月別アーカイブ: 2020年1月

ウィーン・ヤーノシュカ・アンサンブル最高の演奏

ウィーンを拠点に活動しているヤーノシュカ・アンサンブルの演奏を聴きました。素晴らしの一言です。アンサンブルは3人のヤーノシュカ兄弟と義理の兄弟1人、合計4人で構成されています。演奏技術、アレンジ技術、聴衆を楽しませるエンターテイメント性などどれをとっても素晴らしい内容です。クラシックとジャズなど現代音楽との融合、様々なジャンルの音楽を演奏する幅の広さがあります。大好きなベートーベンの月光が始まり、しばらくするとジャズ調になり、また、クラシックになり、と不思議な構成でした。ビートルズのイエスタディもビートルズ風からクラシック風に途中で変化。クラシック音楽というとどうしてもかしこまって聴いてしまいますが、素直に楽しめる音楽です。機会ありましたら是非聴いてみてください。また来日する日を期待しましょう。

新型コロナウィルス。指定感染症トップダウン。疫病は都市崩壊の原因の一つ。

1月28日(火)の報道で、政府は首相官邸のトップダウンで、新型コロナウィルスによる肺炎を「指定感染症」としました。よかったと思います。政治判断で決定したと思います。ウィルスはどんどん進化します。制圧してもまた新しいウィルスが生まれます。28日日本でも武漢への滞在歴がない日本人が新型コロナウィルスの肺炎にかかったと報道がありました。疫病は都市を崩壊させる原因の一つです。3.11の大震災の際、アメリカ、ドイツ、フランス大使館は翌日避難命令を出し、大使館員や留学生など東京から避難しました。危機管理の鉄則です。(危機管理の最悪の例はイランイラク戦争の時の日本政府の対応でした。西ドイツ、韓国などは直ちにそれぞれの国の軍用機が救援に来ました。日本政府は何もせず、一部の日本人はトルコ航空の救援機に救助されました)

疫病は都市を崩壊させる原因の一つです。1977年建築家菊竹清訓先生から頼まれ、Scientific AmericanのCities(日経サイエンス)の「都市」の翻訳をしました。サイエンスは、特に医学、物理、化学分野の論文はノーベル賞候補になる権威ある専門誌です。アメリカでは当時40万部くらいの販売量でした。(40万人が読んでいることでアメリカ人の知的水準が分かります)その中で、カリフォルニア大学バークレー校のデイヴィス教授、また、テキサス大学ショーバーグ教授の論文に、都市の誕生の要因と「都市の衰退の要因として、環境破壊、戦争、経済の衰退、そして健康被害(疫病)の4つが主な原因」と書かれています。今回、新型コロナウィルスが発生した国が中国ということです。共産党一党独裁政権で、自由な報道がされないという問題があります。国が出す報道がどこまで正確か、不明なのが問題です。蔓延が収束することを祈ります。

平泉展開催中、スケッチを展示

平泉展(ヘイセンテン)第32回が六本木の新国立美術館で1月22日(水)から2月3日(月)まで開催されています。保坂先生が主宰する会です。お時間ありましたら、また、ついでがありましたら、ご覧下さい。私は毎回建築スケッチ(A-2サイズ)2点と建築のコンセプト模型を出展します。今回は山形市にある済生館のスケッチとフィンランド、ヘルシンキ工科大学学生センターのスケッチを製作、出展しました。

済生館は明治時代の洋館建築です。明治9年(1876年)当時の県知事三島通庸が洋式の病院建築建設を決定、筒井明俊を設計者に指名し、上京させ洋式の病院建築を視察、ドイツ人医師の助言を基に平面図を作成。棟梁は高橋長左衛門。同じく上京し洋館建築を視察。明治12年太政大臣三条実美が「済生館」と命名、揮毫しました。資料が限られている中、素晴らしい建築を作りました。設計者と大工の能力の高さを示すものです。木造で、中庭を囲む14角形のドーナツ状。明るいパステル調の色彩。ポップな様式。当時の知事、設計者、大工の意欲で、伝統にこだわらず新しい様式を創造しようとした努力を評価したいと思います。私は済生館は何度も訪問、いずれスケッチを製作しようと思っておりました。やっと描くことができました。今日の建築家ばかりでなく政治家も当時の関係者が前例にとらわれることなく斬新な病院建築に挑戦したことを学ぶべきです。愚かな港区N部長が「何かやろうとした際、前例に有ません。」と発言したこと今でも苦々しく覚えていますが、明治初期の政治家や官僚よりもたちが悪いです。早く引退しろと言いたい気持ちです。

もう一つのスケッチはヘルシンキ工科大学の学生センター。これも造形的に意欲的なフォルムです。設計者はレイマ・ピエティレ。縦、横の線でなく、自由奔放な、かつ、鋭角、岩石のようなフォルムのデザインです。学生時代、レイマ・ピエティレの建築にあこがれ見学に行きました。1971年、スウェーデン留学中にピエティレに手紙を書き、面会を申し入れしましたらOKの返事をいただき、ヘルシンキにある氏の事務所を訪問し、彼の造形論について質問しました。その顛末は1972年の早稲田建築に投稿しました。これも思いで深い建築で、ぜひスケッチに描きたいと思っておりました。私はブルガリアの国際建築アカデミーで客員教授を仰せつかっておりますが、ピエティレ氏はアカデミーの正会員でした。

後は、某公共施設のイメージ検討の習作のためのコンセプト模型を3点製作、展示しました。本当の目的はボケ防止と仲間づくりです。

3度の海外留学とは幅広いネットワーク。

3度の海外留学をし、最先端の学問内容を習得し、異なる地域の文化を学び、そして多くの友人、教授たち、同窓生とのネットワークができました。大きな財産です。一般的に早稲田大学の建築学科を卒業した仲間と比べ、異なる分野の仲間づくりができました。早稲田大学の留学の同窓生は、大手金融機関、商社、航空会社、マスコミ、弁護士などの専門職などの分野で仕事をしました。フルブライト同窓会は、中央官庁の幹部、大学教授、経済界、弁護士などの専門職、マスコミなどの幹部に仲間がおりました。

港区長時代、3回海外留学したと話をすると元区長から「海外留学したという話をするな」とお小言がありました。私は「設計事務所の社長でした、では、区民がなぜ区長をするのか理解が困難でしょうから、3回海外留学した挑戦心豊かな、かつ、最先端の知識を有し、また、多くのネットワークを持っている人物です、安心ください。」という意味です。公務員であれ大企業であれ、大学卒業し組織に就職した場合、同一組織で長年勤めればその組織については習熟します。しかし、他の分野の人との付き合いは限られます。私の場合はその対極で、多くの異分野で多くの友人を作ることができました。実際、そうした友人から仕事で貴重な助言をいただきました。同一組織に長年在籍し、他の組織や他の分野を歩んできた人間を認めようとしない元港区長や最高幹部らの姿勢は残念でした。最近ダイバーシティ(多様性)というキーワードが拡大、浸透しています。港区の最高幹部はこのキーワードの意味を理解できないし、具体的な実践をしていません。

早稲田大学同窓会誌。派遣留学生数1200人。内向きな日本国内と留学アレルギー港区幹部。

2020年早稲田大学の同窓会誌の早稲田学報2月号に早稲田の派遣留学生1200人と書かれていました。私が早稲田大学の交換留学生としてアメリカに派遣された1969年は、交換留学制度始まって4期生。交換留学制度で派遣された学生数10名程度でした。50年後100倍に増加しました。学生数5万人として学生数の2.4%が留学します。1学年1万2千人とすると1学年あたり10%の学生が留学する計算になります。様々な国の大学で学び異文化を理解することは素晴らしいことです。交換留学制度は早稲田大学が誇る教育の一つです。

ところが、日本全体で見ると、アメリカへの留学生は中国、韓国からの留学生数と比較し、はるかに及ばない数値です。日本全体が内向き志向です。伝統ある組織に就職したいとすると、留学するとかえって就職試験に不利になるのでは、とか、日本は住みやすいからあえて海外で学ぶ必要がない、とか、海外留学すると特殊人間に見られ差別に会うのではと恐れ留学したくない、など様々な原因が考えられます。

3度の海外留学の体験と港区長を務めた体験に基づき、港区最高幹部の意識は海外留学や異文化理解に対する意識は無いというのが私の結論。元区長から留学の話をするな、私の区長時代の重要なポストの政策経営部長N氏から留学の話をするな、と私には理解不能のお説教。彼らの学歴コンプレックス、知識不足からの嫉妬ヤッカミの類のお説教でした。私の区長時代、東京財団の奨学金で夏休みを利用し1か月ポートランド大学公共政策大学院で通訳付きの留学制度に応募せよと助役、武井人事課長を通じ公募しましたが応募ゼロ。荒川区からは5人の応募がありました。港区の公式見解として「異文化理解」を掲げていますが、元区長、元政策経営部長、現区長など最高幹部は異文化理解に対する知識、意識は無いのかあるいは低レベルです。80も大使館があり、区民の10%が外国人であることを考えると、最高幹部はもっと異文化を学ばなければなりません。残念です。

アメリカ人と日本人の時間距離感覚の違い。西部劇と時代劇の違い。インフラの思想の違い。

1960年前後はアメリカのテレビ映画の多くが日本で放映されていました。ホームドラマ、ヴァラエティショウ、警察物語、それから西部劇。その一つにララミー牧場がありました。時代想定は19世紀後半と思います。主役のジェフ(ロバート・フラー)の台詞。「(ワイオミング州の)ララミーから(コロラド州)のデンヴァーまで馬で急げば一日で往復できる。」地図で見ると200キロ。その頃日本では武士も庶民もほとんどが「徒歩」による移動でした。1日40キロ程度の移動ですから200キロ離れた都市まで5日程度要します。往復で10日です。

アメリカでは馬のスピード、正確にはわかりませんが、時速40キロ、50キロと思います。日本では歩く速度、時速4キロと思います。

道路の幅員は、想像ですが、アメリカでは馬の速度に合わせ、10メートル以上。日本では歩く速度に合わせ、4メートルから6メートル。アメリカでは自由に移動。日本は関所で通行者を吟味。都市づくり、インフラ整備にこうした思想の違いが根底にあります。

ダイバーシティ社会の推進・行政と民間・大学組織の課題

人権などの観点から、また、活力ある社会づくりの観点からもダイバーシティ(多様性)社会の構築は大きな課題です。最近様々な場面で耳にします。ダイバーシティの社会は大切な目標です。一方で、主唱している行政や民間の大組織、大学などは大丈夫と違和感を抱きます。アメリカとスウェーデンで学んだ経験からするとなおさらです。

アメリカでの体験です。順不同です。20年ほど前ニューヨークタイムズの社長は女性、前職高校の校長で転職でニューヨークタイムズに入社。次の社長も女性でした。日本にそのような多様性のある人材はマスコミにも民間企業にもいません。

女性の知人は30代でホワイトハウス広報官、40代フォード自動車広報部長、50代ボーイング社広報担当副社長。

ニューヨーク市警察のトップの指揮官の警察委員長(ポリースコミッショナー)の経歴、1990年頃のブラウン氏、黒人、オクラホマ州の貧困家庭で育ち、フットボール選手として奨学金をもらいカリフォルニア州立大学で学び卒業後地元の警察官になり、その後、さらに州立大学の修士課程で修士号取得、警察官を継続し、その後、大学教授になり、さらにカリフォルニア州立バークレー校で犯罪学の博士号を取得。ジョージア州アトランタ市の警察委員長、テキサス州ヒューストン市の警察部長、90年に初の黒人ニューヨーク市長のスカウトでニューヨーク市の警察委員長に就任。その後、私の母校であるヒューストンのライス大学公共政策の教授、その後、ヒューストン市長に就任。

ライス大学で私の指導教官はオーストラリア人、メルボルン大学出身でライス大学の准教授、その後ハーヴァード大学に移動、45歳でハーヴァード大学大学院長に就任しました。私のライス大学の修士号審査教授のアデール・サントス女史はその後MITの大学院長に就任。アメリカの大学は権力を作らせない、多様性を維持するという観点から自校の卒業生の教員比率を20%以下に抑えています。日本の大学は東大教授は東大卒業生、早稲田大学の教授はほとんどが早稲田大学卒業生。

日本の組織(大学もマスコミも行政も企業も)は同じ時期に入社試験を受け、4月に入社、30代で係長、40代で課長、50代で部長と金太郎飴の人材構成です。しかも、基本は日本人のみの社会。行政やマスコミ、大学教授などのインテリがダイバーシティの社会を作りましょうと主唱するのは結構ですが、本心はダイバーシティと正反対の組織に身を置く方々が本当にダイバーシティという意味を理解しているか、疑わしいです。私自身の経歴、考え方はダイバーシティそのものですが、日本の社会ではマイノリティで白い目で見られることの方が多いです。

CO2排出量から見た住宅計画の高さ・密度

アメリカの建築家協会(AIA)の月刊誌を毎日インターネット購読しています。1月15日配信の記事に、CO2排出量から見た住宅計画という記事があります。調査研究はシカゴの設計事務所Smith & Gillによります。住宅のタイプは9種類、1.極超高層住宅213階、2000戸 2.超超高層121階、1000戸、3.超高層65階、500戸、4.高層38階、200戸、5.中層20階、100戸、6.コートヤード型4階、20戸、7.3階3戸、8.市街地内戸建2階、1戸、9.郊外戸建2階戸建です。

CO2排出量は1戸当たり最少は3.超高層の場合、52t、4.高層の場合55t、最も多いのは1.の極超高層の119tです。ある程度の密度(65階500戸)で生活するのが良いという結論です。CO2排出量の観点から住宅開発の密度の適切さの興味深い研究です。

PCB処理。専門家・技術士に対し安過ぎる東京都庁の報酬。

20年1月16日読売新聞にPCB処理「橋5本で5.5億円」自治体「負担重い」と見出し。1960年代から70年代にかけて塗装、蛍光灯などの電気製品にPCB(ポリ塩化ビフェニール)が使われ、現在PCB除去が政策課題となっています。技術士など専門知識が期待されます。

数日前、技術士の友人(技術士資格は文部科学省が所管で、医学を除く様々な技術分野の最高の資格と評価されています。)曰く、「東京都庁から相談があり、PCB除去のため技術士を非常勤の公務員として採用したい、週4日勤務し、月給は20万円。」と言われたとのことです。日給1万円です。驚きました。

技術士会の内規で技術士の日当は経費込で14万円。実質の手取りは一日5万円。国土交通省が定める主任技師の日当もおよそ1日5万円です。経費や組織の利益を含めると1日14万円になります。また、東京都の課長級の年収は1000万円前後でしょうから、計算上年間200日の勤務(土日で100日の休日、プラスその他祭日と夏休み、正月休暇などありますから年間200日の勤務と想定できます)ですから東京都の課長級の1日の日当は5万円となります。技術士は能力、経験から東京都庁の課長級以上に相当すると評価されています。すると、最低でも日当は5万円必要となります。1日1万円の日当は、高度な知識が必要とされない非常勤のパートに相当します。東京都含め他の自治体も技術士のなんたるかを理解していただく必要があります。一方、日本技術士会は東京都に対し「技術士の適正な評価をすべき」と強くアッピールすべきです。

IR汚職。欧米の政治家との比較からのコメント。

秋元司衆議院議員がIR(総合型リゾート:カジノのこと)立地選定を巡る汚職事件で東京地検に逮捕されました。欧米(といっても、アメリカとスウェーデン)事情を多少体験した立場からのコメントです。

1 まず、欧米で政治家個人による「口利き」は不適切とみなされます。日本の政治家は遅れています。国会議員なら公費で海外視察の機会も多くあると思いますが、欧米の政治家の不正防止対策について勉強しないのでしたら、公費で海外視察は無駄です。

2 欧米では、政治家の活動は基本的にすべて公開されます。監視されます。こうした不正は欧米では起こりにくいです。日本の政治活動も基本はすべて公開すべきです。

3 政治家の学習歴についてです。欧米では政治家は基本的に政治にかかわる分野について相当勉強します。欧米の政治家、特に国会議員であれば、弁護士資格など難度の高い資格や学歴を有します。オバマ大統領はハーヴァード大学の法律大学院に在学中、大学院の専門誌(ハーヴァード・ロウ・レビュ)の編集長を務め、大学院の授業のほか、学問的内容を深め、編集作業をする中で専門分野の人脈を広げました。秋元氏は新聞報道によれば、特に専門的な学習をしたわけでなく、某国会議員の秘書を務め、地元のドサ周りを続け、顔を売り国会議員になったようです。失礼ながら、立法の府に相応しい高度な知識を学んだと言えそうではなさそうです。こうした方を議員に選んだ有権者にも責任があります。アメリカ、スウェーデンなら秋元氏の経歴では国会議員に選ばれないでしょう。利権のために活動する政治家はすぐバレ、次の選挙で当選できません。

4 スウェーデンの場合、大型公共事業などが計画されると捜査機関に特別チームが編成され、政治家に対して監視体制が強化されます。不正を許さない仕組みづくりに有効な手法と思います。今回のIR(統合型リゾート)も特定の民間企業と政治家の利権につながる恐れがありますから、スウェーデンと同様、堂々と捜査機関やマスコミが公に監視体制を組むことが必要です。もちろんマスコミも監視活動をすべきです。