10月9日(土)女性研究者・技術者を増やす目的で、110余の理系の学会の共同主催(一般社団法人男女共同参画学協会連絡会)でリモートでシンポジウムを開催しました。原田は海外体験があるとのことで、企画者の一人を頼まれ、また、パネルディスカッションの司会進行役を頼まれました。
女性の研究者比率はOECDのデータで、日本は16%、最低です。イスラムの国のトルコは37%でOECDの中で9位、スウェーデンやアメリカより高い比率です。ということで、女性の社会参画の先進国と言われるスウェーデンとフィンランドの大使にスピーチをお願いしました。大学では、ハーヴァード大学建築大学院院長のサラ・ホワイティング女史にメッセージとトルコの国立コジャエリ大学(トルコはほとんどが国立大学だそうです)建築学部元学部長のネヴニハル・エルドーガン女史にリモート講演していただきました。ハーヴァード大学大学院院長のサラにもリモート参加していただきたかったのですが時差の関係で不可能でした。冒頭の祝辞に小池東京都知事にお願いしました。
スウェーデン大使は「ノーベル賞受賞者は900人いるが女性は25人、しかし、昨年はノーベル化学賞で女性2人が受賞し良かった。一人が一人の女性を見出すことが大切、男性の育児休暇の促進」などの提案がありました。フィンランドの大使は「これから国際間の技術競争の時代に入る。新しい技術を開発するのに男女の区別はない、女性の参加が新しい技術を生み出すのに必要」と提案がありました。
ハーヴァード大学建築大学院は学生数600人の内女子学生は60%、女性教員は35%。サラは「自分が女子学生のロールモデルとなる。院長室は常に開かれており、学生の相談に乗っている。女子高校生にPR活動し、ハーヴァードで建築を学ぼうと広報活動をしている」などの報告でした。院長自信、学部、修士、博士課程は異なる大学で学び、2つの建築事務所での勤務経験があり、多様な経歴です。
トルコのコジャエリ大学建築学部は学生数800人、内女子学生は60%、女性教員は35%で概ねハーヴァード大学建築大学院と同じ状態です。ネヴニハル元学部長は「トルコはトップダウンの力が大きい。女子学生には、海外留学、2つの外国語を学び、頑張れと指導している。女子高校生に建築を学びましょうと広報活動をしている」とのことです。元学部長も様々な所で学び、研究活動し、多様な経験を有しています。ハーヴァード大学もコジャエリ大学も、自校出身者を原則採用しません。教員は公募です。
4か国の先進事例を学ぶと、おのずと日本の大学の課題が見えてきます。明治時代から続くタコつぼ型の講座制度、研究室制度。東大は東大出身の教授で構成され、早稲田は早稲田出身の教授で構成され、多様性に欠けます。男性の長老教授が退官する際、自分の弟子(男性)を後継者に指名します。公募はありません。ですから女性の教授就任はレアケースです。昔の意識に凝り固まっている男性長老教授に早く退いていただく、また、意識の高い方をトップに据え、トップから改革を進めるなど大革命が大学に必要です。