最近の報道で、銀座高速道路を閉鎖し、公園化するとのことです。ニューヨーク市のハイライン(マンハッタン南西部にある鉄道高架跡を活用しての公園化)を見習ってとあります。銀座高速道路の緑化は好ましいことと賛同するとして、遅きに失する判断と思いました。そして、ニューヨーク市の真似か、と思いました。東京都独自に計画し、もっと早く計画を検討すべきと思いました。
パリ市に1990年代、先行した事例があります。フランス革命で有名なバスティーユ広場近くにあるリヨン駅につながる鉄道高架跡の緑化です。幅10メートル、長さ2キロです。空中の散歩路です。地上階は喫茶店、アトリエ等が立地しています。3階から4階相当の高さからパリの街並みを見ながらの散歩は快適です。私は実際歩きました。
ニューヨーク市のハイラインは2009年に竣工しました。大勢の観光客が高架鉄道跡の公園散歩を楽しんでいます。私も歩きました。スペインのバルセロナで2016年、鉄道敷跡を800メートルにわたり緑化しました。
アジアではソウル市が2015年スカイガーデン事業を実施しました。オランダの設計事務所MVRDVが設計支援をしました。幅16メートル、長さ938メートルです。また、ソウルの中心部で、地下に多目的ハブ(様々な機能の拠点)の国際設計コンぺを実施し、フランス人建築家ドミニク・ペローが入選しました。ペローはパリの国立図書館の設計者として有名です。(私はペローがデザインした図書館の椅子を持っております)
東京都が銀座高速道路の緑化をしようとするのは好ましいと思いますが、多くの国の事例を見ると、緑化構想発表は遅かったなーと思います。東京都の職員は優秀ですが、新しいことに挑戦することにはアレルギーがあるのかもしれません。今回の構想は、他国の成功例を見て、安心して実施する姿勢です。
緑による、新たな都市の視点場創出による都心の快適化、都心のオアシスの創出、CO2削減、歩行者優先の新たな道路空間システムの創出などの効果があります。驚くべきことは、ソウルが国際コンペを実施し、素晴らしい建築デザイナーを選定したことです。残念ながら東京都は国際コンペを実施しません。世界中からアイデア募集をすべきです。WTO(世界貿易機関)の思想に反することと思います。