ニューヨーク市の都市デザインを牽引した都市計画家エリオット氏の訃報

ニューヨークタイムズ12月27日の記事によると、1960年代、70年代のニューヨーク市のアーバンデザインを牽引した革新的都市計画家ドナルド・エリオット氏が89歳で亡くなったとのことです。

私自身69年から70年、74年から76年と2度アメリカに留学し、ニューヨーク市のアーバンデザインが注目されていることを知りました。

エリオット氏のチームの若手アーバンデザイナーのジョナサン・バーネット執筆の「都市政策としてのアーバンデザイン」は当時必読書でした。今では当たり前の「容積移転」の革新的政策を打ち立てました。エリオットは34歳でニューヨーク市の都市計画委員長に就任、若手建築家をチームに招き、それ以前のロバート・モーゼスの強引な再開発のやり方を根本的に変えました。五番街の劇場地区、イーストリバーに面したサウス・ストリート・シーポートの歴史地区の保存を兼ねた再開発を具体化しました。

今や、世界中が注目するアーバンデザインです。また、今では当たり前の市民参加による街づくりで、市内を62のコミュニティに分け、近隣住区単位で都市計画を策定する方法を導入しました。

エリオット氏が策定した都市計画の制度は四半世紀遅れで当時の建設省が採用しました。日本の都市計画制度にも大きな影響を与えました。

原田のコメント:34歳でニューヨーク市の都市計画委員長に就任した人事に驚きとあっぱれ。フィンランドの首相は34歳の女性。若く、エネルギー溢れた、政策立案能力ある方がリーダーに就任すべきです。長老支配、年功序列社会を変えるべきです。また、新しい発想のアーバンデザイン、時代、社会の展開を誘導する政策、社会の動きの後追いでない、誘導政策を策定し、推進すべきです。エリオット氏のチームには、若手建築家が参加しました。経験豊富な長老も大切ですが、若い方のエネルギーを活用すべきです。私はアメリカ、スウェーデンで学びましたが、こうした体験を紹介すると必ず「外国かぶれ」と嫌味を言う方が少なからずします。現在の都市計画制度の一部はニューヨーク市の物まね、多くの制度で海外を参考にしたものがあります。「外国かぶれ」と言う前に少しでも視野を広げ様々なことを学ぶべきです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です