月別アーカイブ: 2020年2月

ロサンジェルス市。街路灯デザインの国際コンペ。東京都庁や日本の自治体も国際コンペを!

3月20日締め切りで、ロサンジェルス市が街路灯デザインの国際コンペを実施しています。市長エリック・ガルセッティ氏は世界中の建築家、照明専門家、技術者に対し、アイデアを求めています。国籍、出自、性別問わず公平、公正にアイデアを求めるコンペは欧米の建築や公共事業で頻繁に実施されます。ロサンジェルス市の環境に衝撃を与えるような優勝案は具体化され、近い将来ロサンジェルス市の多くの道路沿道に建てられます。期待しましょう。

欧米では国も自治体もロサンジェルス市のように公共事業のデザイナーを国際コンペで広くアイデアを募ります。日本では国も東京都庁含めほとんどの自治体で入札でデザイナーが決まります。しかもおかしな条件付きです。社員数は?売り上げは?実績は?など理解に苦しむ条件が入札参加に課せられます。仮に1000人の従業員がいる事務所でも特定の業務に1000人が参加するわけでありません。実際数人です。入札は担当職員からすれば楽です。また、発注業務に意識が欠け、知識も不足しているのでしょう。安かろう悪かろうがはびこっています。創作物は安ければよいというものでありません。少し時間はかかりますが、コンペなど準備し、広くアイデアを募り良い案を採用する方式にすべきです。分からなければ私はいくらでもご助言できます。現状のままの制限が付いた入札方式だと、いずれ、欧米各国から日本の公共事業は閉鎖的だと批判の声が出始めるでしょう。

コロナヴィールス恐れるな!適切な対応。

2月15日現在、日本の感染者259人。中国は感染者累計6万3千人。死者1380人。中国の統計は政府が意図的に修正している恐れもあります。まだ拡大するのか、そろそろ収束するのか、現時点では不明です。私事ですが、1998年東京都庁の幹部から依頼され「特養におけるインフルエンザ予防対策マニュアル」を作成しました。表紙のデザイン、中のイラストなどすべて手作りです。作成後、厚生省から全国の特養に配布してほしいと依頼され当時7000部印刷し郵送しました。

今回のコロナヴィールスの対策も基本は同じです。①手洗い、うがいを頻繁にする。②ドアの取手、机、キャビネットのカギなど多くの人の手が触れる箇所をアルコール消毒する。③人ごみはマスクする。④室内は適時外気を取り入れ換気する。⑤個人個人、栄養ある食事をし、睡眠を十分とる。私の専門は建築・都市問題ですが、若い時、室内気候の研究をしたことがあり、その経験が評価され私に依頼があったと思います。アメリカのJohns Hopkins大学のシステムサイエンス・エンジニアリング・センター(Center for Systems Science and Engineering)が開発した”dashboard”にアクセスするとコロナヴィールスの拡大状況が世界地図情報で理解できます。 

アメリカ留学中Scientific Americanの1964年ウィリアム・ランジャーが書いた論文「黒死病」を読みました。都市の衰退、崩壊の原因は①戦争、②天災、③環境悪化、④経済、⑤疫病です。アラビア半島のフェリックス(現在のイエメン)の都市は紀元前の2000年間にわたり交易で栄えました。交易の主要物質のニーズが無くなり衰退しました。1348年イタリアで黒死病が発生、蔓延しました。ヨーロッパの人口の1/4が亡くなりました。原因は黒海から商船がペスト菌を持ってきたようです。カトリック教会が病気回復のためのお札を売っても効き目なしでした。(あたりまですが)カトリック教会のに対する権威が無くなり、宗教改革につながりました。新教が生まれました。また、明日死ぬかもしれないという気持ちから市民が享楽的になり、カソリック教会が禁じていたヌードの絵画や彫刻が見直され、ルネッサンス運動につながりました。少しでも多くの方が健康を維持し、コロナヴィールスの拡大がとまり騒ぎが収束することを祈っております。

海外旅行・人を成長させる。異文化理解に欠ける港区幹部。

週刊新潮2月20日号で佐藤優(元外務省職員)と旅行会社エイチ・アイ・エス社長沢田秀雄の会談記事を読み納得です。お二人とも学生時代海外旅行をし、異文化を学びました。佐藤優はエジプト航空でヨーロッパに行き、鉄道でドイツ、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ロシアを旅しました。沢田秀雄はシベリア鉄道でドイツに行き、ドイツの大学で学びました。お二人とも「旅行しながら異文化に接し、また、トラブルに遭い、人間が成長しました。」と語っています。

私も1969年、まだ1ドル360円の時代、早稲田大学の交換留学生としてアメリカ、オハイオ州のウースター大学で1年間学びました。また、1971年スウェーデンの設計事務所で技術研修を受けました。シベリア鉄道に乗りスウェーデンに行きました。1974年フルブライト奨学金で再度アメリカ、テキサス州ヒューストンにあるライス大学建築大学院に留学しました。留学の間、アメリカの都市を多く訪問しました。スウェーデン留学ではナホトカ、ハバロフスク、モスクワに滞在、社会主義の国に触れました。都市の雰囲気を感じ、人々と接し、それぞれの異なる文化に接しました。日本について、ほとんど情報が入ってこない、もっと日本について情報発信をしなければいけないのではと感じました。双方の異文化理解を発展、拡大する必要性を感じました。もっともスウェデーンは1971年ですが結構日本の情報が入ってきました。私も海外で暮らし異文化に接することで教養の幅が広がりました。アメリカの大学の教育方法、アメリカの地方自治など、日本のそれと似て非なることが分かりました。また、それぞれの国で友人や彼らの家族に親切にしていただきました。アメリカもスウェーデンも自由な国です。旧ソ連は私にとり窮屈な国でした。駅や空港、鉄道からの景色、官庁建築などは写真撮影禁止。建築の学生としては写真を撮影したい対象ですが。言論の自由が制約されています。

特に港区長に就任し、港区は80も大使館がある地域であるので異文化交流、異文化理解について積極的に対応しました。港区の職員は、港区が国際都市ですが、外国人がいない他の地方都市の公務員と同じです。英語が話せるわけでもなく、また、海外情報を持っているわけでもありません。少しでも職員に海外の情報を提供し、異文化理解の助けにしようと尽力しました。しかし、元区長S氏、元政策経営部長N氏、口(くち)と性質(たち)の悪いベテラン議員などは異文化理解に全く関心がなく、知識教養もなく、もっと言えば、職員に異文化理解を説明する私の行動に対し「外国かぶれ」といったお決まりの攻撃フレーズ。自ら知識もなく、知識を持つ者に対する偏見、嫉妬ヤッカミ、イジメの世界でした。今の武井区長も表向き異文化理解と唱えていますが、本人は異文化について何もわかっていないのが残念です。

トランプ大統領は連邦政府建築をギリシャ様式にする?

アメリカで建築の勉強した経験から、アメリカの建築デザインはいつもわくわくドキドキさせられる素晴らしいデザインです。主に設計競技で建築家が選ばれ、独特のデザインで多くの連邦政府建築が作られてきました。サンフランシスコの連邦事務所はモフォーシス設計事務所がデザイン、テキサス州オースティン市の連邦裁判所はマック・スコギン・メリル・エラム事務所がデザイン、マイアミの連邦裁判所はアーキテクトニカがデザイン、アバンギャルドのデザインです。多くの方から称賛の声があります。

とろが、2月5日のCity Labの記事と2月7日のニューヨークタイムズの記事に、トランプ政権は「Making Federal Building Beautiful Again」と唱え、連邦政府の建築をギリシャ様式の古典主義の建築にするガイドラインを作るのでは、との観測記事です。これは困ったことです。建築は立派な創作物。大統領は発注者としての権限はありますが、ある特定の様式を強制すべきでありません。かつての共産主義国家の建築と同じになります。

ロマンス詐欺。海外からも詐欺の連絡。要注意。

新聞報道で時々外国人が犯人の「ロマンス詐欺」が報じられています。2つのパターンがあります。一つはフェイスブックなどを通じ知り合い、メッセージの交換を通じて詐欺師は相手に脈ありと判断すると「あなたが好きになった。結婚しましょう。」しばらくし「お金を渡したいので手数料を立て替えてくれ」、あるいは、「怪我したので手術代を助けてほしい」といったたぐいです。実はその犯人は日本に住んでいる不良外国人でした。2つめのタイプは海外旅行中ナンパされ、「あなたが好きになった、ぜひ、結婚しよう」と声掛けられ、その気にさせ「友人が日本に住んでいるので、プレゼントを渡してほしい」と麻薬の運び屋に仕立てられるケースです。

私自身の場合です。海外とのフェースブックなど交信が多いので、通信記録が盗聴されアドレスを不法に犯人が入手します。実際の例です。フェイスブックに「自分はアメリカ兵でアフガンに駐留している独身女性兵士。友達になりましょう」と美人の兵士の写真が添付されています。数件、別人の名前でメッセージがありました。実際のメッセージの送り主は日本に住む不良外国人、男性でしょう。一切無視します。おそらく交信を続けると、「あなたが好きになった。」甘い言葉が続くでしょう。しばらくすると「休暇で日本に行くので会いたい」、また、しばらくすると、勤務中負傷した。「入院費を支援してほしい」とお金の要求。もう一つの事例。中東の銀行員を名乗るケースが多いですが、「大きな金額の資産を預かっていたがその方が亡くなった。自分がその資産運用の権限を持っている。もし、その資産運用に関心あるなら、お金を提供する。手数料が必要」というシナリオです。私は資金需要はありませんし、100%詐欺事件。無視します。

日本型雇用の問題

1月28日経団連会長と連合会長が会談し、春闘がスタートしたと報道がありました。論点として賃上げ、日本型雇用などがありました。経団連は「年功序列などは時代に合わない。」連合は「日本型の良さが失われ非正規雇用が増加した。」とあります。海外留学3度し、その間インターンという資格で建築事務所や大学の研究所でしばらく働きました。そうした経験から日本の雇用の問題を感じます。

(1)欧米では正規もインターンも同じ条件。1971年スウェーデンの設計事務所でインターンをした際、3か月弱の勤務期間でしたが、他のスタッフと同様の仕事をしていたので、給料や待遇は他のスタッフと同じでした。月給12万円でした。つまり、アルバイトだから安いなどということはありませんでした。1975年アメリカに留学中の夏休み、ライス大学コミュニティデザイン研究所でインターンをした時月給24万円でした。

(2)採用のプロセス。日本は一斉、欧米は都度都度。日本は官庁や大企業の就職制度は一斉主義です。官庁・企業訪問も試験も一斉です。欧米では、人材が必要になった都度募集します。その都度募集があります。

(3)年功序列と職能主義。日本は初任給が決められ、毎年昇給する制度です。欧米では職能主義で、地位や資格が更新されないと昇給はありません。同じ仕事を継続すれば欧米ではずーっと同じ給料です。昇給するためには仕事能力を証明するための専門資格や学歴を取得しなければなりません。

(4)日本は生涯同じ組織、欧米は転職自由。日本は一つの組織に就職すると定年まで同じ組織に勤めます。欧米では10年ごとに転職します。官庁も、大学も、企業も。私の知人の例。30代でホワイトハウス広報官。40代でフォード自動車広報部長。50代でボーイング社広報担当副社長。私の指導教官ピーター・ロウ氏の例、ライス大学教授から45歳でハーヴァード大学大学院に就任。修士号審査教授アデール・サントス女史の例、ライス大学からカリフォルニア大学サンディエゴ校大学院長、その後MIT大学院長。

(5)欧米では何歳でも復職自由。何歳でも就職可能。日本では大手組織は、結婚、介護、留学などの理由で退職したら復職は不可能です。欧米は何らかの理由で退職しても再度簡単な手続きで復職できます。募集時の年齢制限がありませんから何歳でも応募できます。

国際化の中で雇用条件も欧米と同じようにせざるを得なくなります。同じ仕事で同じ給料。資格、能力に応じて給料は異なる。採用は随時。転職、復職自由としないと海外徒競走ができなくなります。