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ニューヨーク市で2600万ドル(約36億円)の損賠賠償金

ニューヨークタイムズ10月30日の記事によりますと、1965年世界的に話題となったマルコムX殺人事件の犯人として逮捕されたムハマンド・アジズ氏とハリル・イスラム氏の2人が20年以上の服役を経て、昨年の11月冤罪と分かり、当時捜査を担当したニューヨーク市警の本体であるニューヨーク市役所が2600万ドル(日本円で約36億円)の損害賠償金を支払うことになりました。

原田コメント、アメリカの裁判で出される損害賠償金の額は日本で考えられない高額です。10年位前でしたか、栃木県足利市で菅谷さんが冤罪で服役し、その後裁判で冤罪の判決が出た際の損害賠償金は1億円に近い額だったと記憶しています。要は日本ではその程度です。アメリカの弁護士は、高額の損害賠償金を得るために必死で法廷でアッピールすると思います。現市長は元ニューヨーク市警の警察官でした。57年前の事件とは言え、複雑な思いでいるかもしれません。

餃子王将社長射殺事件と港区政との類似点、不正追及で

令和4年10月28日の報道によりますと、2013年餃子王将社長の大東(おおひがし)隆行さんが射殺された事件の容疑者が逮捕されました。事件の背景に同社創業家が特定の企業経営者と総額260億円に上る不適切な取引を繰り返し、大東社長はこうした取引を解消しようとしていた、と言われています。

港区政での類似点を感じざるを得ませんでした。2000年6月に港区長に就任し、しばらくして驚くべき多くの情報がもたらされました。極論すると、港区は官製談合、開発利権など不正の巣であることが分かりました。

選挙の1か月半前に当時の区長菅谷さん(中卒で港区に就職、立身出世の方)から出馬を哀願され、私は「2001年に大学教授に内定している、不正は許さないといった性格や学生時代からの実績(論文多数、3度の海外留学など)が政治家に向かない、朝日新聞社の社長は友人、警察の幹部は友人、多くの継続している仕事を抱えており手放せない」など理由を挙げ、散々お断りしましたが、執拗な哀願に心が折れ、社会貢献と思い、後継者として出馬を決意しました。菅谷区長に約束したことは「まじめに仕事します、不正があれば質します」それに対し菅谷区長は「原田さんのお好きに、私は院政を敷きません」でした。

就任直後、その発言が全く嘘であることが分かりました。複数の方から、官製談合、開発利権の報告が入りました。議会が行政をチェックする、という建前がありますが、区長自ら、議会の不審点をチェックし、質しました。また、一部幹部職員の不自然な行動をチェックしました。助役も政策経営部長(総務部長のような立場)も契約や公共事業、開発に係る幹部もおかしな行動をしていることが分かり、質しました。また、六本木3丁目選出の区議会議員は具体名を挙げ「A議員、B議員に散々たかられた、たかられる恐れがあるからその二人と付き合わないように」と助言もありました。二人の行きつけの赤坂の高級ナイトクラブの費用を肩代わりさせられたそうです。大変な額だったそうです。

しばらくし、原田が区長でいると危ないと感じたグループは原田外しに走りました。その典型事件は2003年12月の飯倉小学校の廃校手続きです。次の選挙の半年前に区民から嫌われる「学校廃校」を進める首長や議員はいません。謀ごとでした。多勢に無勢でした。原田の評判を落とすことが狙いでした。また、区政の混乱を招くことが目的でした。

次の区長になったのが、私の区長時代の人事課長、武井さん。某管理職に言わせると「武井さんは人事、総務しか勤めたことがなく、事業分野の経験はなし」。また、能力、階級でいうと、課長昇任試験に合格したのは42歳。東京都庁にごろごろいる標準的な人材。東京都庁の局長は30歳前後で合格します。ある勢力にとり都合のよい人材だったのでしょう。思い出話です。ばかばかしい限りでした。

MIT学長、女性就任

10月20日ニューヨークタイムズによりますと、MITはサリー・コーンブルース女史(61歳)、現デューク大学学長を次期MIT学長に任命しました。細胞生物学の専門家です。就任は23年1月です。学部はウィリアムズ・カレッジ卒、ロックフェラー大学で分子腫瘍学の博士号を取得、その後、デューク大学で教授に就任しました。MIT学長就任にあたり、黒人、メキシコ系、女子学生の比率を高めると語りました。

現在MITの学部の男女比は、51.9%、48.1%(学部総員は4638人)ですが、将来、理系女子学生をさらに増やすとのことです。

原田敬美のコメント:日本の大学と比較し、指導的立場の大学の学長に女性が就任したことは素晴らしいことです。黒人、メキシコ系の学生を増やすことを公約に挙げ、さらに、女子学生、女性研究者を増やすとのことです。

コーンブルース女史の経歴ですが、日本の大学教授は学部、修士、博士とほとんど同じ大学で学びさらに同じ大学で教員に就職することが多いですが、学部、博士号を取得した大学はそれぞれ異なり、就職した大学も異なります。それが欧米流の学び方であり、また就職の仕方です。多くの異なる環境に身を置き、多様な経験を積むということです。

日本の大学の学長や理事など、ぜひ、MITの女性学長のかじ取りを学んでほしいです。さらに、日本の大学でも同様の大学運営方法を実践していただきたいと思います。

アメリカの労働の多様性。メジャーリーグ投手から警察官

アメリカでは労働形態が多様です。日本は基本的に終身雇用。アメリカでは何度も仕事を変えることが普通です。9月11日ニューヨークタイムズによるとメジャーリーグで投手で、引退後警察官になったアンソニー・ヴァルヴァロ(37歳)がニュウージャージー州の高速道路上で交通事故で亡くなりました。彼は2005年シアトル・マリナーズに入団、その後、2011年アトランタ・ブレ―ヴズに移籍、さらに2014年ボストン・レッドソックスに移籍。2017年ニューヨーク・ニュージャージ港湾局(ニューヨークの港湾、鉄道、空港、バスターミナル等の管理運営を担う)の警察部の警察官になりました。

日本では考えられないキャリアです。自分の能力、興味に合った仕事に就ける社会体制は、能力活用、社会経済の活性化のために大切です。90年代、日本の週刊誌で、ニューヨークに移住した40代の日本人女性がニューヨーク市警の警察官になったと紹介されました。2000年代、ニューヨークタイムズの社長は、高校の校長出身で途中入社の女性が社長に就任しました。

様々なキャリアを積み、その経験を別の職場で生かすことは社会と本人にとり有益です。終身雇用ですと、社会経済の大きな変化に労働者、会社が対応できないことが考えられます。民間から公務員に、逆に公務員から民間に、大学から民間に、民間から大学にと雇用が弾力的に変わる必要があります。私はこれが新しい資本主義の在り方の一つと思います。