日別アーカイブ: 2016年11月8日

スウェーデンのこと、体験の事実、

週刊新潮の16年11月3日号、元外交官宮家邦彦氏のコラムでスウェーデンの真実について氏の見解が書かれています。私は1971年(昭和46年)ストックホルムにあるカール・クリスティアンソン建築事務所に技術研修留学しました。スウェーデンのインテリアデザインを学ぶためです。そこで様々体験しました。

国防について。人口800万人で、軍人は60万人。予備役を含めると70万人。人口の8%が軍人です。軍事大国です。日本の自衛隊は20万人程度ですから、はるかに巨大な軍組織です。日本は軍事小国です。(外務省や防衛省はもっとPRすべきでしょう。日本政府のPR下手です)街中で軍人に出会うと、当時はやりの長髪、髭ぼうぼう、軍人のイメージから全く異なる風体でした。

次は聞いた話です。ストックホルムの地盤は岩盤質です。地下のトンネルにジェット戦闘機を隠しています。(石川島播磨工業のエンジン技術者から聞いた話です)仮想敵国はソ連でした。国防は単なる机上論ではないことを学びました。自衛隊は国連平和部隊に参加する際、ノウハウをスウェーデンで訓練するそうです。スウェーデンは地理的に見てヨーロッパの片田舎。治安は良いです。(今は治安が悪くなっています)建築家の学生として様々な建築を見るために歩き回りました。大使館街を歩いた時、ライフル銃を持った警察官がパトロールしていました。大使館街の建築物を撮影しましたが職務質問されませんでした。

日本に対する関心。結論、すごいです。当時の公明党委員長竹入氏が暴漢に刺された、というニュースがラジオで放送されました。異国の野党の委員長の事件を報じるのですから。9月15日成田闘争で機動隊員が3名殺害された事件は新聞の一面で報道されました。その記事を持っております。公民館で毎日夜2本の映画上映会がありました。日本の映画が2週間おきに上映されました。「虎の尾を踏む男達」、「隠し砦の三悪人」などです。ストックホルムで日本映画を見るとはと驚きました。隠し砦の三悪人の時は、三船敏郎演じる主役が馬上で日本刀を振りかざし突撃するシーンで、観客のスウェーデン人が応援の叫び声を上げているのに驚きました。本来映画は静かに見るものと思っております。字幕ですのでスウェーデン語の勉強になりました。日本の自治体でも諸外国の映画や文化紹介を積極的にするべきでしょう。

文化芸術分野の高額給料。スウェーデン政府の資料を購入しました。職業別給料です。驚きました。20代の俳優、音楽家、バレリーナ、図書館司書、高校教師など文化芸術分野の給料が普通のサラリーマンより高いです。ちなみに私の給料は12万円以上でした。当時日本の初任給は3万円程度。労働組合がしっかりしていること、文化芸術に対する高い評価ということです。日本では、音楽家、俳優、建築家?…食えない代表例です。政治が文化芸術に関心がないこと、欧米と異なり、徒弟奉公制度で体制側の親分がえばっていることです。オザワセイジが日本の芸術制度を批判しております。

高福祉、高負担。当時から医療福祉は無料。しかし、消費税は1971年当時9%、今の日本より高いです。現在の消費税は25%。高福祉、低負担を謳う政党は詐欺師と同様です。一方、国民が政府を信用している証でもあります。もし、日本で高福祉高負担で医療費無料となったら、旧国鉄が傲慢不遜で国民からそっぽを向かれ、倒産したように、また、一部の公務員が国民サービス無視で偉そうにふるまっていますが、国民に医療サービスをして「やるよ」といった風になるでしょう。スウェーデンでは公務員は「奉仕者」です。資料を役所にもらいに行くとわかります。数年前、I 区役所に某資料に関する取材を申し込みました。電話に出た若い職員は「来ても無駄です。何もお話しすることはありません」驚きました。本来「我が区にご関心をお持ちくださりありがとうございます。何なりとお教えします」と回答するのが正解です。若い時からそのような態度ですから管理職になったときどうなるのでしょうか?日本の役所の一端です。また、教育は無料。保育園から大学まで無料です。博士課程になると奨学金をもらえます。私も市役所の生涯学習施設で無料でスウェーデン語を学びました。当時の北ベトナムの外交官と一緒しました。最近の税金です。1000万円の年収に対し、所得税、年金、医療保険など合わせ730万円徴収されるそうです。手取りは270万円です。車、酒、たばこは懲罰的な税金です。

北朝鮮に対する対応。スウェーデンは中立国です。当時、国連の未承認国である中国、北朝鮮とも外交がありました。ある時報道で、北朝鮮の1等書記官が空港で麻薬を持ち込もうとして摘発され強制送還されたと聞きました。当時は「バカな外交官がいる」と思いました。今思いますと、すでに当時から北朝鮮は麻薬ビジネスをしていたのでしょう。しかし、こうした報道は日本では一切されませんでした。北朝鮮からの脅しを恐れ日本のマスコミは共産圏に関する報道をしませんでした。日本のマスコミはアメリカや西側の政治の批判を多くしますが。日本のマスコミのレベル、狡さです。

留学生の宿舎です。親切です。スーツケース一つで生活が成立します。日本の不動産市場は皆様ご承知の通り。借りる際、保証人が必要、訳のわからない礼金制度があります。私が住んだアパート。2週間単位の更新。敷金礼金なし。広いワンルーム。ベッド、布団、枕つき。机あり。掃除サービス付き。台所、シャワーは共有。いわゆるコレクティブハウス。文科省が留学生30万人計画を呼び掛けております。留学生に対する住宅改善も必要です。でないと、留学生は欧米に向かいます。向かっています。

都市計画は日本で最近はやりのコンパクトシティ。日本が参考にすべきこと多くあります。