月別アーカイブ: 2023年6月

学び直し・ジョョブ型 労働市場改革

4月12日政府は新しい資本主義実現会議で、労総市場改革の方向性を示しました。日本では、多くの場合学校卒業後同じ会社に定年まで勤めることが一般的です。しかし、産業構造の変化、社会経済の変化の中でそうした雇用制度、教育制度の大きな改革が必要です。欧米での体験です。メジャーリーグで活躍した選手が引退後、医学大学院に入学し、医者になる、警察官になる、企業経営者になるなど、多様です。何度の学び直し、次の人生を目指すことが可能です。以前も紹介しましたが、友人のオーストラリア人が70歳になって博士課程に入学し、博士号を取得し、その後社会貢献する、と言う脳力活用の社会です。景気の変動に伴い、景気が悪くなった会社からこれから発展が見込める分野の企業に転職し、これまでの経験を活かす仕組みを整備する必要があります。欧米の大学は何歳になっても入学できる弾力性、多様性があります。また、アメリカにはコミュニティカレッジという学び直しに都合の良い公立の短期大学も多くあります。

世田谷区新庁舎建設、半年遅れ 監査は機能しなかった

5月31日の新聞報道で、世田谷区役所の新庁舎の建設工事、第一期工事の竣工予定が9月までだったのが半年延期になるとのことです。以前本欄でも書きましたが、町田市の図書館が工期3か月遅れで施工した東急建設は1年間の指名停止処分を受けました。単純に二倍の2年間の指名停止処分に値すると思います。それと気になるのが、監査委員の監査体制です。工事が適切に進んでいるか、お金がが適切に使われているかチェックするのが監査事務局の仕事です。監査委員も同様に責任があるということです。

東京医大、女性差別不正入試について二審で賠償額増額命令

5月31日の報道で、30日高裁の控訴審判決で賠償額を増額する判決がありました。「2006年から18年の医学部入試で女性や一部男性が不利となる特定調整を行った。」と認定しました。差別を禁じた憲法や教育基本法に反するとの判決です。アメリカの裁判なら賠償額のゼロが二けたか三桁違います。

アメリカでは罰則的な高額な金額の損害賠償額が出ます。こうした判決のあと、女性の社会参画を訴え、活動している専門学会などがアッピールしたのか疑問です。大学と言うことで身内びいきで、遠慮、腰が引けています。本来、こうした事件では大きな声を上げ、声明を出すべきです。そういう活動をしないことも問題です。

アメリカ、オハイオ州フィンドレー大学の4人の女子学生が来訪、DEIの調査

6月6日、オハイオ州フィンドレー大学の女子学生4名が、指導教官川村先生の引率で弊事務所を来訪しました。DEI(Diversity, Equity, Inclusion)の日米比較の調査です。日本の実情の説明のため、私の友人の女性技術士を招聘し、インタビューに対応してもらいました。一人は技術士会の男女共同参画推進委員会委員長、一人は大手電機メーカーの技師、もう一人は、大手通信機メーカーの技師。4人の学生が事前に用意した質問に対し、それぞれの体験に基づく日本での現状の説明をしました。

さらに、原田からも、建築家、港区長の体験に基づき、事情を解説しました。日本まで調査に来るという熱意に敬意。近い将来、彼女たちの活躍をお祈り申し上げます。私は、大学入学時、建築学科の定員180人で女子学生が2人(1%)と言う体験、ストックホルム工科大学、ヘルシンキ工科大学は60%が女子学生だったこと、90年代、ハーヴァード大学建築大学院の女子学生比率は半数だったことなど説明しました。欧米と日本で社交の違いが女性が働きにくくしているとも説明しました。つまり、日本では社交(政治家も企業も)というと、女性を侍らせてナイトクラブや料亭でと言うパターンが多く、欧米ではランチミーティング、ホームパーティが多く、女性でも安心して参加できるという違いを説明しました。

AIA(アメリカ建築家協会)25年会長、アジア系女性

Architecture Dailyという専門誌によりますと、25年度のAIA(アメリカ建築家協会)の会長予定者はEvelyn Leeというアジア系女性です。昨年度、今年度、次年度はすべて女性です。今週の発表ですが、25年度も女性、しかも、アジア系と言う少数派の方。多様性を実現していると思います。

日本建築学会、日本建築家協会に目を転じると男性ばかり。日本人の暗黙の意識と言ったらよいのか、そういう会長には有名な大学教授とか有名な建築家が就任します。その方が「座りがよい」と言うことでしょう。諸外国の事情に対し、どうも、閉鎖的な印象を受けます。

アメリカの組織のトップを見ると、実務的な実績が評価されています。特に、大学教授とか、有名建築家と言うことでありません。しかも、アメリカの大学教授の場合は、教育研究専念義務がありますから、外でのアルバイト、活動はほとんど困難です。

日本の専門家団体で女性のリーダーが生まれるのはいつになるか?今後、国際間競争で生き残るためには女性の活躍が不可欠です。

オーストラリア73歳の博士課程

先日、ある会議でオーストラリア、メルボルン市を訪問しました。メルボルンに旧知のオーストラリア人建築家J氏がおり、再会をたのしみにメールを送信。返信がありました。驚きのメール。J氏は私と逆で、東京に来るとのことで私のメルボルン訪問時J氏はは東京在。国会図書館で調べ事をするのが目的。私は2日半のメルボルン滞在で東京に戻りました。火曜日の6時羽田着。その日の夕方、赤坂(赤坂のホテルに滞在とのこと)の焼き鳥レストランで夕食を一緒しました。オーストラリアワインを振舞いました。そこで聞いた話。「博士課程に籍を置き、奨学金をもらい、日本建築史で博士論文を書いている。まもなく書き上げるが、最後の資料収集目的で国会図書館に来た。」

おどろき、70歳の高齢者を大学入学させ、奨学金まで支払うオーストラリアの教育制度。日本の大学が高齢者の学生を積極的に受け入れ、しかも奨学金までしはらうか?日本の高齢者なら、老人福祉センターでカラオケでも歌って時を過ごせ、というパターンが多いと思います。それはそれでよいと思います。高齢者が博士論文を書き、それを国会の知的財産として蓄積させるシステムがあることは素晴らしいです。日本でもそうした高齢者の活用方法があるのではと思いました。