月別アーカイブ: 2022年7月

ダートマス大学で初の女性学長

7月21日の情報で、アメリカ、ダートマス大学で初の女性学長が誕生しました。ダートマス大学はいわゆるアイヴィーリーグの一つで、名門大学の一つです。シャン・リー・ベイロック女史が、学長選考委員会により次期学長に選ばれました。学長選考のプロセスです。学内に学長選考委員会が設置され、18人が委員に就任、半年にわたり世界中から人材を探しました。委員会は卒業生等に「どのようなスキルが次の学長に最も必要か?」を尋ね、その条件に合う人材を探しました。彼女は脳科学が専門。カリフォルニア大学サンディエゴ校で学士を取得、ミシガン州立大学で博士号を取得しました。現在はバーナード大学学長、その前はシカゴ大学副学長でした。

ベイロック女史の業績説明の中に「ベイロック女史は数学や理科の分野でwomen and girlsを育てた(encourage)」と書かれています。この点、詳細な記述がありませんが、womenは大学生、若手研究者、girlsは女子高校生を意味すると私は判断しました。昨年10月私が企画を頼まれた女性研究者を増やすシンポジウムでハーヴァード大学建築大学院院長サラもトルコのコジャエリ大学建築学部元部長のネヴニハルも「女子高校生に建築に来なさい」とPR活動をしていると発言がありました。日本の大学ではこうしたPR活動はあまりないと思います。 

原田のコメントです。日本の大学学長就任プロセスと比較しての相違点、改革すべき点です。一点目、アメリカでは「選考委員会」が設置され、半年かけて世界中の人材から適任者を探す、日本では年功序列で内部登用です。二点目、アメリカの人材の経歴の多様性です。ベイロック女史は学部、大学院、就職先は多様です。ハーヴァード大学建築大学院長もトルコのコジェエリ大学の建築学部長も出身大学は現在の勤務先と別の大学出身で、かつ、複数の大学で教えました。欧米では研究の自由の確保、権力の腐敗防止、そのため人材の流動性を高め、他大学出身者を採用します。日本では30歳前後で助手に就任し、70歳まで教授を継続します。権力者となり、研究の自由が阻害される恐れがあります。3点目、教授、学部長、学長も5年から10年で交代し、他大学や民間企業に異動します。

日本の大学では、卒業した大学と同じ大学か、特定の大学の(国立が多いです)植民地の大学の教員に就職するパターンが固定化されています。(週刊文春のコラムで明治大学教授が指摘)ですから、日本では女性の教員就職の可能性は限りなく低いです。日本では、大学教授は人事権を握り、利権として維持しています。公平、公正さのために欧米のように公正・公平な公募、審査が必要です。

世界で最も活気ある都市2022年版。アメリカ専門誌による

2022年7月のアメリカの建築専門誌Architecture Dailyによりますと、EIU(Economist Intelligence Unit)の報告書で「2022年世界の最も活力ある都市のランキング」が発表されました。評価の視点は「安定性」「公衆衛生」「教育」「文化・環境」「インフラストラクチャー」の5分野です。1位がオーストリア、ヴィエナ、2位デンマークのコペンハーゲン、3位スイス、チューリッヒ、4位カナダ、カルガリー、5位カナダ、ヴァンクーバー、6位スイス、ジュネ―ヴ、7位ドイツ、フランクフルト、8位カナダ、トロント、9位オランダ、アムステルダム10位大阪です。逆に最下位の都市は、1位イラン、テヘラン、2位カメルーン、ドゥアラ、3位ジンバブエ、ハラレ、4位バングラデッシュ、ダカ、5位パプアニューギニア、ポートモレスビー、6位パキスタン、カラチ、7位アルジェリア、アルジェ、8位リビア、トリポリ、9位ナイジェリア、ラゴス、10位シリア、ダマスカスです。

森ビルが主宰する研究所で世界の都市ランキングが定期的に発表されます。主に東京、ニューヨーク、パリ、ロンドンとの比較です。評価の視点を何にするか、また、評価の点数付けをどうするかにより、結果に幅が生まれます。森ビルの研究所の特徴からすれば「東京」は理想的な都市とアッピールしたい思いもあるかと思います。しかし、上記のEIUのランキングに東京はリストされていません。私は東京が、安全、利便性等の観点から、相対的に質の高い都市と思っております。しかし、経験上、世界の都市の評価で見ると、問題もいくつかあります。外国人に不親切(英語のサインが少ないなど)、夜まで楽しく時を過ごせる場が少ない、子供を入学させる学校が少ない、外貨交換所が少ない、営業時間が限られている、外国に送金する際手数料が高額、公園・緑地が少ない、住宅の面積が狭い、道路が狭い、など都市環境などの問題も大きく存在しています。これから都市間競争の時代、こうした報告書を参考にしながら都市づくりを進めるべきです。

JR東日本副社長主催、酒席で参加者アルコール被害。店も損害。日本式懇親会は女性の社会参画の障害。週刊文春報道

22年6月30日週刊文春報道です。JR東日本副社長喜勢陽一氏が主催した懇親会で、参加した社員の多くにアルコールによる被害が出たとのことです。嘔吐で店を汚す被害も出たそうです。女性の社会参画が色々言われていますが「酒席」「懇親会」の在り方も根本的に変える必要があります。

日本で酒席、懇親会は「マー一杯飲め!」「俺の酒が飲めねーのか!」と無理やり飲ませる風習があります。一方ゴマすりのために先輩等に「まー一杯いかがでしょうか」と酒を注ぐ。酔っぱらい(ふりをし)本音を語ることで友好が深まるとさえ言われます。酔っぱらっても酒の席だからと許されます。セクハラさえ許されます。おかしな世界です。女性には恐怖の世界です。

一方欧米(トルコも)で懇親会で酒を注ぐ、注がれると言う習慣はありません。酒はマイペースです。ですから女性も安心して懇親会に参加できます。欧米で懇親会で酔っぱらうと「品がない人物」「ビジネスで相手にしない人物」と低い評価をされます。酔っぱらうだけでビジネス失格となります。ビジネスに悪影響を与えます。懇親会の運営の仕方も「女性に配慮した」方法が必要です。これから女性、特に管理職の女性が増えます。欧米式(トルコ含め)の懇親会にすべきです。アメリカかぶれと批判されますが。トップや幹事がそのように運営しなければなりません。

週刊文春にJR東日本副社長の喜勢陽一氏がアルコールを強要した張本人と書かれています。こんなレベル、意識の人物が天下のJR東日本の最高幹部で、近いうち社長候補と言われているそうです。このレベルの最高幹部が支配する組織では、女性社員は怖くてJR東日本では幹部になりたいと思う方は少ないでしょう。こうしたことも女性幹部が増えない原因の一つです。こうした古い価値観の輩が企業、組織の幹部にいる限り女性の幹部登用は困難です。こんなレベルの輩こそ、社会から排除すべきです。

私が港区長に就任した際、自民党議員団の団長から「酒を飲みながら腹を割って話をしよう」と言われました。また、共産党幹事長(高級外車を乗り回し、大声で怒鳴りまくる、威張りまくるパワハラの輩でした)「区長、たまには一緒に酒を飲みながら本音の話をしましょう」と声かけられました。民主党幹事長(ベテランで威張り散らすタイプ、法螺話の多い輩)からも同様のことを言われました。要は高級ナイトクラブ、料亭へ連れて行ってくれということです。彼らは「どうせ区長は公共事業の発注先にナイトクラブの請求書を回せるのだから」と言う発想でした。で、私は「酒を飲みません、女性が居る席は嫌い」と断り続けました。港区政の現実です。他の自治体、国会も似たり寄ったりでしょう。

女性はなかなか参加できない目の前の現実があります。女性参画の建前、きれいごとの議論でなくこうした現実も議論すべきです。リーダーの意識を変えなければなりません。