2022年9月18日の新聞に、首相が「海外高度人材獲得に注力」制度改革を検討と書かれていました。岸田首相は、高い技術や知識を持つ海外の高度人材を獲得するため「制度面、質の高い生活環境の2つの柱として人材獲得に努力しなければ。」と発言しました。高度成長期は「製造業」中心で経済発展しました。これからは情報、最先端技術でさらなる経済発展をしなければなりません。
ブルムバーグ通信の8月16日号で世界の高度人材の移住希望先都市として6市が紹介され、それぞれの都市特性、魅力について紹介されました。クアラルンプール、リスボン、ドバイ、ベンガルル(インド)、メキシコシティ、リオデジャネイロの6都市です。背景の一つに、香港で仕事をしていた金融や先端技術分野の高度人材が、共産党一党独裁体制の中国を見限り、自由な国に移住したいと考えています。かつては高度人材の受け入れ先としてシンガポールがありましたが、最近は入国審査のハードルが高くなりました。魅力ある都市は、活気ある国際コミュニティの存在、高給、快適な生活環境です。
1 クアラルンプールは2021年の外国人高度人材のアンケートで1位。特に住環境の評価は1位。文化の多様性、東南アジアの交差点で交通至便。国民の多くが英語を話す。 2 リスボンはヨーロッパの古都であるが、新しもの好きの先端都市。文化の混合。ヨーロッパ内でアクセスが良い。国際コミュニティと良質な学校の存在。最近富裕層の移住が進み、ヨーロッパの中で高度人材が最も関心を持つ都市。3 ドバイは砂漠の国で、長年、香港、シンガポールを目標に高度人材獲得に挑戦してきました。金融拠点、暗号資産の活動拠点でもあります。未来的建築で都市建設を進めています。時差はヨーロッパとほぼ同じ。4 ベンガルル(インド)は世界で最も成長の早い最先端技術都市です。世界の高度な技術の企業や優良投資家が投資しています。国際学校、魅力あるバーやビストロ(ヨーロッパの居酒屋)が多くあります。5 メキシコシティは2200万人のアメリカ大陸最大の都市。古都です。現在起業家の関心が高まっています。ラテンアメリカの先端技術の中心です。2022年の外国人高度人材調査(Expat Insider)で1位です。 6 リオデジャネイロは南米最大の都市。ブラジルのパリと称され、ヨーローッパの雰囲気が漂い、多くの外国人が住んでおり、外国人にとり気楽に移住できる都市です。
さて、東京は、日本は?となると課題が多いです。6都市の特徴を整理すると①文化の多様性、②未来的建築による都市づくり、③高質な住環境、④高給、⑤国際学校や(健全な)バー、ビストロなど生活維持装置の存在等の要件です。首相や都知事等が政策的に、強引に進めることが重要ですが、果たして可能か?日本は高度人材が注目してくれる国になれるか? 東京の都市環境、人事給与制度、社交方式、異文化理解の欠如など課題山積です。