月別アーカイブ: 2023年1月

パリオリンピック施設マスタープラン担当者ドミニク・ペロー

2024年パリのオリンピックを控え、競技施設の整備がかなり進んでいると思います。施設計画のマスタープランの担当はフランス人建築家ドミニク・ペローです。施設を見学できればと念じております。日本の場合、大型施設の設計は、大学教授の肩書を持つ建築家化建築家が数百人いる大手設計事務所が担当します。日本はそうした権威付けが必要です。

欧米では一匹狼の建築家が国歌プロジェクトを担当します。ドイツのミュンヘンオリンピックのメイン競技場はフライ・オットー親子が担当しました。オットー氏から直接聞いた話「息子と2人で設計活動をしている。」能力に無関係に設計事務所規模や売上高を参考に発注を決める日本社会では、小規模零細規模の設計事務所は排除されます。フィンランドの大統領官邸は、一匹狼建築家のレイマ・ピエティレが担当しました。私は学生時代、ピエティレ氏を訪問、インタビューをしました。(1972年の早稲田建築に寄稿)98年ワールドカップがパリで開催されました。メインスタジアムの設計を担当したのが一匹狼建築家のマッカレー。当時、マッカレー氏の案内で現地視察しました。

1994年パリを訪問した際、元大統領府チーフ・アーキテクト(日本に同じポストはありませんが、あえて言うなら建設大臣)だったベルモン氏曰く「将来のフランス建築界を背負っていくのはドミニク・ペローと紹介され、ペローの事務所にご案内いただきました。ベルモン氏は1980年代、ミッテラン大統領の下、パリの大改造を推進しました。ルーブル美術館のピラミッド形状のエントランス。バスティーユの新オペラ座。デファンス副都心。セーヌ川にせり出した大蔵省。アラブ世界研究所(設計は電通本社ビルを設計した方)、デファンス副都心など今や観光名所となった建築が立地しています。こうした施設はベルモン氏がプロデュ―スしました。観光名所の建築です。日本政府、東京都庁にこうした公共建築をプロデュースできる最高幹部がいるとよいのですが。パリ・オリンピック施設がどのような姿を現すか楽しみです。

アメリカで子育てしやすい州

ニューヨークタイムズ(1月26日)によりますと、某研究機関の調査で子育てしやすい州のランキングが紹介されました。評価項目の分野は健康、治安、医療、犯罪、道路交通の安全性、教育などで、51項目で点数評価しました。その結果、1位から、マサチューセッツ州、2位ミネソタ州、3位ニューヨーク州、4位ノースダコタ州、5位ヴァ―モント州、 最下位から、ミシシッピー州、ニューメキシコ州、ウェストヴァージニア州、ルイジアナ州、サウス・カロナイラ州…です。コロナ禍でリモートワーク、在宅勤務が増えたので、必ずしも勤務地の近くに住む必要性も低下しました。

原田コメント、アメリカはランキングが好きな文化を有する国です。評価点は、何を基準に、それぞれの評価項目に対し何点つけるかによって、結果が異なると思います。また、今回の調査は州単位ですが、自治体毎にランク付けしても面白いと思います。

コロンビア大学、初の女性学長

ニューヨークタイムズの報道によりますと、ニューヨーク市に立地するコロンビア大学の次期学長に初の女性が就任します。ネマト・シャフィーク女史です。女性活躍の海外情報です。その結果、ハーヴァード大学、ダートマス大学、MIT、ペンシルベニア大学、ジョージワシントン大学など歴史ある名門校の学長が女性です。新学長はエジプト生まれ。学歴は、学部はマサチューセッツのアムハースト大学、修士はロンドン経済政治大学院、博士はオックスフォード大学。職歴は、世界銀行副総裁、国際通貨基金副事務局長、英国銀行副総裁、ロンドン経済政治大学学長。家庭は子供2人。

原田のコメント。彼女の現在の国籍は不明ですが、エジプト人。コロンビア大学にとり外国人。学習歴は、欧米では当たり前の、学部、修士、博士と別々の大学で学びました。彼女はそもそもコロンビア大学とは無関係。欧米の大学では利害関係をなくすため、大学教授のほとんどは他校出身者です。私がライス大学留学した時も、指導教官はオーストラリア人、出身大学はメルボルン大学、後年ハーヴァードの大学院長に就任。修士号審査教授は南アフリカ出身、出身大学はハーヴァード大学、後年MITの大学院長に就任。経歴がバラエティに富んでいます。一昨年私が企画と司会進行を仰せつかった女性研究者を増やす目的のシンポジウムに招聘したハーヴァード大学建築大学院院長サラ・ホワイティング女史も、学部、修士、博士と異なる大学で学び、ハーヴァード大学と縁がありませんで、ハーヴァード大学の大学院長に就任しました。トルコのコジャエリ大学の学部長、ネヴニハルエルドーガン女史も、出身大学、職歴は多様で、他大学出身です。

日本では、東大学長は東大卒、日本の教授は、多くの場合、東大教授なら、学部、修士、博士とずーと東大。日本の教授は、世間的に視野の狭い研究者として育ちます。(個人によりますが)他流試合、他領域、他大学との交流はほとんどありません。日本の大学は「師匠と弟子」の関係が長期間続くのが、研究環境。男性指導者の場合、なかなか女性の若手を抜擢するのは難しいでしょう。日本の主要大学で女性学長が登場するのはいつのことか。

日大では田中元理事長が不祥事で逮捕され、退任。その後、小説家の林さんが理事長に就任しました。大学のトップは博士号を持ち、多様な研究機関で多くの実績を有し、かつ、教育政策、教育指導に明るい、高い意識の人物が最適です。林さんの理事長就任は、有名人なら良いと言う安易な日本的判断と思います。

欧米の教授は学生による厳しい評価に毎学期さらされます。評判悪い教授は即解雇です。日本の大学教授は、評価システムがありません。永久就職です。ですから自分の欠点を認識できません。教育・研究方法を改善できません。

教授、学長など「公募」を原則とすべきです。また、毎学期、学生による評価される必要があります。

コロナ患者隔離受け入れ先ホテルの部屋の湿度20%!?健康な室内気候を規制すべき

知人から聞いた話。コロナに罹患し、指定されたホテルで数日間隔離生活となりました。港区内APAホテルです。室内の湿度が20%。浴槽に水をはり、かつ、濡れタオルを室内に干し何とか湿度を確保したそうです。厚生労働省や東京都はコロナ患者を隔離するホテルの湿度について一定水準を維持するよう指導すべきです。

私は1998年東京都庁の依頼で、インフルエンザ予防対策マニュアルを作成しました。室内気候について、22度(高齢者はやや高めがよい)、湿度は40~60%としました。ウィルスは乾燥を好み、乾燥していると、ウィルスは空中を浮遊し、飛散し、感染を拡大する恐れがあります。

コロナ患者を単に隔離すればよい、ということでなく、室内環境を一定水準にした上で隔離する方策をとらなければいけません。室内気候に意識が欠如しているのは危険です。