カテゴリー別アーカイブ: 地方自治

世田谷区新庁舎建設、半年遅れ 監査は機能しなかった

5月31日の新聞報道で、世田谷区役所の新庁舎の建設工事、第一期工事の竣工予定が9月までだったのが半年延期になるとのことです。以前本欄でも書きましたが、町田市の図書館が工期3か月遅れで施工した東急建設は1年間の指名停止処分を受けました。単純に二倍の2年間の指名停止処分に値すると思います。それと気になるのが、監査委員の監査体制です。工事が適切に進んでいるか、お金がが適切に使われているかチェックするのが監査事務局の仕事です。監査委員も同様に責任があるということです。

世界各国の熱対策官会議

CityLab22年10月3日の記事によりますと、世界の主要都市の熱対策官が市民活動家を連れてワシントンDCに集まり気候変動の議論をしました。参加者すべてが女性です。熱の問題は、気づかないうちに、静かに進行することです。この会議はアトランティック委員会のアドリアンヌ・アーシュト‐ロックフェラー財団レジーリエンス・センターが組織しました。主要都市では熱による経済損失が大きいです。熱対策官(チーフ・ヒート・オフィッサー)の役割はまだ緒に就いたばかりです。

参加者全員の認識として、このままだと、2050年までに1000の都市が夏の平均気温が35度になると認識しました。また、植樹により都市の温度を下げるという自然の法則を使っての温度低下をさせる提案がありました。

1994年だったか、早稲田大学建築学科尾島研究室がキャンパス周辺の街路で、街路樹がある所とない所での地表面温度を測定した調査研究が建築学会関東支部で報告されました。緑という自然の力で大地の温度を低くする方法は最も原始的ですが、最も有効な都市を冷やす方法です。都内と見渡すと、道路(幅員4メートル以上)がなく、建築基準法違反の住宅が建て込んでいる街区は熱環境的にも問題が多く、一方、再開発し、緑地を十分に確保した街区は熱環境の観点からも良好な街区と言えます。

ニューヨーク市オープンストリート事業。車を止め路上レストランで商業活性化

ニューヨークタイムズ22年10月25日の記事によりますと、室外(道路)の飲食を推進することで、パンデミックで打撃を受けた飲食業が活性化しています。ニューヨーク市の調査によりますと、オープンストリート事業は大変成功し、飲食業が再び活性化しています。コロナ禍で大打撃を受けた飲食業ですが、オープンストリート事業で新たな商業活動が生まれました。ニューヨーク市役所の運輸委員会の委員長がコメントをしました。

委員長のポストは日本の自治体では教育員会などありますが、欧米の自治体では各部(局)に大きな方針を決める委員会が存在しています。

オープンストリート事業の飲食業が納める税金もかなりになります。調査によりますと2021年の5地区の事例では、6月1日から8月31日まで平均の税収が600万ドル(1ドル100円とすると6億円)で、過去の3年間の平均税収は5万ドルだったので19%の増収となりました。また、近隣地区でオープンストリート事業をしない街区の飲食業の税収は3.6億ドルでした。

前運輸委員会委員長ジャネット・サディク・カーン女史は街路の使い方のデザインでの生活が地域社会に富をもたらしたと語りました。

日本では道路上での飲食業は、祭礼やイベントの時以外は、固く禁じられています。しかし、街の経済の活性化、パンデミック対策、市民のための道路、街の賑わいの観点などから一度実験したらよいと思います。

ニューヨーク市の車が進入しない道路で商店街の活性化

ニューヨークタイムズの22年10月25日の記事によりますと、ニューヨーク市で、「Open Streets Program」(直訳で開放道路事業)でパンデミックで衰退した商業者が道路上(屋外空間なので感染しにくい)で、車をシャットアウトし、飲食できるようにし、何とか生き延びているとのことです。ニューヨーク市運輸委員会委員長ロドリゲス氏がコメントを発表しました。また、商業活動により市の税収増効果もあります。事例調査をした5地区では、2021年6月から8月までの間の税収は、以前500万ドル(1ドル100円とすると5億円)だった額が、600万ドル(1ドル100として)6億円に増えました。一方で、車をシャットアウトしなかった地区の商店街では税収が3.6億ドルに減少したとのことです。

欧米では、歩道上にレストランのテーブルとイスがせり出し営業をしている事例を多く見かけます。コロナ禍で衰退した経済を立て直すために、また、街の賑わいをもっと盛り上げるため、街に活気を取り戻すため、新たな取り組みに挑戦してみる価値があります。そのため、道路の設計、歩道の設計、商店街全体のあり方など、抜本的な見直しも必要です。

アメリカ各州で異なる固定資産税

アメリカで留学生活をした経験で、連邦政府の仕事は国防、外交、通商、複数の州にまたがる調整の4分野。大統領の権限はその4分野のみで、各州、各市のことは大統領は口を出せません。それ以外の分野は州レベルでは州知事(州の軍隊がありますので知事は州の軍隊の最高司令官)、市レベルでは市長(市警察がありますので市長は市警察の最高司令官、ですからアメリカの市長は高い倫理観が要求されます)が最高責任者です。立法は州議会、市議会が担います。日本の議会は議員がイチャモンを付けることが多く、立法をする議員はほとんどいません。税率は各市、各州で異なります。歳入、歳出のバランスで税率が決まります。税率は議会が決めます。アメリカの議員は税に詳しく自治体経営のプロです。日本は税率、例えば固定資産税率も同一です。

ニューヨークタイムズの3月16日の記事でアメリカの各州の固定資産税率の比較の紹介がありました。(市の固定資産税もありますが、市ごとに異なりますが、紹介は、市の数が多すぎて困難です)最も高い州はニュージャージー州で、住宅の平均固定資産評価額484,393ドル(1ドル100円とすると約5000万円)に対し州の税金は12,061ドル(1ドル100円とすると約120万円)で2.49%、最も低い州はウェスト・ヴァージニア州で、平均評価額140,027(1ドル100円とすると1400万円)に対し州の税金は812ドル(1ドル100円とすると約8万円)で、0.58%です。東北部の州は高く、南部の州は低い傾向にあります。税率を見て、住まいの立地を選択するのもアメリカ流です。

私の認識ですが、税金はその地域、組織を成り立たせるための「会費」です。歳入歳出がバランスが取れることが基本です。ニューヨーク市の歳入・歳出を見ると、ほぼ100%バランスが取れています。日本で最も豊かと言われる東京都でも予算の占める都税収入などの比率は70%です。本来、地方のことは地方で、という地方自治の理念からすれば、アメリカの方式は参考になります。

メンフィス市事件、アメリカは情報公開先進国

 アメリカ、テネシー州メンフィス市で黒人警官5人が職質の過程で黒人に暴行し、死亡させたとして大事件になり、日本でも報道されました。メンフィス市役所警察本部長セレリン・デイヴィス女史が事件の説明の記者会見をしました。本部長は黒人女性です。画像を見ると胸にたくさんの勲章をつけておりましたので、多くの手柄をだした優秀な警察官だったと思います。アメリカの警察組織では上級職という制度はなく、全て巡査からスタートします。彼女の場合、本部長まで上り詰めました。

日本との違いです。アメリカでは事件があると必ず警察のトップが説明します。また、事件現場の映像(警察官がボディカメラを付けています)が公開されます。情報交換が徹底しています。日本も見習うべきです。3,4年前大阪府警の警察署で、留置人が警察署から逃走した事件がありました。大阪でその事件報道がどうだったか知りませんが、大事件にもかかわらず、東京では本部長が謝罪、説明したと言う報道はありませんでした。しかも、事件の直後、本部長は東京に呼び戻され、新しい本部長が就任しまsた。東京の報道では、本部長の退任、就任の報道を見ませんでした。日本的解決です。

日本のマスコミは、アメリカの事件になると、特に、人種問題になると、大騒ぎし、アメリカ社会はひどい、人権問題はひどい、黒人差別だと批判します。しかし、実態は、黒人女性が警察本部長に出世できる自由社会、平等社会と言う報道はありません。黒人女性がハーヴァード大学学長に就任する自由社会だと言う報道はありません。東大は(他の大学も)男性の教員ばかりでs、女性や外国人を排除する閉鎖的組織です。学長も自校出身の男性ばかりが就任する閉鎖的な組織だと批判するマスコミはありません。東大に忖度しているのでしょう。女性を中心に声高に発言しないとこの後30年も50年も閉鎖的、男性優位の日本社会は変わらない気がします。OECDで不名誉な(女性研究者比率最低)再開を継続するのではと恐れています。

アメリカで子育てしやすい州

ニューヨークタイムズ(1月26日)によりますと、某研究機関の調査で子育てしやすい州のランキングが紹介されました。評価項目の分野は健康、治安、医療、犯罪、道路交通の安全性、教育などで、51項目で点数評価しました。その結果、1位から、マサチューセッツ州、2位ミネソタ州、3位ニューヨーク州、4位ノースダコタ州、5位ヴァ―モント州、 最下位から、ミシシッピー州、ニューメキシコ州、ウェストヴァージニア州、ルイジアナ州、サウス・カロナイラ州…です。コロナ禍でリモートワーク、在宅勤務が増えたので、必ずしも勤務地の近くに住む必要性も低下しました。

原田コメント、アメリカはランキングが好きな文化を有する国です。評価点は、何を基準に、それぞれの評価項目に対し何点つけるかによって、結果が異なると思います。また、今回の調査は州単位ですが、自治体毎にランク付けしても面白いと思います。

ニューヨーク州議会議員の年俸

各国、各都市の政治家の報酬について関心を持っております。ニューヨークタイムズの12月22日の記事によると、ニューヨーク州議会で議員報酬の値上げを決め、来年度から142,000ドル(現在の交換レイトで約1840万円)とします。全米の州議会議員の中で最も高い額です。

東京都議会議員の年俸は約2000万円。アメリカの議員の仕事は、立法、政策作りです。日本の議会は、行政が作成した法律案や政策を「審議する」ことです。つまり、日本では議員が法案や政策を作ることはほとんどしません。そういう点で、アメリカと日本の政治家の役割、仕事内容が大いに異なります。以前、ブログで紹介しましたが、ニューヨーク市議会議員の年俸は9万ドル(現在の交換レイトで1170万円)(最近の報酬は知りません)国会議員は海外視察をします。都議会議員もニューヨーク市など姉妹都市など視察しています。こうした報酬や議員の仕事ぶりなども大いに調査し、調査内容を日本の議会に活用していただきたい。

アメリカ女性州知事12人

ニューヨークタイムズの12月21日の記事に女性知事が12人になった、女性が頑張っているとのことです。比率で24%、まだクォーターでない、このうち、どなたか大統領選挙に出るかしら?女性知事だと、子育て、性被害など女性特有の課題に意識が高いと思われます、と言う内容です。原田のコメント、日本でも、早く、女性知事の数がクォーターになると良いと祈っております。大いに社会を変えて欲しいと期待しております。

米中間選挙に見る女性活躍

連日アメリカ中間選挙の報道がされています。女性活躍の観点からのコメントです。

1 マサチューセッツ州知事選挙はモーラ・ヒーリー女史が勝利。これまでマサチューセッツ州では白人の男性が政治を仕切っていましたが、マサチューセッツ州初の女性知事誕生です。彼女は市民権擁護の弁護士、元プロバスケットボール選手。同性愛者。

批判を恐れず書きますが、日米のスポーツ選手の引退後のキャリアの違いの事例とも言ってよいでしょう。アメリカでは彼女のようにスポーツ選手引退後、様々な仕事、特に知的な仕事に就く事例が多く見かけられます。メジャーリーグで活躍した野球選手が医者になったり、牧場経営したり、警察官になったり。キャリアの多様性が見られます。日本では、スポーツ選手の育成は「根性、根性」で高校、大学で共同生活し、スポーツが学校生活の中心です。理論でなくいじめと同じような訓練をしているようです。指導者が生徒に向かって暴言を吐く、ぶん殴る、性的な暴行をふるうなど時々報道されます。

先日も福岡の高校で、剣道部の女子生徒が指導員のいじめに耐えられず自殺した事件がありました。数年前大阪市立高校でバスケット部の生徒がコーチのいじめで自殺しました。その時市長だった橋本さんは市長として謝罪の言葉は東京では聞こえてきませんでした。

90年代、ニューヨーク市の治安対策で辣腕を振るったニューヨーク市警察委員長(ポリース・コミッショナー、東京なら公安委員長と言ったポストですが、お飾りでなく、実質警察を指揮監督する立場です)ブラウン(黒人)は、貧困家庭出身で、フットボールの選手として奨学金ももらい、大学で勉強しました。アメリカの大学は文武両道で、成績が悪いと奨学金が支給されません。ブラウンは、最終的に博士課程まで進学し、公共政策の博士号を取得しました。成績優秀だったのでしょう。日本からアメリカにスポーツ留学する選手がいますが、その気持ちが分かります。日本ではスポーツの指導方法が学問的、理論的に構築されていないのでしょう。余談でした。

2 ニューヨーク州知事選挙はホークル女史(これまでは前職がスキャンダルで失脚し、副知事から昇格し、今回の選挙で正式に知事就任)が勝利、ニューヨーク州初の女性知事です。

3 テキサス州ハリス郡の郡長選挙(郡長は英語でCounty Judge)に女性が勝利しました。ハリス郡はヒューストン市を包含する中核的な郡です。ヒューストン市は全米で第4位の都市です。彼女は31歳、コロンビアからの移民です。民主党ですが、一部共和党員からの応援もありました。

余談です。ニュージャージ州の選挙で私の知人(白人男性)が出馬、接戦です。郵便投票があるので、結果が出るまでもう少し時間を要します。彼は近い将来、大統領選挙を目指すと言われています。