アメリカを代表する世界的建築家フィリップ・ジョンソンが2005年98歳で亡くなりました。ニューヨーク市郊外に20ヘクタール以上の土地を持ち、近代建築の代表作品ガラスハウスやポストモダンスタイルの画廊、図書室、農家の移築など豊かな自然の広大な敷地にいくつかの建物があります。ジョンソンの死後、建築のテーマパークとして公開されたと先日のニューヨークタイムズに記事がありました。ニューヨークを訪問する楽しみが一つ増えました。
私はライス大学建築大学院留学時代、ジョンソン氏にインタビューをすることができました。氏のデザインでヒューストンにペンゾイルビルというオフィスが竣工し、そのデザインの哲学について聞いてみたいと思い、学生の分際でしたが突撃取材をしました。ニューヨークタイムズの建築担当編集委員のハクスタブル女史によると、当時世界で最も美しいオフィスビルでした。25歳の学生がフィリップ・ジョンソン氏に会い、直接話を聞けたのは大感激でした。
氏はハーヴァード大学で美学を学び、しばらく、美術館の学芸員をし、主に建築分野の評論活動をしていました。実務で設計したいと決断、30代後半でハーヴァード大学建築大学院(アメリカでは建築は大学院で教育します)に再入学しました。修士設計で学生は図面や模型を作製し提出しますが、フィリップ・ジョンソン氏はお金持ちでしたので、実際位の建物を作りました。実務では、多くの話題作を設計、高級スーツをいつも着ておりました。冗談の得意な方でした。所員は全員背広着用でした。クライアントが一流企業で、急な打ち合わせの際、スーツで会議に参加する必要がありました。改めて氏のデザインを勉強したいと思います。
氏は生涯独身でした。実際は男性のパートナーがおり、後年カミングアウトしました。