押印か?署名か?

新型コロナウィルス蔓延でテレワーク、在宅勤務が拡大し、日本の押印の習慣から「電子印」が期待されています。日本では何でも「ハンコ」。欧米は「署名」です。

友人から聞いた話。某役所の幹部だった方。出勤表に毎日押印しなければならないが、面倒だから部下にハンコを渡し押してもらっていたそうです。別の友人の話。建設省から地方の県の建築課長に出向した際、部下から「課長、席にいなくても結構ですが、ハンコだけは机に置いておいてください。」と言われたそうです。本人の書類確認でなく、形式的に押印がしてあればよいということです。欧米はすべて署名です。つまり本人が書類を確認し、本人が署名します。署名は本人以外できませんから正確です。

私の港区長時代の体験。2度海外出張しました。中国とフランスです。その際、職務代理を立て、押印します。と言っても住民票、戸籍謄本、印鑑証明など実際の押印でなく区長印は印刷されています。区長自ら押印していません。当時、既に、ファックス、メールなど情報技術が発達し、区長が海外にいても、決裁の書類が送付されれば、内容を確認し、了解し、押印してよい、と伝えればよいだけで、区長職務代理を立てる必要はないと感じていました。住民票などは区長印が印刷されていますから、建前上、私が押印した書類をメールがファックスで送付すればよいだけです。一方、地方出張の場合は特に職務代理を立てずに業務をしていました。海外だから職務代理を立てるという考えはおかしいと思いました。日本全体の制度上の事柄ですので、黙って従いました。

また、決裁書類も、担当幹部が区長室で区長に説明し、了解得られたら秘書が押印する仕組みでした。今思い返すと、自らきちんと押印すればよかったと思います。何でも押印でなく、「電子証明書」「署名」での書類作成が必要な時代になりました。

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