2024年パリのオリンピックを控え、競技施設の整備がかなり進んでいると思います。施設計画のマスタープランの担当はフランス人建築家ドミニク・ペローです。施設を見学できればと念じております。日本の場合、大型施設の設計は、大学教授の肩書を持つ建築家化建築家が数百人いる大手設計事務所が担当します。日本はそうした権威付けが必要です。
欧米では一匹狼の建築家が国歌プロジェクトを担当します。ドイツのミュンヘンオリンピックのメイン競技場はフライ・オットー親子が担当しました。オットー氏から直接聞いた話「息子と2人で設計活動をしている。」能力に無関係に設計事務所規模や売上高を参考に発注を決める日本社会では、小規模零細規模の設計事務所は排除されます。フィンランドの大統領官邸は、一匹狼建築家のレイマ・ピエティレが担当しました。私は学生時代、ピエティレ氏を訪問、インタビューをしました。(1972年の早稲田建築に寄稿)98年ワールドカップがパリで開催されました。メインスタジアムの設計を担当したのが一匹狼建築家のマッカレー。当時、マッカレー氏の案内で現地視察しました。
1994年パリを訪問した際、元大統領府チーフ・アーキテクト(日本に同じポストはありませんが、あえて言うなら建設大臣)だったベルモン氏曰く「将来のフランス建築界を背負っていくのはドミニク・ペローと紹介され、ペローの事務所にご案内いただきました。ベルモン氏は1980年代、ミッテラン大統領の下、パリの大改造を推進しました。ルーブル美術館のピラミッド形状のエントランス。バスティーユの新オペラ座。デファンス副都心。セーヌ川にせり出した大蔵省。アラブ世界研究所(設計は電通本社ビルを設計した方)、デファンス副都心など今や観光名所となった建築が立地しています。こうした施設はベルモン氏がプロデュ―スしました。観光名所の建築です。日本政府、東京都庁にこうした公共建築をプロデュースできる最高幹部がいるとよいのですが。パリ・オリンピック施設がどのような姿を現すか楽しみです。