7月30日(土)私が一部ですが企画した勉強会。ハーヴァード大学公衆衛生大学院に留学したOさん(医師、医学博士)に講義していただきました。Oさんは既に日本で医師と医学博士を取得されている方ですが、公衆衛生に関心を持ちハーヴァードに留学し、公衆衛生(Public Health)の修士号を取得しました。立派な心掛けです。たまたま留学中にコロナ禍のパンデミックとなり公衆衛生の重要性が認識されました。
ハーヴァード大学公衆衛生大学院での女子学生比率は6割、学生は大学生時代様々な分野で学んだ方々です。ハーヴァード大学公衆衛生大学院のみならず、欧米の大学教育の分野の広さ、多様性があります。日本の大学と大いに違います。
Oさんは、ハーヴァード大学公衆衛生大学院に籍を置きながら、隣のMITで医療工学の授業を正式の単位として取得できました。また、ハーヴァード大学のビジネススクールの授業も取り、医療ビジネス、起業の方法(医療ヴェンチャー)などの授業も正式の単位として取得しました。
大学の中で異なる学部同士のネットワーク、他大学とのネットワーク、他分野とのネットワーク、留学生同士のネットワークなど日本では考えられないネットワークができたと喜んでいました。
日本の大学は「タコつぼ型」です。他大学とのコラボはありません。まして、同じ大学の他の学部の授業を正式な卒業単位として認めるこてゃほとんどないと思います。医学部であれ、工学部、理学部であれヴェンチャーを教える大学はないでしょう。日本の教授たちは明治時代の意識で、ヴェンチャーなどの発想はありません。逆に、ヴェンチャーなど邪悪な物と思っているかもしれません。(一部例外の教授もいますが)この程度の意識の大学、また、ヴェンチャーに資金提供しない銀行で、日本では新しい産業は起こりにくいと思います。
私が50年前ライス大学建築大学院に留学した時、既に建築と公衆衛生の2つの修士号を取得できるダブルディグリー・コースがありました。医療分野はライス大学の隣にあるテキサスメディカル・センター(世界最大の医療センター)にある複数の医科大学などの授業を取ります。病院建築の専門の建築家の養成です。また、ビジネススクールとの連携で、建築の修士号とMBAの二つの修士号を同時に取得できるコースもありました。建築は都市開発、不動産開発と関連しますので経営学の知識が必要で、こうした分野に進みたい方には最適なコースです。
さらに、知人の留学の話。パリ大学とロンドン大学のコラボで、1年づつ各大学院で学ぶと同時に二つの大学院の修士号を取得できるコースがあるとのこと。異なる国の大学間のコラボです。こうした事例を見ると(私は既に50年前から知っていましたが)日本の大学制度がいかに世界から遅れていることが分かります。文部科学省にも責任があります。箸の上げ下げまで指導します。個々の大学教授や学生は優秀です。しかし、大学のシステム(例えば女性教員が少ない、女子学生が少ない、異分野交流がないなど)として世界から評価されません。