豊島区文化芸術賞を。文化芸術でホットな地域。

昨年、豊島区役所で研修講師を依頼されました。文化芸術都市づくりのための戦略について語りました。豊島区は池袋駅前に民間資本を活用し8つの劇場を建設します。私は「豊島区文化芸術賞」の提案をしました。その賞をきっかけに世界に羽ばたく人材を育てる提案です。その際の基本的考えです。審査方法についてと文化芸術の人材養成の資金的支援についてです。また、劇場都市を支援する都市計画制度です。

オザワセイジ氏は最近の読売新聞のインタビューで「貧乏日本人若手指揮者がパリのコンクールに出場、カラヤン、バーンシュタインが自分の才能を認めてくれた。日本の体制側は親分子分のような体制で問題多い」と日本の芸術文化の体制に批判の発言がありました。欧米の審査ではオザワセイジ、視覚障害のピアニスト辻井さんがテキサスのバンクライバーンコンクールで優勝、ヨーロッパのバレーコンクールで日本人の若手バレリーナが優勝、入賞、斬られ役の脇役俳優がカナダの映画祭で入賞、大きな話題となり、こういう人材がいるのだという再認識をさせられます。ノーベル賞も同様です。日本の審査員は何をしていたのか、何もしない、何もできなかったということです。海外で入賞し、その後日本で評価するのは順番が逆です。芸術文化学術の審査の哲学、基本姿勢の違いを感じます。日本では師匠のお手伝いをし、まねをすることが評価される基本視点です。欧米のコンクールは「いいものはいい」出自、国籍、出身大学、障害に無関係に良いものは良いと評価します。日本は審査員自身、変な自制心があるのか、オーソドックスな方を評価する傾向にあります。後で審査委員自身が「なぜあの人を選んだのか?」と批判されるのが嫌なのでしょう。また、特定の人(たとえば審査員の弟子)を別の理由で評価し、本来の能力を評価する能力がないのでしょう。豊島区文化芸術賞はたとえば東南アジアの若手芸術家を見出し、賞を与え世界に飛び出すきっかけづくりとなるような審査をすべきと提案しました。(日本の体制側の審査員では無理です)

もう一つは資金的支援です。ニューヨークメトロポリタンオペラの歌手の「平均」年収は3000万円、楽団員の「平均」年収は2800万円。スウェーデン留学時代の1971年、スウェーデン政府発行の賃金統計を見て驚きました。20代の俳優、音楽家の月給は一般の給与所得者よりも高額です。文化芸術に対する経済的価値の評価が異なる、また、ユニオン(労働組合)がしっかりしているのでしょう。東京都交響楽団、N饗の平均年収は、おそらく、600万円から700万円と想像します。日本の芸術家はこのような報酬で世界と戦えません。豊島区が芸術家のスポンサーとなる仕掛けを検討されたらどうか、と提案しました。

次に、劇場文化都市を支える都市計画制度の提案です。ニューヨークのブロードウェイはニューヨーク市独自の都市計画で沿道の建築は全て劇場と義務付け、その代わりボーナス容積を与えています。夜間賑いをかもし出し、犯罪減少の抑止効果、来街者の増加による経済活性化につながっています。地区計画制度や広告物条例の活用(現行の広告物条例で歌舞伎町の広告物の混乱が生まれています。一方の意見でこの混乱が素晴らしいと評価する方もいますが)、看板の単体規制でなく全体規制、誘導をご検討されてはとご提案させていただきました。

豊島区は今や芸術文化で東京、日本で、最もホットな場所です。期待しております。

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