月別アーカイブ: 2021年12月

世界初のマイアミ郡役所の熱化対策官

ブルムバーグ通信、9月の記事によりますと、アメリカ、フロリダ州(暖かい、というより暑い地域です)マイアミ・デイド郡役所の熱対策官(Heat Officer)にジェイン・ギルバート女史が就任しました。おそらく世界で初の温暖化対策専門のポストとのことです。これからの活躍に期待したいと思います。収集したデータ、策定した具体的な政策をその内学びたいと思います。

ニューヨーク市の都市デザインを牽引した都市計画家エリオット氏の訃報

ニューヨークタイムズ12月27日の記事によると、1960年代、70年代のニューヨーク市のアーバンデザインを牽引した革新的都市計画家ドナルド・エリオット氏が89歳で亡くなったとのことです。

私自身69年から70年、74年から76年と2度アメリカに留学し、ニューヨーク市のアーバンデザインが注目されていることを知りました。

エリオット氏のチームの若手アーバンデザイナーのジョナサン・バーネット執筆の「都市政策としてのアーバンデザイン」は当時必読書でした。今では当たり前の「容積移転」の革新的政策を打ち立てました。エリオットは34歳でニューヨーク市の都市計画委員長に就任、若手建築家をチームに招き、それ以前のロバート・モーゼスの強引な再開発のやり方を根本的に変えました。五番街の劇場地区、イーストリバーに面したサウス・ストリート・シーポートの歴史地区の保存を兼ねた再開発を具体化しました。

今や、世界中が注目するアーバンデザインです。また、今では当たり前の市民参加による街づくりで、市内を62のコミュニティに分け、近隣住区単位で都市計画を策定する方法を導入しました。

エリオット氏が策定した都市計画の制度は四半世紀遅れで当時の建設省が採用しました。日本の都市計画制度にも大きな影響を与えました。

原田のコメント:34歳でニューヨーク市の都市計画委員長に就任した人事に驚きとあっぱれ。フィンランドの首相は34歳の女性。若く、エネルギー溢れた、政策立案能力ある方がリーダーに就任すべきです。長老支配、年功序列社会を変えるべきです。また、新しい発想のアーバンデザイン、時代、社会の展開を誘導する政策、社会の動きの後追いでない、誘導政策を策定し、推進すべきです。エリオット氏のチームには、若手建築家が参加しました。経験豊富な長老も大切ですが、若い方のエネルギーを活用すべきです。私はアメリカ、スウェーデンで学びましたが、こうした体験を紹介すると必ず「外国かぶれ」と嫌味を言う方が少なからずします。現在の都市計画制度の一部はニューヨーク市の物まね、多くの制度で海外を参考にしたものがあります。「外国かぶれ」と言う前に少しでも視野を広げ様々なことを学ぶべきです。

アメリカの警察、政治での女性活躍

ニューヨークタイムズの12月14日の記事によると、ニューヨーク市の警察委員長(コミッショナー)(東京でいえば東京都公安委員長)に初の女性(49歳)キーチャント・スウェル女史で、黒人が就任します。女性しかも黒人の活躍の象徴です。

アメリカは自治体警察ですので、市役所の組織に警察が存在します。警察を指揮、管理、監督するのが警察委員長です。日本では公安委員長は非常勤でかつ名誉職で、直接指揮を執ることはありません。アメリカでは、警察委員長(身分は警察官でありません)常勤で直接の治安の指揮をとります。

彼女の前職は、ニューヨーク州のナッソー郡の保安官事務所の刑事部長。ニューヨーク市の黒人の警察委員長としては3人目です。拙論(ニューヨーク市の治安政策、明治大学ガバナンス研究紀要論文、2019年、10万字の小論です)でも紹介しましたが、1992年に警察委員長に就任した黒人2人目の警察委員長ブラウン氏(その後ライス大学教授、ヒューストン市長)が治安政策に貢献したことで有名です。パンデミックなどによりニューヨーク市の治安悪化が心配です。彼女の辣腕ぶりを期待します。

また、12月16日のPOLITICS(政治)という専門誌によりますと、ニューメキシコ州のラス・クルーセス市(人口10万人)の市議会で、定数6人(日本の市議会と比較し小規模です)全員が女性となったとのことです。この市では市議会議長が市長を兼務する制度で、女性市長との女性議員の活躍を期待します。

日本のマスコミはアメリカの人種差別を喜んで報道します。アメリカは報道の自由があり、何を書いても追放されたり暗殺されません。ですからこぞってアメリカ批判をします。ロシア、中国、北朝鮮の批判記事を書くと特派員が追放されたり、逮捕されたり、はたまた暗殺される恐れがあります。ですから日本のマスコミは、ロシア、中国、北朝鮮の本当の姿を書かない傾向にあります。黒人女性がニューヨーク市の治安政策の要ポストに就任したり、ラス・クルーセス市議会議員が全員女性と言ったニュースは日本で紹介されません。残念です。