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トランプ政権住宅都市開発長官ターナー氏就任多様な経歴

私の専門領域の役所、アメリカ住宅都市開発省(HUD)の長官の人事が連邦議会上院で55対44で承認されました。黒人のスコット・ターナー氏です。経歴は多様で日本の政治家には見られない内容です。前職はテキサス州の州議会下院議員、トランプ氏の支援者です。就任前の連邦議会公聴会で氏は「アパート、一戸建て住宅、コンドミニアム(いわゆるマンション)、工業生産住宅などどんどん造る」と発言しました。52歳。日本の大臣と比較し若手です。その前はプロ、フットボールの選手で、ワシントンのコマンダーズ、サンディエゴのチャージャーズ、デンヴァーのブロンコスで活躍しました。氏は奨学金を得てイリノイ大学(名門大学の一つ)で学び、大学スポーツ選手として活躍しました。フットボールばかりでなく、陸上短距離の選手としても活躍しました。

日本のスポーツと異なるのは、フットボールもやり陸上もやりです。複数のスポーツをやることで効果があると思います。また、人間性の幅も広がります。日本のスポーツ界も参考にすべきです。

アメリカの大学のスポーツ選手は文武両道で、成績が悪いと奨学金をカットされたり、スポーツ活動を禁止され学習に重点を置くように指導されます。これも日本の大学スポーツと異なります。日本の大学スポーツは参考とすべきです。

このような経歴の長官と日本の政治家(二世、三世が多く、また、多様性に欠ける方が多いです)が議論した際、議論がかみ合わない、勝てないと思います。日本の政治家ももっと多様性、知識、体力を増強すべきです。


女子医大理事長不祥事

2025年1月13日東京女子医大理事長岩本絹子女史が背任容疑で逮捕されました。少し前、日大理事長だった田中氏が逮捕されました。欲の皮のつっぱた人物であり、その取り巻きも問題人物たちでした。組織の統治不全でした。世間から見れば、医者、教授、ましてや大学の学長、理事長となれば世間から尊敬、敬意を最大限払われるポストです。岩本氏も田中氏も実態は幼稚園児以下の社会的常識に欠けた人物だったということです。周囲の理事会、教授会も社会の常識が通じない幼稚園児以下の人物だったということです。

欧米の大学では、教授人事は公募が原則、また、自校出身者を採用しません。例えばハーヴァード大学の教授の8割は他大学出身者です。学部長、大学院長、学長も公募です。他から適任者を選びます。一昨年までハーヴァード大学学長はハイチ出身の黒人女性、コロンビア大学学長はエジプト出身の女性です。私が留学したライス大学建築大学院ですが、90年代大学院長に就任したラース・リラップ氏はスウェーデン人、ハーヴァード大学大学院卒、その後カリフォルニア大学バークレー校の教授に就任、ライス大学建築大学院長の公募に応募し選ばれ大学院長に就任しました。氏から聞いた話です。「大学院長のポストに60人の応募があった。」とのことです。ラースの前はイギリス人のアラン・バルフォー氏、その前はイギリスの著名建築家ジェイムス・スターリング氏が大学院長でした。独裁者の存在を認めない、という大学、組織の意思表示でもあります。1954年コロンビア大学創立200年祭でグレイソン・カーク学長が今後の高等教育、コロンビア大学のヴィジョンについて講演しました。そのポイントは、①学歴のエスカレーション、②生涯学習、③コミュニティ教育です。今日の高等教育の状況は、グレイソン・カーク氏が語った通りになっています。従前、大卒(学士)で十分だったのが、産業の高度化などで修士号が必要となる、従前、修士で十分だったのが博士号が必要となる、それから、学習は生涯に亘り必要となる、さらに、地域での学習活動がひつようとなる、との内容です。

日本でも大学の学長、理事長に就任する方は、自分のヴィジョンを明確に語る必要があります。日本の大学では年功序列か利権、名誉を求め学長、理事長になる方がいるのは残念です。