。

私自身69年から70年、74年から76年と2度アメリカに留学し、ニューヨーク市のアーバンデザインが注目されていることを知りました。

エリオット氏のチームの若手アーバンデザイナーのジョナサン・バーネット執筆の「都市政策としてのアーバンデザイン」は当時必読書でした。今では当たり前の「容積移転」の革新的政策を打ち立てました。エリオットは34歳でニューヨーク市の都市計画委員長に就任、若手建築家をチームに招き、それ以前のロバート・モーゼスの強引な再開発のやり方を根本的に変えました。五番街の劇場地区、イーストリバーに面したサウス・ストリート・シーポートの歴史地区の保存を兼ねた再開発を具体化しました。

今や、世界中が注目するアーバンデザインです。また、今では当たり前の市民参加による街づくりで、市内を62のコミュニティに分け、近隣住区単位で都市計画を策定する方法を導入しました。

エリオット氏が策定した都市計画の制度は四半世紀遅れで当時の建設省が採用しました。日本の都市計画制度にも大きな影響を与えました。

原田のコメント:34歳でニューヨーク市の都市計画委員長に就任した人事に驚きとあっぱれ。フィンランドの首相は34歳の女性。若く、エネルギー溢れた、政策立案能力ある方がリーダーに就任すべきです。長老支配、年功序列社会を変えるべきです。また、新しい発想のアーバンデザイン、時代、社会の展開を誘導する政策、社会の動きの後追いでない、誘導政策を策定し、推進すべきです。エリオット氏のチームには、若手建築家が参加しました。経験豊富な長老も大切ですが、若い方のエネルギーを活用すべきです。私はアメリカ、スウェーデンで学びましたが、こうした体験を紹介すると必ず「外国かぶれ」と嫌味を言う方が少なからずします。現在の都市計画制度の一部はニューヨーク市の物まね、多くの制度で海外を参考にしたものがあります。「外国かぶれ」と言う前に少しでも視野を広げ様々なことを学ぶべきです。

バイデン大統領のインフラ政策・教育政策、コミュニティカレッジ

バイデン大統領が積極的な経済政策を打ち出しました。インフラ整備に230兆円(1ドル100円として)、家庭支援に180兆円です。インフラ整備では、一例として、2万マイルの高速道路の補修、1万の橋梁の補修、低家賃住宅供給のために20兆円です。教育政策では、高等教育が誰にでも無料で機会が与えられるよう、授業料無料のコミュニティカレッジ整備のため11兆円です。

コミュニティカレッジについて、私事ですが、相当論文を書きました。一例です。「米国のコミュニティカレッジと日本での展望」、1981年3月、月刊地方自治、「コミュニティカレッジと日本の課題」、1981年4月、都市政策(神戸市役所刊)、その他、毎日新聞の論説記事などに寄稿しました。

コミュニティカレッジはアメリカに1000ほどあります。地方自治体が設立、運営しています。公立の2年制の短大、職業専門学校とも言えます。教育内容は、職業訓練(多種多様な学科があります)、一般教養、生涯学習などです。就職、転職する際に役立ちます。また、いきなり4年制の大学に入学する自信がない、進路を決められないという方に対し、2年間の一般教育コースがあります。そこで様々な学習体験を経て進路を決めたり、4年制大学へ編入への道が開かれています。授業料は無料か低廉です。高額な授業料の4年制大学には経済的に入学できない貧困層の子供たちにはありがたい教育機会です。

私は、かつて、日本でも公立のコミュニティカレッジをと主張しましたが、私立短期大学や私立の専門学校とのマーケットとの関係もあり、設立は難しいと感じました。しかし、現在、多様な教育機会、転職、生涯学習などのニーズを考えると、アメリカのコミュニティカレッジのような学習機関の必要性が高まっていると思います。

アメリカ建築家協会、バイデン大統領への要望

アメリカ建築家(AIA)は1月8日バイデン大統領への要望の論説記事を掲載しました。「パンデミック後の建築に影響を与える政策、その展開に期待」というタイトルです。そのポイントは以下の通りです。

公正なクリーンエネルギーの未来、建築分野で働く人々のための十分な報酬確保のため、持続可能なインフラを構築する必要がある。バイデン政権は、ゼロエミッションの公共交通、4年間で400万棟の建築の質の向上、200万戸の耐久性の改善など新しいニューディールを計画している。具体的には使われなくなったオフィスを低家賃住宅への用途転換である。こうした事業で100万人の十分な賃金の雇用を創出する。

また、バイデンは150万戸の持続可能な住宅を建設したいと言いている。しかし、どこに、どのような方法で、という具体策が見えない。我々は住宅都市開発省は要らない、その代わり、住宅再生・都市再開発省を必要とする。また、空間計画省を必要とする。鳥瞰的な計画策定でなく、一戸一戸の住宅計画、近隣住区の再生、公共空間の創出から始めるべきだ。

さらに、雇用と平等を増加させる技術に投資してほしい。

さて、日本で政権が交代し、新しい首相が就任した際、建築学会や建築士会など都市政策、建設投資などに要望書を出したと聞きません。政策に大いに提言をすべきです。