日別アーカイブ: 2020年3月15日

多様性社会を目指す。日米の違い。

多様性社会を目指すと「官」が提唱しています。結構なことですし本気でそう言う社会にならないといけません。日本政府、東京都庁など、本気か?と考え込んでしまいます。欧米の実態を政府の役人や東京都庁の役人が分かっているのか、疑わしいです。アメリカの友人、知人、ノーベル賞や様々な報道で知らされる方々の経歴を見ると、日本と全く異なることが分かります。一例です。1990年代ニューヨーク市の治安政策に貢献し高く評価されているブラウン氏の経歴です。氏は1990年から1992年までニューヨーク市のポリースコミッショナー(警察委員長、東京都であれば公安委員長)を務めた方です。まず学歴です。

氏はオクラホマ州の貧しい黒人家庭の生まれです。フットボール選手の奨学金をもらいカリフォルニア州立大学フレスノ校入学しました。日本のスポーツ学生と異なるのはアメリカでは学業成績が良くないと奨学金が停止になります。日本の大学ではスポーツの学生はスポーツだけやってろ、授業は適当にというのが実態ではないでしょうか。力道山の敵役だったアメリカ人プロレスラーのデストロイヤーはシラキューズ大学大学院でスポーツ科学の修士号を持っています。日本のレスラーで修士号を持っている方はいないでしょう。学問とスポーツの両立です。

ブラウン氏の学歴です。1960年カリフォルニア州立大学フレスノ校卒業(刑法)、1964年カリフォルニア州立大学サンノゼ校修士(社会学)、1968年カリフォルニア州立大学バークレイー校博士取得(刑事学)バークレー校は世界のトップクラスの大学ですから、ブラウン氏の大学、修士課程の成績は相当上位だったと推測します。次に職歴です。1960年カリフォルニア州サンノゼ市警察官(23歳)、1968年サンノゼ州立大学助教授(31歳)、1968年オレゴン州ポートランド州立大学 法学部長就任(31歳)(同じ年にスカウトされたのでしょう)、1972年ハワード大学公共政策学科長就任(35歳)、1974年オレゴン州マルトノマ郡保安官(37歳)(市が組織されていないところの警察官は保安官と称します)、1978年ジョージア州アトランタ市警察委員長(41歳アメリカ初の黒人警察委員長)、1982年ヒューストン市警察部長45歳、ヒューストン市で初の黒人警察部長、1990年ニューヨーク市警察委委員長 53歳、ブラウン委員長の頑張りで治安改善の成果でブラウンの人気が出たため、任命したニューヨーク市長ディンキンズ(黒人)から嫌われ1992年辞職、その後、ライス大学公共政策大学院教授、その後、ヒューストン市長。現場と理論の二刀流で、また、貧しい黒人家庭出身ということで社会の底辺を知っている素晴らしい、警察官、教授、市長でした。

こうした経歴は欧米では普通です。大統領も常に新人が突然現れアメリカ、世界をリードします。大学教授しかり、会社経営者しかりです。日本では、次の首相候補、次の社長候補、次の次官、次の教授候補など決まっています。社長や次官になった頃は出世競争に疲れ切ってしまうかもしれません。日本の勤労者は典型的に22歳で卒業、その後就職、定年の60歳まで勤務。一斉試験、一斉入社、一斉退職、他の組織に転職することは例外的ですし、組織に途中から入ることもほとんどありません。政府や都庁が多様性ある社会と提唱しますが、自らの組織、自らが多様性と正反対の画一性の中で生きている方が「多様性」の社会を理解困難と思います。これが本当の問題です。

ウィグル弾圧、報道の自己制限・遠慮?

今年の1月3日CNNニュースを視聴していたら隠し撮り画像で、ウィグル族が多く住む都市の墓が破壊され、その後整地された様子が放映されました。また、多くのウィグル族の男性たちが収容所に連行されました。日本の報道機関で後追いするかなと気になっておりましたが、私の気が付く範囲ではウィグル族弾圧の報道はありませんでした。3月13日の新聞報道で、アメリカ国務省が、中国政府が新疆ウィグル自治区でイスラム教徒の少数民族を大量拘束を続けたとして中国を非難しました。重大なニュースと思います。日本のマスコミは中国に遠慮しているのかと勘ぐってしまいます。ありとあらゆるニュースを報道するのがマスコミの使命です。

コロナウィルスのデータ源・アメリカ・Johns Hopkins University

コロナウィルスの発生状況、拡大状況についてアメリカのジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の科学技術システムセンター(The Center for Systems of Science and Engineering)が世界中の実態をデータ化し毎日更新し発表しています。大変参考になるデータです。ジョンズ・ホプキンス大学、そして科学技術センター、さらに、そこの科学者、技術者に敬意を表します。

インフルエンザ予防対策マニュアル1998年作成しました

1998年東京都庁高齢者施策推進室(局のレベル)から依頼され「特養のインフルエンザ予防対策マニュアル」を原田が手作りで作成しました。医学的な知見は感染症の専門医からのヒアリングに基づきます。全体の構成、表紙のデザイン、中のイラストは弊事務所が作成しました。厚生省の補助金でした。マニュアルの出来を厚生省が気にいって下さり、厚生省の指示で全国の特養、1万軒近くに郵送配布しました。インフルエンザ恐れるな!です。手を洗う、(石鹸やアルコールで)、うがいをする、人と相対するときはマスクをする、室内換気をする、栄養を取る、十分睡眠をとる、以上を励行することです。

建築設計事務所の原田が東京都から依頼された経緯です。1987年労働省の外郭団体から専門書「安全」に室内気候について執筆依頼がありました。それを見かけた東京都庁の高齢者福祉部門の幹部からお声がかかりました。1970年代アメリカ留学中に、The Black Death(黒死病)」(ペスト蔓延の論文)、1964年発刊、Langer教授著を読みました。それによると、1348年黒海からの交易船がイタリアにネズミを介してペスト菌を運び入れ、2年間にヨーロッパの人口の1/4が亡くなりました。カソリック教会は健康祈願のお札を販売、もちろん目に見えないヴィールスが原因ですからお札では治癒できません。死者続出です。教会の権威は無くなり、逆にお札販売を教会の利権であると信者が見做し、プロテスタントが誕生しました。いわゆる宗教改革です。

もう一つはルネッサンス運動です。それまではカソリックの教えで禁欲的な生活が求められました。絵画や彫刻もキリストや聖母マリア、封建君主がテーマでした。ペストにり患し明日をも知れぬ命となり、市民は享楽的な生活態度になりました。そこでギリシャ・ローマ時代のヌードのテーマが復活しました。BC334年アレキサンダー大王の遠征は有名ですが、アレキサンダー大王の裸の彫刻は銅や石で多く製作されています。最近ではロシアのプーチン大統領が上半身裸で馬に乗っている映像が放映されました。

都市の衰退の原因は①戦争、②天災、③環境、④経済、そして、疫病です。経済では紀元前の約2000年間アラビアフェリックス(現在のイエメン)が乳香の交易で栄えました。その後、乳香のニーズが無くなり衰退しました。1975年バラマキ政策でニューヨーク市は財政破たんしました。最近では2013年約1兆8千億円の負債でデトロイト市が破産しました。これから「健康な都市」「健康な建築」が必要とされます。

コロナヴィールス蔓延その2

ニューヨークタイムズなど3月13日現在の報道記事の整理です。CDC(連邦政府機関の疾病センター)は全米の学校で8週間閉鎖してはと助言しました。アメリカは完全地方自治が確率されており、地方の政策に対し、大統領も知事も特別のこと以外は口出せません。そうした統治の仕組みの中で連邦政府機関が地方自治体に対し学校の閉鎖を助言したことは重大なことです。

3月3日時点で、日本の患者数979人、中国80,150人、韓国4,812人、イラン1,501人、イタリア2,036人、アメリカ103人でした。3月12日時点で、日本の患者数1600人、中国80,900人、韓国7,800人、イラン10,000人、イタリア15,100人、アメリカ1,600人です。韓国、イラン、イタリア、アメリカの患者数の増加数、増加率に目を見張ります。ニューヨーク市は3月1日イラン帰りの市民が発症。1人でした。3月14日時点でニューヨーク州の患者数は421人。アメリカ2,170人にさらに増加しました。3月7日ニューヨーク州知事が非常事態宣言を出しました。3月12日ニューヨーク市長が非常事態宣言を出しました。例えば500人以上の集会を禁止するなどの措置です。

日本では3月13日特措法が成立しました。日本では国、県、市町村と階層性の行政制度ですが、アメリカでは連邦政府レベルと州政府と市役所とそれぞれ役割が異なるだけで、すべて各地の独立性(税率、条例、警察など)が重んじられています。日本と異なり、州知事や市長が非常事態宣言を出します。日本がやっと特措法を施行するのは危機管理の観点から遅かったと思います。早いヴィールス騒ぎの収束を祈っております。