日別アーカイブ: 2025年6月2日

世界経済秩序の危機、サービス貿易は問題だらけ

 トランプ大統領による関税政策で多くの国が翻弄されています。日米間での交渉が展開しています。自動車、鉄鋼などの分野が大きく問題視されています。サービス貿易については議題に上がっていないようです。金額の占める割合は大きくありませんが、重要な分野です。

 一例ですが、建築設計、コンサルタント分野です。日本では建築設計、コンサルタント業務を希望する場合、事前に希望する官庁に「業者指名参加登録」をしなければなりません。また、業務内容により、会社の売上高、一級建築士や技術士の人数などが選考の必須条件となります。1998年ワールドカップが開催されたパリのサン・ドゥニーサッカースタジアムはフランスの若手建築家マッカレーがコンペで入賞、デザインをしました。氏に工事現場を案内してもらいました。事務所規模を聴くと10人程度とのこと。30年前、ニューヨーク市役所が主催するハドソン川のピア40(桟橋)の再開発の設計競技に参加しました。日本人でもニューヨーク市の事業に応募できます。欧米は建築設計などのサービス貿易分野はオープンですが、日本では外国の建築事務所、コンサルタントの参入の制約が高すぎます。というよりほとんど不可能です。 

 別分野の事例で医療です。90年代、ロシア大統領エリツィン氏の心臓手術をしたのはテキサス州ヒューストン市のテキサス・メディカルセンターにあるベイラーカレッジ(医学大学)の世界的に評価の高い心臓外科医ディベイキ博士です。モスクワに招聘され駆け付けエリツィンの心臓手術をしました。専門分野の指導的医師の場合、当該国の医師免許が無くても医療行為ができる法整備が必要です。

 こうした分野は製造業などと異なり金額の占める割合が少ないですが、専門家が自由に世界中で活動できる(サービス貿易)基盤を整備する必要があります。

エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門日本勢大活躍、良いものは良い

 6月2日新聞記事によりますと、ブリュッセルで開催されたエリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門で日本勢が大活躍でした。審査員がどなたか分かりませんが、「良いものは良い」という審査の姿勢を感じます。古くは、パリでの小澤征爾が指揮者コンクールで優勝、近年では視覚障碍者の辻井伸行さんがアメリカ、テキサス州で開催されたバンクライバーンコンクールで優勝しました。そこには日本人だから・・・といった人種差別を感じません。また、「良いものは良い」、そうした審査姿勢があるからこそ、コンクールの権威が高まります。

 一方、日本でのコンクールでは不正を耳にしました。台東区が主催する奏楽堂コンクール、審査委員長を務めた芸大名誉教授H氏が審査を仕切っていたと聞きました。また、台東区の幹部からも「審査に不自然さを感じた」と言っていました。H氏は2013年週刊新潮で教え子の弟子と不適切な関係があったと報道されました。また、会長を務めていた二期会でパワハラなどの問題があり会長を辞任しました。このレベルの人物が日本の音楽芸術の指導者では、日本の文化芸術は育ちません。欧米流の仕組みを学ぶべきです。