私が主宰する勉強会で中央大学名誉教授國生剛冶先生をお招きし「日本を自然エネルギー立国にするため、太平洋赤道直下でメガソーラー帆走筏の提案」という技術政策提案のお話をしていただきました。波も風も穏やかな、かつ、主要な航路でない太平洋赤道周辺に25平方キロ(5k×5k)の帆走筏を浮かべ、太陽を追いかけ自走する仕掛けです。100万キロワット(原子力発電所一基分に相当、かつ、港区の電力消費に相当)を発電します。それを水素エネルギーに変換、日本に輸送するという構想です。
帆走筏の基本モジュールは25m×25m。それを16個、100m×100mのユニットにし、さらに、5キロ×5キロにする構造です。研究では、①赤道直下の自然条件、②筏の構造、③ソーラー発電の仕組み、④日本へのエネルギーの輸送、⑤法的課題、⑥経済性について検討されました。事業費ではアルカリ水電解設備の費用が高いです。成立条件は水素価格とソーラーモジュール価格が鍵となります。8通りの成立性の評価をしてます。現状の試算ではハードルが高いです。しかし、エネルギー資源小国の日本としては将来に向かい有意義な研究です。
稀有壮大なプロジェクトの研究は、20年後、30年後の社会を念頭に、国や公益機関が支援すべきです。直感的にこの研究で博士論文が10本くらい書けると感じました。将来の技術に大いに貢献できます。残念ながら研究環境が厳しいです。また、國生先生の研究チームは民間の独立自営の技術士が研究チームに参加して、大学と個人技術者の連携の良い事例でした。