月別アーカイブ: 2021年5月

港区の情報誌。コミュニティカレッジは誤用。

2021年5月号、港区スポーツふれあい文化健康財団が発行する港区コミュニティ情報誌「キスポート」で「コミュニティカレッジ」募集と記載がありました。誤用です。コミュニティカレッジは、英語辞典にも記載されていますし、アメリカでは法律で位置づけられ、教育政策や教育分野の専門用語として厳格な定義がされています。バイデン大統領は施政方針で国民のライフラインとしての教育の機会を提供する手段としてコミュニティカレッジの充実を挙げました。

アメリカには約1000のコミュニティカレッジがあります。基本的には市立(公立)で、2年制、無料か低廉な学費で、一般教養、職業教育、4年制大学への編入コース、生涯学習などのサービスを提供しています。バイデン大統領が港区の情報誌で誤用しているコミュニティカレッジのことを知ったら(実際そのようなことはありませんが)失笑し、港区役所(区長)はこのような基本的な英語を知らないのか、とあきれることでしょう。横田基地など米軍関係者に学習機会を提供するために基地内にも正規のコミュニティカレッジがあると聞いています。うっかり、日本語のわかるアメリカ人が情報誌に記載されている「コミュニティカレッジ」を見て、勘違いして入学手続きに来るかもしれません。私事ですが、古い話ですが1978年と1980年、毎日新聞にアメリカのコミュニティカレッジについて紹介記事を寄稿しました。さらに、当時の自治省が監修発行している「地方自治」に1981年、神戸市役所が発行している「都市政策」にもコミュニティカレッジについて小論を寄稿しました。当時、東京都の職員研修所の長期研修コースでアメリカのコミュニティカレッジについて講義しました。当時の鈴木知事のマイタウン構想の中にもコミュニティカレッジが採用されました。コミュニティカレッジについて論文をいくつか書いた立場からすれば、なんて馬鹿な、残念という気持ちです。

ニューヨーク市長選挙。民主党候補8名。

先日のニューヨークタイムズで、近々行われる市長選挙の民主党の候補者が8名紹介されました。人種別では、黒人4名、白人3名、アジア系1名、男女別では、男性5名、女性3名です。アルファベット順で、①エリック・アダムス、黒人男性、元警察官で警察改革が公約。②ショーン・ドノヴァン、白人男性、15分の歩行圏の近隣住区を基本単位とする市の構成が公約、ハーヴァード大学建築大学院出身、ニューヨーク市の住宅委員長を務め、オバマ政権で住宅都市開発省長官を勤めました。③キャサリン・ガルシア、白人女性、気候変動、貧困層に最小限必要な生活費を支払うが公約。④レイモンド・マックガイア―、黒人男性、ニューヨークのウォールストリートの金融会社に勤務。市の経済再生が公約。⑤ダイアン・モラレス、黒人女性、NPO代表、貧困層の改善が公約、⑥スコット・ストリンジャ―、白人男性、ニューヨーク市の代表監査委員、気候変動、低廉な住宅供給が公約。⑦マヤ・ワイリー、黒人女性、弁護士、ニューヨーク市版のニューディール政策が公約。⑧アンドリュー・ヤン、男性アジア系、元大統領候補、貧困層にお金を援助するが公約。民主党から8人の候補が特徴ある公約を掲げ手を挙げ、討論など経て絞られます。

共和党からどのような候補が出てくるか楽しみです。日本でも都知事選で多くの候補者が名乗りを挙げますが、党の中で複数の方が手を挙げ政策議論し、絞られる方式が好ましいと思います。2年前、シカゴ市長選挙の時は16名が立候補しました。いわゆる泡まつ候補でなく、立派な経歴、活動歴、しっかりした公約を掲げ議論する姿勢は好ましいと思います。今後の選挙活動の展開、そして結果が楽しみです。

ヘルシンキ市役所ウォーターフロント国際コンペ実施発表。築地市場跡地も国際コンペを実施すべし。

建築の専門誌のGlobal Construction Reviewの5月12日号に「ヘルシンキ市役所が新たな文化拠点のための国際コンペを発表」と記事がありました。その内容はヘルシンキ港の中心部のマスタープランを策定するためです。ヘルシンキ市のウォーターフロントの未利用で価値の高い8万3千㎡の土地を再開発し、新しい文化の拠点施設として建築・デザイン博物館も建設する計画です。博物館の設計コンペは別建てで実施される予定です。

ヘルシンキ市役所は、建設会社、建築家、不動産業者からの応募を期待しています。6月21日締め切りで登録、12月までに提案の提出、その後、公表の段取りです。第2段階として、4案に絞り込み、2022年の秋までに最終的に案を絞り込む予定です。マスタープランに要求される内容は、歩行者優先、カーボンニュートラル、文化的な魅力の創出、質の高い建築デザイン、ひいてはヘルシンキ市役所のアイデンティティになるものです。 

立地条件など類似性が高い土地として思い浮かぶのが東京の築地市場跡地開発です。ウォーターフロントで、未使用で、立地条件の価値の高い土地です。東京都は、いずれ、開発業者の提案を受け事業を展開するように耳にしていますが、東京都の経済規模、能力などからすれば、ヘルシンキ市同様、国際コンペを実施し、世界の英知を求めるべきです。ヘルシンキ市の人口は50万人、フィンランド語は、日本語のように複雑な言語体系です。そうした状況の市役所が国際コンペを実施します。こうした国際コンペは世界の常識ですが。国内だけ(都内だけ)で事業者選定など進めると、世界貿易機関(WTO)から日本(東京)の市場は閉鎖的だと訴えられ、跡地開発の事業者に海外企業を含めなさい、設計コンペをしなさいなど指導されるかもしれません。

アメリカのワクチン接種会場。何でもあり。

2021年5月12日のニューヨーク・タイムズを読み驚きました。ワクチン接種会場についての報道です。国民にとり接種のための利便性最優先です。公園、広場、駐車場、野球場、サッカー場、競馬場、ショッピングモール、ビーチ、スキーリゾート、薬屋、床屋など何でもありです。できるだけ早く、少しでも多くの国民にワクチン接種をという戦略で、行政、政治が動いています。

翻って、日本ではというと、遅々として進みません。ワクチンの調達の問題、注射の打ち手の問題などが基本であります。糖尿病患者は自分で注射を打ちます。30年位前、血圧は医者でないと測定できないことになっていましたが、今は銭湯でも血圧計があります。私の目の前に、発作で倒れた方、事故で出血した方がいれば、至急心臓マッサージをしたり、止血処置をしたりすると思います。医師法違反だと逮捕されることはないと思います。ウィルス感染対策のためのワクチン接種を早急にすることが現在求められています。日本の製薬技術力は世界でもトップクラスと思いますが、なぜ日本製のワクチンが製造できないのか、その分野の門外漢には理解に苦しみます。細かい規制は政治力で突破すべきです。

1995年の阪神大震災のことを思い出しました。新聞報道ですが、ある組織が救援物資をヘリコプターで運び、神戸市内の学校の校庭に着陸しようとしたら着陸許可がないから着陸認めないとないと行政から指示され、引き返したそうです。緊急時、非常時、重大事に、議論ばかりしてはダメで、やれることをどんどん政治の力で進めなければいけません。まだ戦えます、と、ずるずる決断が延び、大変な結果となった終戦のことも思い出します。日本の指導者層の戦略作り、決断力の適格性に今なお疑問を感じます。