日別アーカイブ: 2023年4月6日

ニューヨーク市の車が進入しない道路で商店街の活性化

ニューヨークタイムズの22年10月25日の記事によりますと、ニューヨーク市で、「Open Streets Program」(直訳で開放道路事業)でパンデミックで衰退した商業者が道路上(屋外空間なので感染しにくい)で、車をシャットアウトし、飲食できるようにし、何とか生き延びているとのことです。ニューヨーク市運輸委員会委員長ロドリゲス氏がコメントを発表しました。また、商業活動により市の税収増効果もあります。事例調査をした5地区では、2021年6月から8月までの間の税収は、以前500万ドル(1ドル100円とすると5億円)だった額が、600万ドル(1ドル100として)6億円に増えました。一方で、車をシャットアウトしなかった地区の商店街では税収が3.6億ドルに減少したとのことです。

欧米では、歩道上にレストランのテーブルとイスがせり出し営業をしている事例を多く見かけます。コロナ禍で衰退した経済を立て直すために、また、街の賑わいをもっと盛り上げるため、街に活気を取り戻すため、新たな取り組みに挑戦してみる価値があります。そのため、道路の設計、歩道の設計、商店街全体のあり方など、抜本的な見直しも必要です。

政府の子育て政策

岸田政権、政府が少子化に歯止めをかけようと、積極的に新たな政策を掲げつつあります。良い方針と思いますが、一方で、問題も多いです。具体的には、児童手当、出産費用の公的支援、学校給食の無償化などが挙げられています。金のばらまきと思います。お金がかからない有効な政策があります。その点は政府、政治家も発言をあまり聞きません。

一つは労働制度。残業をせず、定時退社です。そうすれば夫婦で家事、育児に参加できます。

二つ目は雇用の流動性です。出産育児で退職しても、いつでも、再度、公務員試験を受けたり、大手企業に応募できる雇用制度にすれば、出産育児というライフイベントに安心して参加できます。20年以上前と記憶していますが、週刊新潮の記事に、ニューヨーク市に移住した日本人女性が、アメリカ国籍を取り、40歳頃ニューヨーク市警の警察官になったと紹介されました。

私自身の体験です。50年前アメリカ、スウェーデンに留学した際、インターンとして大学の研究所、設計事務所で働きましたが、5時になると全員一斉に退社。誰一人残業しませんでした。後輩の体験談です。私の1年後にウースター大学に留学した後輩は、三井物産に勤務後、80年代後半英国石油に転職しました。ロンドンに到着後すぐに英国石油に出勤したら、上司から「一週間出社しなくてよい、家で奥さんが引越しの荷物の整理や子供の学校入学手続きで大変だろう、家庭を大切にしろ」と叱られたそうです。英国石油(世界的な大企業)では、40年前のことですが、残業がなく定時退社で、夕方帰宅後、家事や地域活動に参加したとのことです。女性も安心して働けます。

公務員の場合、議会前、議会中は議会対策で長時間残業。すると、特に女性は幹部になりたいという意欲を失う方が多くいると思います。本来政策の議論は議員同士ですべきで、公務員は政策の執行者ですから政策立案に関係しません。しかし、日本の政治家は政策、立法する能力はほとんどなく、公務員側の政策提案に対し、いちゃもんを付けるだけ、公務員は議会前、議員の質問取材と答弁書作成に忙殺されます。先進国で議会で行政と議員が討論するのは日本だけです。本来、議会の中で議員同士が議論すればよいことです。

港区長時代、上田助役に公務員試験で年齢制限があるのは、欧米的価値観(何歳になっても転職自由)から憲法違反の恐れありと話をしたら、「公務員の年金制度がありますから公務員試験の年齢制限は必要です。」との発言。本質を理解していない発言で、港区の助役はこのレベルかと思った次第です。何歳になっても公務員試験を受験できる、大企業にも応募できる雇用制度に変えるべきです。金はかかりません。公務員組織、大企業組織で多様性が生まれます。多くの政治家、識者は「多様性」を声高に発言していますが、言行不一致です。

大学のガバナンスの問題

読売新聞記事によりますと大学教員がセクハラなどの行為で処分を受けたとのことです。その中で作家深沢レナさんが早稲田大学の学生時代、指導教授から「俺の女になれ」とセクハラされたと告発がありました。数年前のことですから、その時の早稲田大学総長は鎌田氏。氏は法学部教授で、会社法、企業のガバナンスの権威者とのこと。しかし、実際には早稲田大学でガバナンスができていなかったということです。

さらに、鎌田氏の総長時代、文科省の局長を早稲田大学教授として採用しましたが、後日、国家公務員の天下りの省を挙げての斡旋を禁止するルールに反したことが発覚しました。その元教授は即退職しました。また、当時の文部次官だった山中氏は退職後ブルガリア大使に転じていましたが、次官時代のルール破りの責任を取り、即、大使を辞任、帰国しました。しかし、鎌田総長は最高責任者であるにもかかわらず責任を取っていなかったと記憶します。

別の問題もあります。文科省の局長が大変優秀な人物であることは分かりますが、大学教授は研究者、教育者であり、博士号を持っている必要があり、また、教育力があることが必要です。その局長OBを存じませんが、果たして若者に対する教育力があったか、不明です。下種の勘繰りかもしれませんが、早稲田大学は文科省の局長を教授として迎え入れたことは、文科省と新たな関係を構築したいという下心があったかもしれません。さらに、下種の勘繰りですが、鎌田氏は安倍総理の時の教育改革会議の議長を務めましたが、そのポストとのバーターだったかもしれません。推測ですが。

本件を見ると、大学教授は理屈の世界だけで、実際、大学運営で不祥事が発生したことで、大学組織のガバナンスがどうなっていたのか、さらに、総長が責任を取らず(ニュース報道などで鎌田総長が責任を取ったと聞いていません)、無責任な人物と思いました。

日本大学も、危機管理部長や法学部長がいますが、田中理事長の暴走を止めることができませんでした。田中理事長が東京地検特捜部に逮捕された後は、溺れる犬をぼうでたたくという日本的なやり方で、田中理事長の現職時代、学部長、理事達は田中理事長の不祥事を批判しなかった連中ですが、逮捕後、田中元理事長を責めました。日本の大学は、教授は建前、能書きを偉そうに社会に向け垂れるだけで、実際は何もできない、言行不一致ということです。

1976年、ロッキード事件で田中元首相が逮捕された時も同じ。それまでマスコミなどは田中首相をほめちぎりましたが(田中首相の問題をマスコミなどの連中は知っていましたが告発せず)、逮捕されると「実は・・・」と問題を書きたてました。日本のマスコミもいい加減です。

先週号の週刊文春に、明治大学の清水教授(日本史)が教員採用の裏話を書きました。教授の公募手続きは、裏があり、出鱈目だそうです。日本の大学教授採用は、欧米の公正な募制度と比べると100年遅れています。女性教員はなかなか増えないと思います。現職の教授達にとり、改革するよりは現状のままのほうが都合が良いと思っているでしょう。立派な教授を知っていますが、馬鹿な、幼稚園児程度の常識の教授も多いということです。