日別アーカイブ: 2020年1月19日

ダイバーシティ社会の推進・行政と民間・大学組織の課題

人権などの観点から、また、活力ある社会づくりの観点からもダイバーシティ(多様性)社会の構築は大きな課題です。最近様々な場面で耳にします。ダイバーシティの社会は大切な目標です。一方で、主唱している行政や民間の大組織、大学などは大丈夫と違和感を抱きます。アメリカとスウェーデンで学んだ経験からするとなおさらです。

アメリカでの体験です。順不同です。20年ほど前ニューヨークタイムズの社長は女性、前職高校の校長で転職でニューヨークタイムズに入社。次の社長も女性でした。日本にそのような多様性のある人材はマスコミにも民間企業にもいません。

女性の知人は30代でホワイトハウス広報官、40代フォード自動車広報部長、50代ボーイング社広報担当副社長。

ニューヨーク市警察のトップの指揮官の警察委員長(ポリースコミッショナー)の経歴、1990年頃のブラウン氏、黒人、オクラホマ州の貧困家庭で育ち、フットボール選手として奨学金をもらいカリフォルニア州立大学で学び卒業後地元の警察官になり、その後、さらに州立大学の修士課程で修士号取得、警察官を継続し、その後、大学教授になり、さらにカリフォルニア州立バークレー校で犯罪学の博士号を取得。ジョージア州アトランタ市の警察委員長、テキサス州ヒューストン市の警察部長、90年に初の黒人ニューヨーク市長のスカウトでニューヨーク市の警察委員長に就任。その後、私の母校であるヒューストンのライス大学公共政策の教授、その後、ヒューストン市長に就任。

ライス大学で私の指導教官はオーストラリア人、メルボルン大学出身でライス大学の准教授、その後ハーヴァード大学に移動、45歳でハーヴァード大学大学院長に就任しました。私のライス大学の修士号審査教授のアデール・サントス女史はその後MITの大学院長に就任。アメリカの大学は権力を作らせない、多様性を維持するという観点から自校の卒業生の教員比率を20%以下に抑えています。日本の大学は東大教授は東大卒業生、早稲田大学の教授はほとんどが早稲田大学卒業生。

日本の組織(大学もマスコミも行政も企業も)は同じ時期に入社試験を受け、4月に入社、30代で係長、40代で課長、50代で部長と金太郎飴の人材構成です。しかも、基本は日本人のみの社会。行政やマスコミ、大学教授などのインテリがダイバーシティの社会を作りましょうと主唱するのは結構ですが、本心はダイバーシティと正反対の組織に身を置く方々が本当にダイバーシティという意味を理解しているか、疑わしいです。私自身の経歴、考え方はダイバーシティそのものですが、日本の社会ではマイノリティで白い目で見られることの方が多いです。

CO2排出量から見た住宅計画の高さ・密度

アメリカの建築家協会(AIA)の月刊誌を毎日インターネット購読しています。1月15日配信の記事に、CO2排出量から見た住宅計画という記事があります。調査研究はシカゴの設計事務所Smith & Gillによります。住宅のタイプは9種類、1.極超高層住宅213階、2000戸 2.超超高層121階、1000戸、3.超高層65階、500戸、4.高層38階、200戸、5.中層20階、100戸、6.コートヤード型4階、20戸、7.3階3戸、8.市街地内戸建2階、1戸、9.郊外戸建2階戸建です。

CO2排出量は1戸当たり最少は3.超高層の場合、52t、4.高層の場合55t、最も多いのは1.の極超高層の119tです。ある程度の密度(65階500戸)で生活するのが良いという結論です。CO2排出量の観点から住宅開発の密度の適切さの興味深い研究です。

PCB処理。専門家・技術士に対し安過ぎる東京都庁の報酬。

20年1月16日読売新聞にPCB処理「橋5本で5.5億円」自治体「負担重い」と見出し。1960年代から70年代にかけて塗装、蛍光灯などの電気製品にPCB(ポリ塩化ビフェニール)が使われ、現在PCB除去が政策課題となっています。技術士など専門知識が期待されます。

数日前、技術士の友人(技術士資格は文部科学省が所管で、医学を除く様々な技術分野の最高の資格と評価されています。)曰く、「東京都庁から相談があり、PCB除去のため技術士を非常勤の公務員として採用したい、週4日勤務し、月給は20万円。」と言われたとのことです。日給1万円です。驚きました。

技術士会の内規で技術士の日当は経費込で14万円。実質の手取りは一日5万円。国土交通省が定める主任技師の日当もおよそ1日5万円です。経費や組織の利益を含めると1日14万円になります。また、東京都の課長級の年収は1000万円前後でしょうから、計算上年間200日の勤務(土日で100日の休日、プラスその他祭日と夏休み、正月休暇などありますから年間200日の勤務と想定できます)ですから東京都の課長級の1日の日当は5万円となります。技術士は能力、経験から東京都庁の課長級以上に相当すると評価されています。すると、最低でも日当は5万円必要となります。1日1万円の日当は、高度な知識が必要とされない非常勤のパートに相当します。東京都含め他の自治体も技術士のなんたるかを理解していただく必要があります。一方、日本技術士会は東京都に対し「技術士の適正な評価をすべき」と強くアッピールすべきです。