先日、茨城県土浦市の霞月楼という料理屋で日本建築研究会という勉強会が主催し、日本建築史の大家、伊藤延男先生を偲ぶ会が開催されました。伊藤先生は会の顧問。私は副会長。日本建築研究会は35年ほど前設立。大工、左官屋、瓦屋など職人や建築設計者など様々な職業の方が会員です。伊藤延男先生は時代が平成に変わった頃から勉強会の講師としてご指導をいただきました。また、途中から顧問をお勤めいただきました。平成18年、文化財保護分野で日本で初めて文化功労者として顕彰されました。
文化財研究所所長をお勤めになり、その後神戸芸工大教授をお勤めになり、さらにはICOMOSの役員をお勤めになり国際的な文化財保護活動にも関与されました。その功績で平成23年にガッゾーラ賞を授与されました。伝統建築見学旅行にいつも参加、伊藤先生の深い見識に基づく解説をしていただきました。伊藤先生は80代後半で足腰が多少不自由でしたが、エレベーターのない私の事務所にも手すりにつかまりながら4階まで階段を上ってきました。「京都の道路幅員が豊臣時代の都市計画と異なるのではないかとの仮説に立って、伊藤先生は課題意識を述べられ、その内一緒に調査をしましょうとご提案をいただきました。実際ある時伊藤先生と京都へご一緒させていただき、ある道路幅員を測量しましたらところ、伊藤先生の仮説がどうもただしそうだとなりました。ではその内本格的な調査をしましょうと言っていた時、お亡くなりになり、調査にご一緒できず残念です。そのほか、茶室、茶会の研究、仏教寺院の見方の講義など様々なことを教えていただきました。建築活動では伊藤先生は私にとり異分野の先生ですが、90歳近くになってもいくつかの研究テーマを抱え忙しく活動されておりました。
伊藤先生はご高齢になってからお茶のお勉強を始められたそうです。また、お茶碗も自ら作りました。伊藤先生の自作のお茶碗を頂戴し大切に保管しております。ただし箱書きを頂きそびれてしまいました。