月別アーカイブ: 2023年3月

アメリカ各州で異なる固定資産税

アメリカで留学生活をした経験で、連邦政府の仕事は国防、外交、通商、複数の州にまたがる調整の4分野。大統領の権限はその4分野のみで、各州、各市のことは大統領は口を出せません。それ以外の分野は州レベルでは州知事(州の軍隊がありますので知事は州の軍隊の最高司令官)、市レベルでは市長(市警察がありますので市長は市警察の最高司令官、ですからアメリカの市長は高い倫理観が要求されます)が最高責任者です。立法は州議会、市議会が担います。日本の議会は議員がイチャモンを付けることが多く、立法をする議員はほとんどいません。税率は各市、各州で異なります。歳入、歳出のバランスで税率が決まります。税率は議会が決めます。アメリカの議員は税に詳しく自治体経営のプロです。日本は税率、例えば固定資産税率も同一です。

ニューヨークタイムズの3月16日の記事でアメリカの各州の固定資産税率の比較の紹介がありました。(市の固定資産税もありますが、市ごとに異なりますが、紹介は、市の数が多すぎて困難です)最も高い州はニュージャージー州で、住宅の平均固定資産評価額484,393ドル(1ドル100円とすると約5000万円)に対し州の税金は12,061ドル(1ドル100円とすると約120万円)で2.49%、最も低い州はウェスト・ヴァージニア州で、平均評価額140,027(1ドル100円とすると1400万円)に対し州の税金は812ドル(1ドル100円とすると約8万円)で、0.58%です。東北部の州は高く、南部の州は低い傾向にあります。税率を見て、住まいの立地を選択するのもアメリカ流です。

私の認識ですが、税金はその地域、組織を成り立たせるための「会費」です。歳入歳出がバランスが取れることが基本です。ニューヨーク市の歳入・歳出を見ると、ほぼ100%バランスが取れています。日本で最も豊かと言われる東京都でも予算の占める都税収入などの比率は70%です。本来、地方のことは地方で、という地方自治の理念からすれば、アメリカの方式は参考になります。

ハーヴァード大学建築大学院建築学科長に韓国系女性就任

AIA(American Institute of Architectureアメリカ建築家協会)誌3月9日の記事によると、La女史が今年の7月からハーヴァード大学建築大学院の建築コースの学科長に就任とのこと。女性活躍の更なる事例です。原田敬美のブログで以前紹介しましたが、現在ハーヴァード大学建築大学院院長はサラ・ホワイティング女史。今年からハーヴァード大学学長も女性が就任。女性活躍の素晴らしい事例です。以前の学科長はトシコ・モリという日系女性でした。ハーヴァード大学建築大学院には建築、都市計画、不動産、造園景観の4コースがあります。600名ほどいる学生の半数は女子学生。

日本の大学(社会)はジジー文化。男性の教授が、後輩のかわいい弟子(自分の研究を手伝った)を後継者に水面下で任命する仕組みです。日本の大学の人事がハーヴァードのようになるのは100年先か。

東大理系博士課程で英語論文・プレゼンの授業、日本の理系教育で遅れている課題

NHKラジオ、ビジネス英会話で聞いた内容です。2022年9月放送分です。内容は東京大学シニアリサーチフェローのケイト・ハリス女史(専門は超分子化学)のインタビューでした。

東京大学で理系の博士課程の学生に以下の内容、ひとつ目は、英語論文の書き方、二つ目はプレゼンの方法。この2点が日本の理系の大学教育で欠けている点です。

さらに、ダイバーシティと倫理を、履修学生に全員に義務付けている。日本のジェンダー不均衡を是正し、科学分野における女性に対する無意識の偏見を克服することを目指す。5年間の内1年は海外で勉強し、他分野の研究者との交流を奨めている。視野が広がる。

私自身の体験ですが、欧米で勉強し、多くの女性指導者と交流した経験から、ハリス女史の発言内容は肌感覚で分かります。欧米の、トルコも含め、学会に参加すると男女半々です。また、プレゼンは、欧米では笑顔でユーモア交えての方法です。女性研究者の増加、社会参画の観点で、東大の取組みに対し、将来を期待したいと思います。他大学でも、同様、倫理、ダイバーシティを義務として学び、英語のプレゼン、英語の論文の書き方を義務として学ぶことが当然となることを期待します。

昨年、日大の田中理事長が東京地検に逮捕され、数年前東京医科大学の理事長、学長が、女子学生に不利益のなる不正をしたけんなど、こうした人物が日本の高等教育機関のリーダにいるという現実、内部で改革できない現実があることを認識した上で、どうするか考える必要があります。欧米での留学生活や国際会議への参加の経験から、日本は「ジジー文化」の国、「・・・のくせに(女のくせになど)」「師匠と弟子と言った相撲の部屋のような社会」の文化の社会です。アメリカのメジャーリーグのように外国人選手がのびのびと活躍する環境を創り出す必要があります。欧米留学中、「日本人のくせに、若造のくせに、・・・」と言った差別的発言を耳にすることはありませんでした。一方、日本では、「新米のくせに、民間人のくせに、町の建築家のくせに・・・」と言った嫌がらせの発言をよく耳にしました。