月別アーカイブ: 2025年5月

米研究者、日本の大学には来ない

 トランプ大統領が外国人留学生(特に中国)に留学ヴィザを取り消すと命令を出し、また、科学技術の予算を削減しました。新聞報道によりますと日本の大学(大阪大学、東京科学大学、京都大学、東北大学など)がアメリカ人研究者を受け入れるとのことです。

 私はアメリカの大学留学経験者(50年前のことですが)として懐疑的です。彼らは日本の大学には来ないでしょう。日米の大学の運営実態の違いです。アメリカの大学は、開放的、自由な議論が基本にあります。元沖縄県知事が読売新聞に「日本は古い大学制度のせいで才能を浪費してきた。」と寄稿。ノンフィクション作家保坂正康氏は同様、読売新聞に「「医学生の教育、医学の研究、患者の臨床が一人の教授にゆだねられ、人事権も握っていて、その下の助教授、講師、助手、医局員は教授の言いなり」「そのヒエラルキーの頂点に立つのが東京大学医学部、私立や地方の医大のポストを抱え、人材を送り込んでいる。まるで植民地」と寄稿。

 アメリカでは教授は大学に月曜日から金曜日まで、9時から5時まで滞在し、教育、研究に専念しています。日本の大学教授はアルバイト(もしかしてそれが本業)が多く大学にいない時間が多いです。アメリカでは学期毎に、学生が教授を評価します。評価結果に基づき、大学理事会が教授の能力評価をして、評価の低い教授は解雇されます。日本では大学教授に対する評価制度がありません。

 また、日本の大学は、「権威」を振り回しています。明治時代の価値観です。アメリカの大学教授はマラソンの伴走者、あるいは、家庭教師のような立場です。

 そうした日米の根本的な違いから、アメリカで自由闊達に育った研究者、学生からすると日本の大学の環境はなじめないです。また、最も重要な「報酬」の違いもあります。日本の大学では、助手などは奴隷と言っても良いかもしれません。私の体験ではアメリカの大学では学生アルバイト、助手などに対しても能力なりの報酬が支払われます。こうした文化、制度を根本的に改革しないと、彼らは日本に来たとしても直ちに失望し、帰国します。

東京海上や損保ジャパンの顧客無視の態度

2年前、新聞のインタビューで損保ジャパン社長が「顧客第一」と語っていました。2011年私は小笠原丸の事故で被害を受け、小笠原海運が加入している損保ジャパンに被害届を出しました。大変不親切な対応でした。そうした体験「顧客第一は嘘ですと」を損保ジャパンの社長にお手紙を送りました。担当職員からお電話をいただき、社員教育に気を付けますとのことでした。そうこうしている内に、ビッグモータースの事件で、損保ジャパンのでたらめさが報道され、社長は辞任しました。

昨年、東京海上の社長が、新聞のインタビューで、「東日本大震災の際、保険金をすぐ支払った」と語っていました。2年前、私の知人から相談がありました。「2019年の台風15号、19号の被害で木造2階の住宅の屋根瓦が少しずれ雨漏りの被害に遭ったが、加入している東京海上火災が保険金を支払ってくれないので、建築の専門家の立場で意見書を書いてほしい」との依頼でした。私は、建築や防災分野の学会の多くの学術論文を調べ、また、日本で最高レベルと言われる友人の瓦職人にもヒアリングし、自分としては満足できる意見書を弁護士を通じて裁判所に提出しました。瓦職人に聴くと、「15号と19号の台風による瓦被害があまりにも多いので、保険会社の基本姿勢は一切支払わない」とのことです。万が一のための保険なのに、何のための保険かと憤りを感じます。社長のインタビュー記事で語った内容と異なります。東京海上の鑑定書を読みました。一級建築士による鑑定書ですが、その内容たるや、幼稚で、稚拙で、でたらめと言っても良いような内容でした。依頼人によると、その一級建築士は、現場に到着するなり、挨拶はしない、名刺を渡さない、といった態度で、「老朽化したから瓦が外れ、雨漏りがしたので保険金支払いの対象になりません」と調査の前から発言したとのことでした。保険会社の鑑定人がこのレベルかと驚いた次第です。社長の発言に偽りありです。新聞のインタビュー記事はインタビューというより広告記事と言っても良いと思いました。

空港ビルマッサージチェア事業、元自民党幹事長古賀氏長男の不正取引、私の周囲でも。

羽田空港ターミナルビルで(他の空港ビルでも)、元自民党幹事長古賀氏の長男が間に入り(いわゆる口利き)、業務実態が無いにもかかわらず相当程度の手数料を取っていたとの報道です。空港ビル経営陣のだらしなさが原因の一つです。以前、税務当局から業務実態のない支払いで、寄付のような内容と指摘されたとのことです。私も経験しました。40年ほど前、知人からある業務を紹介されました。当初は知人が契約の窓口でしたのでその知人の下請けという形で業務に参加しました。その後、私の事務所が直接業務をすることになり、知人は外れました。すると、知人は契約額の10%を支払えと命じてきました。しばらく従いましたが、業務実態がないのに10%を支払うことに疑問を抱き、氏に指摘しましたら、氏はお怒りになりました。欲の突っ張った人物がそこそこいます。議員でも口利き商売をする方がそこそこいました。不適切な契約はきっぱり断るべきです。

DEIに逆行、トランプ大統領

 25年5月9日ニューヨークタイムズ記事によりますと、近年のDEI(Diversity, Equity, Inclusion)の潮流に反するように、連邦政府で最高位にいた黒人女性を解任しました。連邦議会図書館(日本の国会図書館に相当)の最高ポストの司書で博士号を持つヘイデン女史です。彼女はDEIを積極的に推進する立場でした。

 アメリカでは図書館司書は高度な専門職で修士号以上の専門資格です。連邦議会図書館は議員の立法の支援をする重要な役割を持っています。アメリカでは連邦も州政府も市役所も、法律案は議員が作ります。議員が法律案を作る際、様々な情報、資料を提供し、法案作成に協力するのが議会図書館司書の重要な役割です。日本では議員は議会でイチャモンを付けることがもっぱらの仕事で、法律案を作れる能力のある議員は少数です。欧米では成績優秀者は社会の指導者である政治家を目指します。日本では成績優秀者は医学部を目指します。文化が異なります。連邦議会図書館はアメリカで重要な役所であり、その幹部は重要な役割を果たします。連邦議会図書館の最高幹部は、連邦政府の役人の中でも格が高いポストです。

 DEIの流れに掉さす人事政策はいかがかなものかと思います。

 トランプ大統領への批判は多いですが、一方、1969年来アメリカでの留学生活を送った立場から理解できる部分もあります。1969年オハイオ州の大学に早稲田大学の交換留学生として留学しました。いわゆるラストベルト(さび付いた地域)を体験しました。オハイオ州周辺のラストベルトの現状を見て、私は1974年フルブライト奨学金を得てサンベルト(暖かな経済発展をしている)の代表的都市のヒューストン市にあるライス大学建築大学院に留学しました。予想は的中。オハイオ州最大の都市クリーブランドは人口減少、一例ですが、ヤングスタウン市も衰退しました。

 1975年移民、移住急増の原因で、ニューヨーク市は破産しました。(正確には破産寸前)1990年、ニューヨーク市の殺人被害者は2045人。毎日6人近く殺されるという荒れた状態でした。2013年自動車産業の拠点であるデトロイト市が破産しました。日本車、韓国車などの輸出攻勢が大きな原因です。1998年デトロイト市を訪問しました。中心市街地に人がいません。困った状態と感じました。

 製造拠点の国際的役割分担は理論上適切で、お互いに仲良くしウィンウィンの関係なら良いです。しかし、中国は経済大国になり、その資金で軍事的圧力を圧力をかけてくるようになると問題です。トランプ大統領からすると放置できなという判断になりました。第一期トランプ政権の時、トランプ大統領はヒューストンの中国総領事館を「産業スパイの巣くつ」と断定し、閉鎖させました。ヒューストン周辺にはNASA、テキサス医療センター(世界最大)、情報産業、石油産業などの研究、製造拠点があります。世界最先端の研究をしているライス大学やテキサス大学などがあります。

 トランプ大統領は一気呵成に現状を変革しようとしていると思います。

週刊文春連載、木島佳苗の生痕を読んで、詐欺事件のあるある

 週刊文春で1年近く連載で死刑囚・木島佳苗の生痕、石井妙子連載の記事をほぼ毎週読みました。本人は自分が虚構のある状況になったつもりで周囲に嘘をつき、矛盾が生じると犯罪を犯す、その究極が殺人事件です。

 詐欺事件というと、数年前、積水ハウス社長が地面師に騙された、相当昔ですが、全日空の社長がM資金の詐欺グループに騙されました。

 数年前、フジテレビでニュースのコメンテータとして登場したショーン・ケンという人物、ハーヴァード大ビジネススクール卒の触れ込みでしたが、経歴詐称でした。私はアメリカ政府の留学制度であるフルブライト留学生であり、多くの同窓生にハーヴァード大学に留学した仲間がいます。また、私のライス大学時代の指導教官が後年ハーヴァード大学大学院長に就任しました。現大学院長(女性)も知人です。70年代、個人的交流のあったペリー教授(ライシャワー氏の弟子)は当時ハーヴァード大学の日本研究部長でした。ハーヴァードに留学した方たちから、ショーン・ケンという学生がいたかなーと疑義の声が自然と出てきます。

 私の周囲で、大阪の都島工業高校卒で二浪して東京医科歯科大学に入学したという人物Mがいました。偽造の合格通知を周囲に見せ信用させていました。工業高校から東京医科歯科大学に入学したなら当時高校でも進学分野のメディアでも話題になったと思いますが。その後、学生の身分でありながら医学学会に論文を書いたと、他人の論文に自分の名前を張り付けコピーした論文を他人に見せ信用させていました。手の込んだ詐欺師です。また、本人は医学生になりきっていたのでしょう。良心の呵責もなくそういう精神構造の人物だったのでしょう。いずれ、本人の身分がばれました。ただ、殺人事件にまで発展しなかったのは良かったです。こういう人物が周囲にそこそこいます。港区長時代、多くの議員はまじめに仕事に取り組んでいましたが、一部に詐欺師まがいの議員がいました。

川崎ストーカー事件、やる気のない公務員の事例

多くの公務員はまじめに仕事をしていると思います。残念ながら一部に、仕事に対しての意識の低い人物がいるのも事実です。私の体験です。

事例1 40年も前の話です。麻布警察署にある事件の被害届を出しました。刑事課のカウンターで受付は高齢の私服警察官でした。その方の名前も確認しました。数か月放置されました。おそらく3か月か4か月かそれ以上だったか事情聴取の連絡がありませんでした。業を煮やし麻布警察署長(たしか橋本さんという名前でした)に直訴しました。すると刑事課長が自宅に来られ、謝罪とすぐ対応しますとのことでした。

事例2 港区長時代の事例です。当時のブッシュ大統領夫妻が来日、ご婦人は小学校を視察したいと噂が流れてきました。私は内心港区内の小学校に来ていただけるとありがたい、子供たちにとり大統領夫人と握手したり会話したら一生の思い出となるだろうと思いました。残念なことにご婦人はお隣の中央区の小学校へ視察となりました。すると上田助役は「大統領夫人が港区に来なくてよかったですね」と私に語りました。つまり準備などで余計な仕事をしたくない、子供の将来より自分が余計な仕事をしたくない、ということでした。この程度の意識の人物が港区の助役だったのかと、私は腹の中で怒りました。

事例3 ある政策立案のプロセスを知りたいと思い板橋区に電話しました。電話に出た若い職員は「ホームページに書いてあることを読んでください。来ても無駄です」と返答。本来であれば「板橋区の政策に関心をお持ち下さりありがとうございます。何なりと説明させていただきます。」が正解です。

 同様、練馬区の都市計画課長に電話し、「街づくり条例の政策立案のプロセスについて教えてほしい」と頼んだところ、「専門書にかかれていること以外は説明できません。」でした。本来「練馬区の政策に関心を持っていただきありがとうございます。政策形成プロセスの苦労話など説明させていただきます。」が正解です。

事例4 港区長時代、ある職員から「以前、区民の声を聴く会を開催し、議事録メモは捨てました。聴くふりをしていただけです。」とのことで驚きました。私は「区長への手紙」に対しては、M広報課長に自らの考えを伝え、全てに回答を指示しました。

 当事者意識に欠けた職員がいるのは事実です。こうした職員を指導できない上司がいるのは残念です。特に警察は人権、人命に関わる仕事ですから丁寧な対応が必要です。