月別アーカイブ: 2019年10月

スウェーデン研究所で学生の研究発表

10月31日(木)スウェーデン大使館でスウェーデン含めた北欧4か国に訪問、2週間程度でフィールド調査した内容を明治大学の学生、東洋大学の学生、アイセックという学生の交換留学を展開する世界的な公的組織のアイセックの学生がこの夏に体験した活動報告をしました。指導教官の指導よろしく学生たちは立派な調査をし、立派にプレゼンをしました。私が同年齢の学生の立場なら、こうした素晴しい調査結果を出せたかどうか。私は1971年スウェーデンに留学しましたので、そうした観点から学生のプレゼンを拝聴しつつ学びました。

調査に参加した学生は順番に報告しました。働き方、都市環境、職場環境、小学校見学、・・・すばらしい経験です。彼ら彼女らが将来社会の指導者レベルに到達したら大いに日本を変えてくださいと応援のメッセージを伝えました。

1971年、ストックホルムで私が体験したこと。ストックホルム工科大学で6割が女子学生。地下鉄、バスの運転手の半数が女性。残業なし。午前、午後30分休憩時間。小学校教育では「個」重視、グループ学習。日本の社会と全く異なりました。現在もです。

私はコメントで、今後、①職業別での女性の比率、(特に建築やエンジニアリングの世界で)、②労働対価としての給料、③議会での議論の進め方、女性政治家の活躍ぶり、④都市構造、東京圏では1時間半程度の通勤は当たり前、だから子育てがしにくい状況、職住近接が必要です、⑤防衛分野での女性の社会進出、などの分野で研究を発展させてはいかがか、と発言しました。学生の皆様、頑張ってください。

アメリカ、オハイオ州フィンドレー市交流団来日

アメリカ、オハイオ州フィンドレー市の交流団が来日しました。ご縁有り10月27日(日)川口ロータリークラブ主催の歓迎懇親会に私も招かれご挨拶しました。メンバーはクリスティーナ・マーン(Christina Muryn)市長(女性27歳)、ディーナ・オストランダー(Dina Ostrander)女性市議会議員、パット・サドウスキー(Pat Sadowski)弁護士、フィンドレー市商工会議所・経済開発組織理事長、ティム・マイリー(Tim Mayle)市経済開発局長、クリス・オストランダー(Chris Ostrander)経済開発局技術アドヴァイザー、川村宏明フィンドレー大学準教授の6名です。経済ミッションで、川口市(姉妹都市、ロータリークラブの姉妹クラブ)、福井県庁、オハイオ州に進出している日本企業など、訪問したそうです。フィンドレー市は人口5万人。世界的企業が市内に進出しています。ラストベルト(錆びついた地域)の中で財政は豊です。

驚き。まず、市長の若さです。オハイオ州で最も若い市長です。若くても周囲がついてゆきます。日本では(港区では)政策立案能力がなくてもただベテランだというだけで「俺が影の区長だ」と威張りまくるベテラン議員がいましたが。日本(港区)のガバナンスは幼稚園レベルです。次に、交流ミッション団のメンバー構成です。日本だと、海外視察というと、政治家だけ、行政職員だけ、研究者だけ、民間企業職員だけ、というスタイルが多いと思いますが、フィンドレー市の交流団は政官学民と横串で連帯し来日しました。お互いが同じ体験を共有し、政策の決定が速やかにできます。3番目はメンバーはファーストネームで呼び合い、官民の格差、先輩後輩の年齢格差などなく、全員水平型のチームです。4番目は精力的に動き回っています。こうした方法は日本も参考にすべきです。日本で政治家の出張は半分は遊びではないかと疑念を感じています。報告書は自ら書かないで旅行代理店が営業目的もありゴーストライターを務めていると思います。今後、フィンドレー市との交流が発展することを祈っております。

私は50年前の1969年早稲田大学の交換留学生としてオハイオ州にあるウースター大学に留学しました。オハイオ州は第二の故郷です。懐かしい気持ちで6人のメンバーとお話をしました。

建築文化財の価値を理解できない港区幹部

週刊新潮10月24日MONEY欄にホテルオークラ「栄華の跡」というコラムがありました。その2月前その対象である「蔵春閣」の文化財建築について勉強したばかりでした。また、港区政に関わる内容でしたので、関心持ち読みました。所有者が港区のホテルオークラに移築しようとしたら港区役所から断られた、という記事です。「蔵春閣」は文化財としての価値が大変高い近代建築遺産です。

私は港区長時代(2000年から2004年)、港区には260の寺社があり、神社総代会、お寺の檀家総会の新年会や総会で「港区は建築物の80%以上が耐火建築で、燃えにくい街になっていますから、寺社の建替えは是非木造でお願いします。木造の伝統建築を大切にしてください。」「建築確認済証は建築指導主事である建築課長が発行しますが、建築基準法の特例は区長の責任ですので、私が文化財の価値有りと判断したら、私が木造の寺社建築を許可します。」と挨拶しました。国宝の木造の寺社も、放水銃やスプリンクラーで十分防火対応できます。港区は全域「防火地域」がかかっていますので100㎡を超える建築物は全て耐火建築にしなければなりません。(建築基準法61条)その例外、特例は区長が判断します。

 現在の港区長武井さんは私の区長時代の人事課長、2人の副区長はそれぞれ総務課長、人事研修担当課長で、建築や都市開発、技術分野、文化芸術分野は全くの素人。また、技術系の職員は文化芸術のことを理解せず単純に「法に照らして違反」というだけで、特例許可などの発想はありません。(できません)本件で、港区は文化政策の観点から政治判断すべきでした。そうした判断できる幹部がいないということです。それに尽きます。残念なことです。港区は大変重要な文化財をもらいそこないました。

老後2000万円問題、私見

8月でしたか金融庁が「老後65歳から30年生きると年金の他2000万円必要」と発表、財務大臣がその報告書受け取りを拒否しました。問題は統計のトリックです。統計は全体像は分っても個別のことは説明できません。人生様々、お金の使い方も様々です。表面的な言葉で野党もマスコミも騒ぎ立てること(いつものことですが)に違和感を抱きました。

私個人のライフスタイルでは、車も持たず、酒も飲まず、ギャンブルもせず、ゴルフもせずですから、ギリギリで生活できます。車を持ち、毎日晩酌をし、ましてや銀座のナイトクラブなどで酒を飲む、ゴルフ三昧の方々は老後2000万以上必要でしょう。様々なライフスタイルがあり、必要となる老後資金も様々です。そういえば港区議会で共産党議員Kさんは高級外車に乗っていました。共産党議員らしからぬライフスタイル。区議の給料は60万円、その内共産党に納める党費は相当な額でしょうから生活費も大変のはずです。K氏は高級クラブでお酒を飲んでいました。酒仲間の自民党区議団長M氏からいつも共産党のKとクラブで酒を飲んでいると聞かされました。高級外車の維持費(駐車場代、ガソリン代、保険、車の減価償却費など)で相当老後資金が必要でしょう。そういうライフスタイルもあります。好ましいとは言えませんが。

ルーティンワーク

毎日必ずやっていることがあります。日本の新聞のファイルです。50年やっています。環境問題、福祉、教育、建築、防災などファイルしています。個人資料です。私のデータの武器です。さらにこの20年以上はニューヨークタイムズをインターネットで読んでいます。90年代は無料で読めましたが、しばらくして有料になりました。毎日ニューヨークの様子が手に取るように分ります。特に、日本の新聞と異なるのは文化、芸術、建築分野の記事が多いことです。それから、アメリカ建築家協会発行の月間誌もインターネットで閲覧しています。夜はCNNニュースを1時間視聴します。港区長時代、広報課長(秘書担当)が毎週、港区政に関連すると思われる新聞記事の切り抜きを基に社会動向の説明がありました。区長への情報提供で感謝すべきですが、実は、私にとりすでに知っていることばかりでした。それまでの区長はあまり新聞を読んでいなかったのかも知れません。

あおり運転ならぬあおり水泳?

週1回程度ジムで水泳(水中歩行)、ランニングをしています。最近あおり運転の事件報道が増えました。プールであおり水泳の被害?に遭いました。プールでご高齢の方々(私も高齢者です)が水中歩行しています。プールは追い越し禁止と書いてあります。ある高齢者、後ろ向きでゆっくり水中歩行します。私がその後を追うように水中歩行していると睨み付けられるような位置関係になります。私の方が若い?のですぐ追いつき、追い越しでなく、追い抜こうとすると、その高齢者が私を睨み付け「追い越し禁止」とお説教。トラブルを避けるため、私はUターン。楽しくトレーニングをする施設で多大な気を使うとは。トホホです。

ニューヨーク市警察委員長が実施。不祥事対応。不正警官を見て見ぬふりする同僚警官は同罪。港区では。

「ニューヨーク市の治安政策」についてこの春10万字の小論を明治大学ガバナンス研究科紀要論文で発刊しました。インターネットで閲覧できます。90年代ニューヨーク市の警察委員長を勤めたブラットン氏が尽力し、ニューヨーク市の犯罪を激減させた中心人物です。

一方不祥事対策も見事です。不祥事を起こした警察官に対し厳し態度で臨みました。多くのメディアを集め、犯罪を犯した警察官から警察官バッジを取り上げるセレモニーをしました。そして、「警察官に就任した際、社会のために警察官バッジを使うと誓いの言葉を述べたのに、警察官バッジを私利私欲のために悪用しけしからん。」とお説教しました。で、懲戒免職にしました。日本の警察も学ぶべきです。同様のことをすべきです。

さらに、お説教で訓示した事。「同僚の警察官は不正を見て見ぬ振りし、警察官の不正を助けた。したがって同罪である。」と大変厳しいお言葉。

港区役所で、官製談合、開発利権を区長の立場で耳にし、私は厳しく取り締まる姿勢を取りました。議員が主導しているという話を耳にしました。実際事務手続きは行政がします。つまり、行政側が手を貸さなければ不正はできません。私の時のU助役、N政策経営部長などはこうした不正を知っていました。しかし、不正を改善しようとしませんでした。私が強引に正しました。こうした最高幹部は同罪です。その程度の意識の幹部職員でした。残念なことでした。現区長の武井さんは私の時の人事課長。おとなしい人物。建築や都市開発の知識は無し。そうした勢力にとり都合が良かったのでしょう。

エンテベ空港の7日間を観賞しました

映画「エンテベ空港の7日間」を観ました。実話に基づく映画です。1976年夏エールフランス機がハイジャックされ、ハイジャック犯がウガンダのエンテベ空港に強硬着陸。エールフランス機ですから基本的にはフランス政府の対応ですが、乗客の大半がユダヤ人(イスラエル国籍)、ハイジャック犯の要求はイスラエルを中心に収容されている親パレスチナ・テロリストの解放要求ですのでイスラエル政府が中心になり対応しなければなりません。実際に発生した事件ですから、詳細は過去の報道を参考にしてください。

私は危機管理の材料として記憶を継続しています。アメリカ留学から帰国しまもない時の事件でしたので現在でも覚えています。改めて映画を観て感じたこと、以下にコメントします。

まず、イスラエル政府の対応。国家の威信をかけ、力づくで国民の生命を守るという固い意志を持っていることです。そして原理原則、テロリストと交渉はしない、ということです。(日本政府にはなかなか困難な内容です)

次に、国家的な危機に際しての議論のマナーです。映画ですからどこまで事実か分りませんが、欧米に留学した経験からそうだろうなと同感の場面がありました。首相、国防大臣、軍の最高司令官のマナー、会話の方法です。時代は異なりますが、それぞれ、たばこをふかしながら時に笑顔で会話をしていることです。雰囲気は友達同士の会話です。日本なら大声出したり、怒鳴り声になったりするでしょう。危機の時こそこうした精神的余裕が大切と思いました。

次に、救出作戦の検討、演習、実行です。太平洋戦争の時、インパール作戦(机上の論理だけで実行し全滅した愚かな作戦の事例、今日では愚かな作戦と評価)、国民に竹槍を持たせ米軍と戦えと命じたバカな日本軍指導者がいました。今日も、倒産した日本航空の経営者、会社をダメにした東芝社長、不名誉な事件を起こしたオリンパス社長、日産の経営陣など、ばかな司令官が多くいますが。首相と国防大臣が軍の最高司令官に作戦を検討させ、データに基づきその成功の確率を判断させ、作戦の方針が決まれば事前に演習。おそらく、作戦が成功した背景には第一の当事者であるフランス政府、それから、アメリカ政府などの情報提供、助言などがあったと思います。つまり、常時の連携、信頼関係の維持です。首相と国防大臣は政治責任はすべて自分にあると発言。

一つの映画を観ながら多くのことを学びました。お勧めの映画です。

弘前の伝統建築見学

先日、日本建築研究会という伝統建築を勉強する会(不肖私は副会長)で弘前市を訪問、市内の伝統建築の見学をしました。訪問先は盛秀園、盛美園、長勝寺、栄螺堂、弘前市立図書館、東奥義塾外人教師館、岩木山神社、高照神社、革秀寺、誓願寺、弘前城です。

弘前市は人口17万人、一般会計規模760億円です。金沢市と比較します。江戸時代、加賀百万石と称されました。弘前(津軽)藩は10万石。金沢市の人口は46万人。財政規模は1721億円。金沢城、兼六園はある資料によると約40ヘクタール、弘前城は約40ヘクタール。市の人口、財政規模、江戸時代の石高でみると弘前は金沢より小規模ですが、伝統建築の量、質で見ると、すばらしい歴史遺産が存在します。コーヒー店発生の地でもあります。盛美園は1階が和風数寄屋、2階は洋館、大福もちの上にケーキが乗っているようなスタイル(この表現は仲間のTさんのコメント)。2階の方が大きく、構造的にどのように2階が支えられているのか不思議です。大きな仏壇が安置されている部屋(法堂)があります。装飾金で、クジャクの装飾は国宝級と言ってよいと思います。清藤邸の住宅、庭園(築山、中島)も見事です。現在のご当主に説明を頂きましたが、家訓の一つに「家の財産は社会からの預かり物と思え、自分のものと思うな」というのがあり、同感でした。最勝寺は市内寺町にあります。33の曹洞宗のお寺が集中立地し、その筆頭格の寺です。2階建ての黒門がありますが、通し柱かどうかで議論しました。結論は通し柱です。本堂は藩主をお祭りする空間です。

栄螺堂は八角堂で、災害で亡くなった方をお祀る堂です。会津若松に栄螺堂がありますが、それを小規模にした感じです。緩い階段を上り、登り切ったところから一直線の急な階段で1階に戻る動線です。岩木山神社は300メートルの直線状の園路の先に配置されています。柱に金の竜の彫刻が巻き付いています。中門、拝殿はもともとお寺の作りです。革秀寺の本堂は茅葺き屋根の民家風の造りです。 誓願寺の山門は、一般的な平入でなく、妻側が正面に向いている特殊なデザインです。建立した際の住職が遊び心があったのか、それから当時の大工が遊び心があったのか。デザイン心の高い、技術的に質の高い伝統建築が集中しており、建築を堪能しました。