日別アーカイブ: 2023年4月15日

ホワイトハウス。トランプが解散させた芸術委員会を復活。文化芸術政策の展開を期待。

ニューヨークタイムズ22年9月30日の記事によりますと、バイデン政権は、トランプ前大統領が解散させたArts Commission(芸術委員会)を復活させました。アーツ・コミッションは1982年レーガン大統領により設立され、文化・芸術政策の大統領からの諮問に応える組織です。2021年バイデン大統領が就任し、基金の20%の増額(201万ドル、1ドル100円として201億円)を提案しました。

トランプ大統領は公共建築をギリシャローマ風にデザインしろと命じました。これは共産主義の文化政策と同じです。東西冷戦下、共産主義国では共産党が共産主義を表現する建築にしろと命じました。音楽、美術、建築など文化芸術は大きくアメリカがリードしています。そういう点で、バイデン大統領が文化芸術政策を見直したのは好ましいことと思います。

世界各国の熱対策官会議

CityLab22年10月3日の記事によりますと、世界の主要都市の熱対策官が市民活動家を連れてワシントンDCに集まり気候変動の議論をしました。参加者すべてが女性です。熱の問題は、気づかないうちに、静かに進行することです。この会議はアトランティック委員会のアドリアンヌ・アーシュト‐ロックフェラー財団レジーリエンス・センターが組織しました。主要都市では熱による経済損失が大きいです。熱対策官(チーフ・ヒート・オフィッサー)の役割はまだ緒に就いたばかりです。

参加者全員の認識として、このままだと、2050年までに1000の都市が夏の平均気温が35度になると認識しました。また、植樹により都市の温度を下げるという自然の法則を使っての温度低下をさせる提案がありました。

1994年だったか、早稲田大学建築学科尾島研究室がキャンパス周辺の街路で、街路樹がある所とない所での地表面温度を測定した調査研究が建築学会関東支部で報告されました。緑という自然の力で大地の温度を低くする方法は最も原始的ですが、最も有効な都市を冷やす方法です。都内と見渡すと、道路(幅員4メートル以上)がなく、建築基準法違反の住宅が建て込んでいる街区は熱環境的にも問題が多く、一方、再開発し、緑地を十分に確保した街区は熱環境の観点からも良好な街区と言えます。

ニューヨーク市オープンストリート事業。車を止め路上レストランで商業活性化

ニューヨークタイムズ22年10月25日の記事によりますと、室外(道路)の飲食を推進することで、パンデミックで打撃を受けた飲食業が活性化しています。ニューヨーク市の調査によりますと、オープンストリート事業は大変成功し、飲食業が再び活性化しています。コロナ禍で大打撃を受けた飲食業ですが、オープンストリート事業で新たな商業活動が生まれました。ニューヨーク市役所の運輸委員会の委員長がコメントをしました。

委員長のポストは日本の自治体では教育員会などありますが、欧米の自治体では各部(局)に大きな方針を決める委員会が存在しています。

オープンストリート事業の飲食業が納める税金もかなりになります。調査によりますと2021年の5地区の事例では、6月1日から8月31日まで平均の税収が600万ドル(1ドル100円とすると6億円)で、過去の3年間の平均税収は5万ドルだったので19%の増収となりました。また、近隣地区でオープンストリート事業をしない街区の飲食業の税収は3.6億ドルでした。

前運輸委員会委員長ジャネット・サディク・カーン女史は街路の使い方のデザインでの生活が地域社会に富をもたらしたと語りました。

日本では道路上での飲食業は、祭礼やイベントの時以外は、固く禁じられています。しかし、街の経済の活性化、パンデミック対策、市民のための道路、街の賑わいの観点などから一度実験したらよいと思います。

デンマークでBIG事務所がマルガレーテ女王50周年記念でジェンダー平等のモニュメントのデザイン

dezeeenという建築専門誌の22年9月5日の記事によると、BIGというデンマークの建築設計事務所(世界各地で素晴らしい建築設計をしています)がデンマークのマルガレーテ女王陛下の50周年を記念し、コペンハーゲンで「頑張る女性」をテーマにしたモニュメントをデザインしました。広い公園の敷地に49の高さの異なる柱状の物体を円形に配列するというデザインです。そこには49名の著名な女性の指導者の名前が刻まれています。

ジェンダー平等という大きな社会的な流れの下、女王陛下の50周年と49人の指導的女性の名前を刻み、49個の柱状のモニュメントをシンプルに円形に配置するユニークなインスタレーションです。ジェンダー平等をフォルムに表す社会的挑戦という観点からも注目すべきデザインです。

ペンシルベニア大学建築学部長に台湾出身女性建築家就任

AIA(アメリカ建築家協会)誌4月12日の記事によりますと、ペンシルベニア大学建築学部長に台湾出身の女性建築家ロッサナ・フ(Rossana Hu)女史が24年1月1日から就任予定。現在は上海で設計事務所を運営し、Tongji大学建築学部長。ペン大で3人目の女性学部長。最初はアデーレ・ナウデ・サントス女史(1981-1987)。サントス女史は私のライス大学時代の修士号審査教授でお世話になった方。Hu女史はカリフォルニア大学バークレー校で建築学士、プリンストン大学で建築・都市計画の修士号を取得。経歴はいつものとおり欧米では学士、修士と異なる大学で取得します。バークレー、ハーヴァード、イェイル大学、香港大学などで講師を務めました。大学での女性活躍の好例です。