がん告知、終末期医療・欧米文化との違い

終末期を支えるというテーマで読売新聞、時代の証言者で医師、山崎章郎さんが自らの体験を述べています。少し前までがんを告知しないというのが日本の医療界の常識でした。欧米の文化を体験した立場からの感想です。

まず、ホスピスと宗教の役割です。アメリカで知人がホスピスの牧師をしておりました。具体の場面を見たわけでありませんが、おそらく、余命わずかな患者にやさしく語りかけ「あなたは素晴らしい人生を生きました。まもなく神様のみもとに行きます。しばらく安らかに過ごしましょう。」とでも声をかけるのだろうと思います。日本の宗教を批判する意図はありませんが、日本の宗教でこうした活動をあまり耳にしません。 

2番目に率直に語る文化です。欧米での体験。日本の生活文化からするとギョッとする会話に接しました。2度目の留学でライス大学建築大学院での友人との会話。設計演習でパートナーになった友人。大変優秀な方でした。彼曰く「実の両親は自分を育てる力がなく教会に預け(捨て子)、教会の縁で養父母に拾われ育てられた。」と気楽に率直に語っていました。日本ではありえないことと思います。率直に何でも語る文化と思いました。率直に語るという点ではクリントン大統領のインターン学生との不倫騒動です。日本なら適当に隠し、あるいは、沈黙するかでしょう。クリントン大統領は記者会見でポルノ小説を語るがごとく率直にその場面を語りました。多くの国民は大統領が率直に語ったのだから許そうと納得しました。どの程度の納得かわかりませんが、大統領の職務を続けました。

 3番目は行政の情報公開の態度の差です。積極的に公表する文化と隠す文化の違いです。アメリカでは事件があると直ちに市長、警察部長(自治体警察ですので市長が警察の最高司令官です。市長は倫理観が高く、危機管理能力がないと務まりません)が記者会見し、何でも発表し、記者の質問に答えます。日本では「捜査関係者によると」の報道で大事件があっても不祥事があっても警察本部長、署長は説明の記者会見はほとんどしません。沈黙を守るのが日本の行政です。アメリカでは機微に触れる情報もどんどん出ます。私は設計コンサルタントをしており、官発注の仕事に応募しますが、入札結果を明らかにしない役所がいまだにあります。法律違反と思いますが。担当者に照会しても暖簾に腕押し。

4番目に自らのこと。10年前から身内に自分の終末医療、葬儀の考え方を伝えています。日本だと縁起でもないと忌み嫌われるかもしれませんが。自分で食べられなくなったら終わり、自分の意思を語れなくなったら終わり、チューブでつないで命を維持するのはロボットに電気を供給するのと同じ。また、医療費の無駄遣いと伝えてあります。

新聞の特集記事で改めて終末医療、情報公開を考えさせられました。

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