日別アーカイブ: 2021年1月1日

ニューヨーク市役所住宅局で低所得者用住宅設計コンペ実施

建築の専門誌によると、12月30日、ニューヨーク市役所住宅局(正式にはDepartment of Housing Preservation and Development)がアフォーダブル住宅(低所得者用の住宅)(約1万㎡)の設計コンペを発表しました。特に、驚きは、少数派や女性が経営する企業が積極的に参加してほしいと呼びかけていることです。1か月ほどまで、ロサンジェルス市でも低層住宅の設計競技を実施するとの報道記事を紹介しました。

欧米では、設計者の選定に設計競技が多く実施されています。日本の公共事業でも、デザインは能力、経験、センス、適性があり、安易だからと入札でなく、設計競技、あるいは、プロポーザルで設計者、事業者を選定すべきです。結果、良いものが残ります。

「自由」な西欧諸国での設計競技は多いですが、なんと、共産党国家でも設計競技で外国人建築家が選定されています。ロシアのノヴゴロドのドストエフスキー劇場の保全修復の建築家選定で、設計競技が実施されました。中国、上海で重要な広場の設計競技が実施されました。日本でもどんどん設計競技、できれば国際競技を実施すべきです。

コロナ禍、文化芸術への支援、アメリカの凄さ

コロナ禍、多くの方が経済的に困窮しています。日本でも飲食店、個人事業主などへの支援を政策としてしています。不十分という声もあります。個人事業主の持続化給付金では書類を捏造し、詐欺で数十人が逮捕されたという報道もあります。どさくさ紛れの詐欺師、困ったことです。こういう場面で、必ず不正をする輩がいます。

アメリカからの報道です。驚きました。文化芸術に対する支援です。連邦議会での文化芸術に対する支援策の議案提案、ニューヨークの西隣のニュージャージ州のジャージー市で市民提案による増税による収入で文化芸術への支援、ニューヨーク市の文化芸術支援策などです。情報はニューヨークタイムズです。

1アメリカ連邦議会で150億ドル(約1兆5000億円)の文化芸術分野の方々への支援策を検討しています。全米文化芸術個人業主連盟会長(ミネアポリスの音楽クラブ経営者)が連邦議会に対しロビー活動をしました。法案の骨格は上院で、ミネソタ州選出民主党アミー・クロバッチャーとテキサス州選出共和党ジョン・コーニンの2人の議員が提案しました。ポイントは、民主党と共和党の2人異なる政党の議員の共同提案です。日本の国会でもこのようにしてほしいと思います。12月21日の記事

2 ニュージャージ州ジャージ市で文化芸術支援のための増税市民提案:市民提案で固定資産税を増税し、その収入で困っている文化芸術分野の方々を支援しようという内容です。市民の64%が賛同しています。提案の基本を作成した元ジャージ市アート委員会会長は「厳しい時代だからこそ、アートが大切。」という考えの表れと語りました。同様の増税案の事例は、ミシガン州のいくつかの自治体がデトロイト美術館を支援する目的です。セントルイス市では、2018年、セントルイス動物園、セントルイス美術館、セントルイス歴史博物館を支援するため増税が実施されました。11月4日記事

3 ニューヨーク市47億円の支援:ニューヨーク市文化局は市内の1000の文化芸術団体に4710万ドル(約47億円)の支援をすると発表しました。特に、貧困層の多い地区の621のアート教育団体に3億円増額しました。貧困層の多い地区の子供に対してのアート教育は大切です。また、ジャズで有名なアポロ劇場、世界的に有名なメトロポリタンオペラ、ニューヨーク・フィルハーモニーに対しても支援金を贈ることにしました。12月15日

総括:アメリカの文化芸術に対する意識の高さ、市民提案による増税(市民提案による増税は日本では考えられません)、連邦議会で、相対立する民主党と共和党の上院議員が連名で支援策の法案を提案する、政治活動のすばらしさに感動です。日本の国会議員も政策提案を党派を超えやっていただきたいです。今の国会、特に野党の質問は、第2マスコミといってよいような、政策提案でなく、ジャーナリストの質問、追及の類です。であれば、野党はいらないのではと感じております。