22年10月26日のニューヨークタイムズの報道によりますと、アダムス市長(黒人で元ニューヨーク市警警察官)は新しい消防委員長に市役所の歴史上初めて女性を任命しました。市役所の消防委員長は、日本の行政制度には無い制度ですが、例えば、教育委員会の教育委員長、警察の公安委員長、農業委員会の委員長と同じような立場と想像してください。彼女は40歳、コロンビア大学の公共政策の修士号を持っていますが、消防分野では素人です。
ニューヨーク市消防局は消防官17,000人、女性消防官は141人です。(1%未満)ニューヨーク市の女性消防官の第一号は1982年、ブレンダ・バーグマン。(東京消防庁の女性消防官の採用はもっと前です)彼女は連邦裁判所に消防官の採用に際し、フィジカルチェック(詳細な内容は不明)は女性差別と訴え、判決で認められ、採用されました。(連邦裁判所は連邦憲法、連邦の法律の審査、判断)州の裁判所は州憲法、州の法律の判断、市役所裁判所はし条例の審査、判断、と異なる裁判所が存在します)差別問題だったので、彼女は連邦裁判所に訴えたと思います。
この記事を読んで、いくつかのコメントです。まず、重要なポストに40歳の女性が就任したことに、日本の雇用制度、昇任制度ではありえないことに驚きです。若い元気で動ける方が幹部、リーダーになる必要があります。歳をとってトップに立つのではなく、歳取ったらサポートに回る方が良いです。身近な例ではハーヴァード大学の大学院長、95年に私の指導教官だったピーター・ロウ氏が就任、45歳でした。院長を退任した後は平教授になり若手をサポートしていました。日本の大学(他の組織も)定年間際に学部長や大学院長に就任します。
また、法廷闘争までして消防官になったと言う女性の闘う姿勢には敬意を表します。さらに、法廷闘争で戦った人物を採用したニューヨーク市役所の土量も評価すべきです。柿が熟して落ちるのを待つのでなく適時戦う必要もあります。裁判というと政治闘争、イデオロギー闘争と勘違いされる恐れもありますが、そうでないことを明確にし闘う必要があります。
日本の大学で女性教員、研究者が少ないのは差別だと大学当局や学長を訴える裁判をする女性闘士が登場することを期待します。