月別アーカイブ: 2021年6月

ヨーロッパ中央銀行のジェンダー対策

ニューヨークタイムズ6月17日の記事の紹介です。ヨーロッパ中央銀行は監督下にある銀行にジェンダーの多様性について提言しました。銀行幹部の多くは男性です。企業に融資する際、男性経営者の場合は融資は比較的簡単、女性経営者に対しては審査が厳しいとのこと。ヨーロッパの銀行の幹部の女性比率は8%。アメリカでも22%。この傾向が続けば、銀行のジェンダー平等に到達するのは2085年。

原田コメント。ヨーロッパもアメリカも女性の社会参画は、日本と比べれば相当進んでいますが、銀行は例外、保守的というのは驚きです。日本の政治、行政、企業、大学などは、上記の状況よりももっとひどいです。

港区役所に投書しましたが。回答なし。黙殺?

5月の港区役所の広報誌「キスポート」にコミュニティカレッジ募集という記事がありました。港区が使うコミュニティカレッジは本家、アメリカの内容と似て非なる内容です。誤用です。

コミュニティカレッジ(Community College)は英語辞典にも掲載されています。アメリカの公立の2年生の短期大学、職業訓練施設、生涯学習施設です。約1000あります。バイデン大統領は重要政策の一つとしてコミュニティカレッジ政策に力を入れると発言しました。アメリカでは、法律、教育政策、教育学の中でコミュニティカレッジは明確な定義がされています。港区の用語は間違った使い方です。私はアメリカ留学中コミュニティカレッジに関心を持ち、1978年と1980年、毎日新聞の論説記事に寄稿しました。また、旧自治省発行の「地方自治」81年3月号と神戸市役所が発行する政策論文誌「都市政策」の81年4月号にコミュニティカレッジについて数万字の論文を寄稿しました。その後、東京都庁の職員研修所で講師を頼まれ、さらに、職員研修所が発行する「行政管理」に82年寄稿しました。その他、多くの専門誌に寄稿しました。こうした論文数から言えば、私は、元祖、コミュニティカレッジ研究者です。

コミュニティカレッジ担当と称する芝浦港南区民センター、赤坂区民センター、麻布区民センターの担当者宛に投書しました。また、武井区長にも投書しました。バイデン大統領が知ったら(実際はあり得ませんが)笑われますよと。

港区の区民公聴の仕組みは、区民から投書があれば14日以内に回答するというルールです。私が投書してから既に1か月は経過したでしょうか。社会の常識からすれば「貴重なご意見、資料ありがとうございました。参考とさせていただきます。」と回答するのが普通の方の行動。一歩踏み込めば、「勉強し、再検討させていただきます。」くらいのことを回答してもよいかと思います。私の区長時代、広報課長のM氏が投書の手紙など毎週区長室に持ち込み、私がすべて回答の趣旨を述べ、広報課から回答させました。

広報関係の職員からこっそりチクリで聞いた話。「区民の声を聞く会など開催しても聞くふりしているだけ。」と耳打ちされました。私は、区民の声を真摯に受け止めました。区民からの投書に回答を出さない、黙殺する港区政は残念です。職員と区長の社会マナーの再教育が必要です。

6月20日土曜日朝の六本木風景、マスク無しの若者集団

6月20日土曜日8時半頃、六本木、外苑東通り(六本木交差点から東京タワー方向の道路)、六本木5丁目交差点あたりの風景です。オールナイトで遊んでいたと思われる若者集団(男女混合)、6人グループ、4人グループなどが六本木交差点方向(地下鉄の駅があります)に向かって、一見ほろ酔いの雰囲気で歩いていました。その半数はマスク無しで大声で語り合っていました。酒は夜は提供されないはずですが。

COVID19対策を慎重にしている飲食店が多くあります。こうした良心的な店は通常通りの営業をしても問題ないと思います。どの店か知りませんが、若者が集まる店を営業し、大声で騒ぐ店こそ取締りの対象とすべきです。汚い言葉ですが「味噌も糞も一緒にする」政府、東京都の対策に苛立ちを感じます。おそらくこうした店、集団からCOVID19が拡大するのでしょう。行政が蔓延防止対策と称し、良心的な営業をしている店も、そうでない店も一緒に扱う方針は再検討すべきです。

福沢諭吉の国際化対応提言、静岡県藤枝市役所職員の英語研修、港区役所港区役所も国際化対応を学べ

6月5日の読売新聞「五郎ワールド」で特別編集委員橋本五郎のコラムで、福沢諭吉先生の書物の紹介がありました。その内容は「これからは万国の書を読んで世界の事情に通じていなければならない。」(故郷の)中津の人々に願う、とメッセージを残しました。明治時代の初頭期に素晴らしい提言です。

都政新報の5月11日号に、静岡県藤枝市の人財育成センター長山梨秀樹氏が「公務員に営業力は当たり前!」という論説記事が掲載されていました。「公務員にとり外国語は必須である。世界を相手に情報を発信し、海外の官僚や有識者、自治体職員と対等に論陣を張れなければ真の公務員と言えない。」と主張しました。

国際都市と称される港区ですが、私の区長時代、元区長も含め、最高幹部で英語を理解、話せる者はゼロ。海外事情を学んだり、調べている最高幹部もゼロ。異文化を学んでいる最高幹部ゼロ。今の区長も外国語ダメ、国際事情の知識、おそらくほとんどなしでしょう。残念です。もし、福沢諭吉先生が港区役所に来たらがっかりされるでしょう。区長を叱正することでしょう。

田崎悦子ピアノリサイタル

6月6日バッハの命を感じるリサイタルが東京文化会館小ホールで開催され、聴きに行きました。田崎さんはフルブライト留学の先輩です。演目はバッハの円熟期の作品、パルティータ第1番変ロ長調、第6番ホ短調、第4番ニ長調です。バロック時代の音楽の基本に則った内容です。COVID19の中ですが、小ホール定員約650席ですが、ほぼ満席に近い聴衆でした。田崎さんの長年のファンが大勢いるのでしょう。素晴らしい演奏会でした。80歳ですが、長い時間鍵盤に向かい、テンポの速い曲を弾き続けるエネルギーに関心させられました。自分が80歳になった時、果たしてこれだけのエネルギーを維持できているのか?そういう観点からも刺激をいただきました。

田崎さんは桐朋高校卒で、フルブライト奨学金をいただきニューヨークに行き、ジュリアード音楽院でピアノを学びました。当時のニューヨークは音楽含めあらゆる分野で世界の頂点でした。ホロヴィッツ、ルービンシュタイン、バーンシュタインなど著名な音楽家が演奏をしていました。その中で、著名な指揮者にショルティに認められシカゴでデヴュー。

日本が貧しい中、フルブライト奨学金でニューヨークに単身行き、精力的にピアノ演奏学を学びました。経済的にも大変な環境でニューヨークで勉強、努力をされたと思います。大した度胸、挑戦心、貪欲な吸収意欲です。

単身でアメリカに渡り、世界の指導者の下で、貧しい中頑張った、という点では私も共通の体験を持っていますので、田崎さんの人生を理解できます。また、尊敬します。元港区長S氏、元副区長N氏等は、港区のことしか眼中にないようで、海外のことを理解しようとする意識はなし。逆に、フルブライト留学の経歴を語るなとお説教するのですから、残念でした。世界の学問の頂点のアメリカで、世界のトップの建築家、指導者に学ぶことができたのは、私の誇りです。そうした人生を理解しない、出来ない最高幹部がいたことは、国際都市と称される港区役所の現実の一部です。

バイデン大統領の住宅政策

5月26日のブルムバーグ通信によると、バイデン大統領の下、住宅都市開発省長官(HUD)マルシア・ファッヂ(黒人女性)女史が住宅政策を公表しました。バイデン政権は3180億ドル(1ドル100円として約32兆円)の雇用政策の一部として住宅政策予算を付けました。

ファッヂ長官は26日、カンサス州カンサス市のジャズで有名な中心地区に立寄り「住宅は生活に不可欠なインフラである。」と政策発表しました。「目標は、多くの雇用を創出し、安全な、アフォーダブル(経済的に負担可能な)住宅を供給すること。」と語りました。ホワイトハウスの考えは、基金の創設や減税対策で200万戸のアフォーダブル住宅を建設することです。この計画のポイントはローンの頭金の支援です。さらに、この計画は中心市街地活性化にも使われます。雇用計画において、5000億円が用途地区指定(ゾーニング計画)見直しにも活用されます。例えば、厳しい一戸建ての用途地区を見直し、共同住宅など多くの住宅が供給できるよう用途地区の変更作業も含まれます。

原田コメント:長官がカンサス市のジャズの中心街で演説するという演出がニクイです。雇用政策とアフォーダブル住宅の供給、都市計画の用途見直し政策が一体となり、融合されています。アメリカの政策は横串です。日本ですと、雇用は雇用、公共住宅は公共住宅、都市計画は都市計画とタコつぼ型、バラバラです。アメリカのように、強いリーダーシップでバラバラな政策を統合する必要があります。

ベルリンの連邦議会事務所棟、環境にやさしい木造建築

5月31日のブルムバーグ通信によると、ドイツ連邦議会事務所棟が、木造で建設中です。CO2削減という今日的、世界的な環境問題に対応するための建築です。工場で、木造でコンテナーのように箱状に460個作り、現場で組立て、7階のオフィスにするという工法です。象徴的なことは、建設現場は東西ベルリンの壁の跡地の敷地です。工事費は90億円。建築家はザウアブルヒ・フットン。木造建築で2500トンのCO2を閉じ込め、さらに、建設に使った木材と同量の植樹をし、15年後には同量の木が確保できます。これはさらに2500トンのCO2を吸収するという考えです。

さすがドイツ、政治の中心が自ら率先垂範、CO2削減に貢献しようとする挑戦です。これからの環境政策のお手本です。

アメリカの自治体、環境の専門家を採用

ロイター通信6月1日の記事によると、環境問題が先鋭化、専門化する中で、従来型の行政職員では対応が困難になり、アメリカの自治体は環境の専門ポストを新たに設け、林業学、大気汚染、都市熱環境などの専門家を採用始めました。2019年以降ヒューストン市、フェニックス市、ルイヴィル市、オークランド市など30以上の自治体で環境の専門家を採用しました。ロサンジェルス市では、気候危機管理担当ポストを新設し、2050年までにCO2ゼロの車両100%とし、再生可能エネルギーによる電力を100%とする目標を立てました。アリゾナ州タスコン市では、森林学の専門家を採用、100万本の植樹をし、2030年までにCO2ゼロをめざしています。

アメリカの場合、環境問題で生じる洪水、都市熱などの影響を受けるのは、特に、マイノリティのスラム地区で、スラムの改善が重要な課題でもあります。バイデン大統領のクリーンエネルギー政策の40%はそうした劣悪な地区に配分されます。

原田コメント、犯罪捜査で、科学、金融、情報など技術がどんどん発展し従来の捜査技術では追いつけなくなり、警察でも捜査権を持つ科学捜査官(従来の科学捜査研究所の研究員でなく)、金融犯罪捜査官、情報犯罪捜査官など新設しています。環境問題も専門分化し、深化しています。日本の自治体も、積極的に環境の専門家を採用すべきです。

アジア系の対ヘイトクライム法連邦議会で制定

5月20日ニューヨークタイムズによると、連邦議会上下両院で超党派でアジア系アメリカ人に対するヘイトクライム対策法案が通過し、バイデン大統領が署名し正式な法律となり施行されました。法案は、上院議員のヒロノ女史(ハワイ州選出民主党)と下院議員のメン女史(ニューヨーク州選出民主党)の二人が中心となり、作成されました。

この間、アジア系アメリカ人に対する差別的な言動、暴力は6600件以上発生しました。法案の内容は、司法省が核となり速やかに関連するデータの収集、人種差別に対する啓発活動が柱です。バイデン大統領は、ヘイトクライムを目撃し沈黙することは同罪であると発言しました。

原田コメント:日本では、法案はほとんど行政が作り、議員がコメント、時にはイチャモン付けをします。アメリカでは法案は議員が作ります。アメリカでは政治家のことをLaw Maker(法律を作る人)と称します。議会で賛成となったら大統領(州の場合は知事、市の場合は市長)が署名し、正式な法律となります。日本の政治家は英語でコメンテータ―とでも呼ぶべきでしょう。日本でも議員が法案を作成すべきです。二つ目、人権問題というと、日本のマスコミはアメリカの黒人問題など好んで取り上げます。アメリカからの情報は豊富であり、また、アメリカを批判しても暗殺の恐れはありません。ロシア、中国、北朝鮮の人権問題の方が取り上げるべき内容が多いですが、暗殺の恐れ、特派員が追放される恐れを感じ、遠慮気味、黙殺です。