第17回バルカン地域の建築学会がルーマニア、ブラショヴ市にあるトランシルヴェニア大学で9月22日、23日に開催されました。私は論文の審査員を仰せつかっております。自ら2本の論文を提出、発表しました。今回24本の研究論文の発表がありました。昨年、16回大会がギリシャのテッサロキ市のアリストテレス大学で開催された際も多くの女性研究者が発表し、驚きと共に女性研究者に対し敬意の念を抱きました。今回も女性研究者の発表が多く、改めて驚きました。日本の建築学会や土木学会では、発表者のほとんどが男性研究者です。
印象に残った発表を紹介しますと、一つはパブリックスペースの研究で東京の渋谷区内にあるユニークな公衆トイレの研究、二つ目は、震災後の避難所で政府の避難所設置基準と実際の避難所の状況分析で理論と実際の乖離の研究、三つめは、有名は小説に記載された建築・都市空間の分析についてです。
私は、宮大工と共同論文でデジタル技術を活用した日本の歴史伝統木造建築(寺社)の保存方法について報告、一般論と事例研究(大本山永平寺と福井県越前市にあるユニークな屋根を持つ紙を祭る大瀧神社の紹介)を報告しました。世界最先端の研究です。
訪問したブラショヴ市は首都ブカレストから北へ車か列車で2時間半の位置に立地し、人口30万人の古都です。近くにはドラキュラ伯爵伝説で有名はブラン城があります。街は野球場程度の広場と教会、旧市庁舎があり、広場の周囲は商店が軒を連ねています。周辺含め無電柱で、建物には花が飾られ、商品は豊富です。大勢の市民が行きかう活力溢れる様子でした。ルーマニアはEUの中では統計的に経済力は上位でありませんが、市民生活は豊かな印象を抱きました。
トランシルヴェニア大学では私が建築家であることと、2人の宮大工を同道したので、特別の計らいで木工・家具学部を学部長の案内で見学させていただきました。広い教室と実習室で、木材の特徴を学び、家具のデザインを研究し、日本の大学には無い授業内容です。
ブラショヴ市近隣のリゾート地(スキーで有名)に案内された際、そこにはルーマニアのマラムレシュ地方の木造教会のコピーが建設中で、マラムレシュから来た大工の棟梁と会話しました。言葉は通じませんが、手振り身振りで会話しました。
ぜひルーマニアを旅してみてください。