羽田空港増便で生じる問題

羽田空港の国際便増便で新たな離着陸のコース新設により港区や周辺の地域の上空を航空機が通過することになります。関係自治体の議会や関係住民から懸念の声が出て、羽田空港が主催する説明会でも不安の声が出ています。

私自身、国際会議への出席などで海外を訪問しますので、空港の重要性を理解しています。また、都市間、国家間の競争が激しい時代ですから、羽田や成田の機能強化をしないと、中国や韓国の空港に負け、日本の空港は世界から見れば一ローカル空港に成り下がる恐れがあります。

住民の心配、不安は当然です。私は1973年アメリカ、ミシガン州、デトロイト市郊外のウェイン郡(県に相当)空港滑走路拡張計画の際、連邦運輸省航空局が作成した環境アセス報告書を持っております。当時、1976年頃当時の建設省幹部からアメリカの環境アセスを勉強したいのでと内容の翻訳を頼まれました。騒音レベルを調査し、住宅、学校、病院など土地利用を調査し、建物利用ごとに、騒音・振動の問題がないか詳細に調査し、その上で、環境アセス上問題なし、と判断した報告書です。

今回の羽田空港側の見解によると、風向きによって午前7時から11時の間と15時から19時の間離着陸1時間あたり90回の上空飛行があり、その騒音は麻布地域で68~74dBであり、60dBは普通の会話の騒音レベル、70dBは騒々しいオフィスの騒音レベルだから問題ない、との主張のようです。

問題指摘をします。騒音レベルは建物用途で受忍度が異なるという配慮に欠けています。一軒家、学校、病院などでは静謐な環境が要求されます。

次の問題は音の問題はバックグラウンドノイズ(暗騒音)との関係です。静かな環境の下でわずか数デシベルでも超える音不規則にが生じると大変苦痛となります。逆に暗騒音が60、あるいは70dBであっても同様で、常時の音環境の暗騒音を超える音が何回生じるかが騒音の苦痛に影響します。単に、〇dBだから問題ないという説明は間違っています。40年くらい前にそうした内容の小論を書きました。

次の問題は土地所有者の建築制限(高さ制限)です。港区は建築関係法に基づいて高層建築が建てられます。しかし、航空機が上空を通過するとなると、建築制限が生じ、従来高い建物が建てられたのに建てられなくなります。

次の問題、これは関係住民から聞いた話です。本問題について東京都庁が関係区の副区長を集め、意見聴取をした際、港区の副区長が港区は問題ありません、と発言したとのことです。事実とすればとんでもないことです。多くの区民が不安、心配しています。

上記の問題に対し、騒音対策をどうするか、建物の高さ制限に対しどのような補償があるのか、こうした対策を適切にする必要があります。

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