トランプ大統領が外国人留学生(特に中国)に留学ヴィザを取り消すと命令を出し、また、科学技術の予算を削減しました。新聞報道によりますと日本の大学(大阪大学、東京科学大学、京都大学、東北大学など)がアメリカ人研究者を受け入れるとのことです。
私はアメリカの大学留学経験者(50年前のことですが)として懐疑的です。彼らは日本の大学には来ないでしょう。日米の大学の運営実態の違いです。アメリカの大学は、開放的、自由な議論が基本にあります。元沖縄県知事が読売新聞に「日本は古い大学制度のせいで才能を浪費してきた。」と寄稿。ノンフィクション作家保坂正康氏は同様、読売新聞に「「医学生の教育、医学の研究、患者の臨床が一人の教授にゆだねられ、人事権も握っていて、その下の助教授、講師、助手、医局員は教授の言いなり」「そのヒエラルキーの頂点に立つのが東京大学医学部、私立や地方の医大のポストを抱え、人材を送り込んでいる。まるで植民地」と寄稿。
アメリカでは教授は大学に月曜日から金曜日まで、9時から5時まで滞在し、教育、研究に専念しています。日本の大学教授はアルバイト(もしかしてそれが本業)が多く大学にいない時間が多いです。アメリカでは学期毎に、学生が教授を評価します。評価結果に基づき、大学理事会が教授の能力評価をして、評価の低い教授は解雇されます。日本では大学教授に対する評価制度がありません。
また、日本の大学は、「権威」を振り回しています。明治時代の価値観です。アメリカの大学教授はマラソンの伴走者、あるいは、家庭教師のような立場です。
そうした日米の根本的な違いから、アメリカで自由闊達に育った研究者、学生からすると日本の大学の環境はなじめないです。また、最も重要な「報酬」の違いもあります。日本の大学では、助手などは奴隷と言っても良いかもしれません。私の体験ではアメリカの大学では学生アルバイト、助手などに対しても能力なりの報酬が支払われます。こうした文化、制度を根本的に改革しないと、彼らは日本に来たとしても直ちに失望し、帰国します。