岸田政権、政府が少子化に歯止めをかけようと、積極的に新たな政策を掲げつつあります。良い方針と思いますが、一方で、問題も多いです。具体的には、児童手当、出産費用の公的支援、学校給食の無償化などが挙げられています。金のばらまきと思います。お金がかからない有効な政策があります。その点は政府、政治家も発言をあまり聞きません。
一つは労働制度。残業をせず、定時退社です。そうすれば夫婦で家事、育児に参加できます。
二つ目は雇用の流動性です。出産育児で退職しても、いつでも、再度、公務員試験を受けたり、大手企業に応募できる雇用制度にすれば、出産育児というライフイベントに安心して参加できます。20年以上前と記憶していますが、週刊新潮の記事に、ニューヨーク市に移住した日本人女性が、アメリカ国籍を取り、40歳頃ニューヨーク市警の警察官になったと紹介されました。
私自身の体験です。50年前アメリカ、スウェーデンに留学した際、インターンとして大学の研究所、設計事務所で働きましたが、5時になると全員一斉に退社。誰一人残業しませんでした。後輩の体験談です。私の1年後にウースター大学に留学した後輩は、三井物産に勤務後、80年代後半英国石油に転職しました。ロンドンに到着後すぐに英国石油に出勤したら、上司から「一週間出社しなくてよい、家で奥さんが引越しの荷物の整理や子供の学校入学手続きで大変だろう、家庭を大切にしろ」と叱られたそうです。英国石油(世界的な大企業)では、40年前のことですが、残業がなく定時退社で、夕方帰宅後、家事や地域活動に参加したとのことです。女性も安心して働けます。
公務員の場合、議会前、議会中は議会対策で長時間残業。すると、特に女性は幹部になりたいという意欲を失う方が多くいると思います。本来政策の議論は議員同士ですべきで、公務員は政策の執行者ですから政策立案に関係しません。しかし、日本の政治家は政策、立法する能力はほとんどなく、公務員側の政策提案に対し、いちゃもんを付けるだけ、公務員は議会前、議員の質問取材と答弁書作成に忙殺されます。先進国で議会で行政と議員が討論するのは日本だけです。本来、議会の中で議員同士が議論すればよいことです。
港区長時代、上田助役に公務員試験で年齢制限があるのは、欧米的価値観(何歳になっても転職自由)から憲法違反の恐れありと話をしたら、「公務員の年金制度がありますから公務員試験の年齢制限は必要です。」との発言。本質を理解していない発言で、港区の助役はこのレベルかと思った次第です。何歳になっても公務員試験を受験できる、大企業にも応募できる雇用制度に変えるべきです。金はかかりません。公務員組織、大企業組織で多様性が生まれます。多くの政治家、識者は「多様性」を声高に発言していますが、言行不一致です。