先日外国人特派員協会で新年会がありお招きを受けました。昔を思い出しました。1972年アメリカ3大ネットワークの一つのNBC放送東京支局、特派員ジョン・リッチ氏のアシスタントを短期間務めました。支局は港区虎ノ門の旧三和銀行虎ノ門支店から路地を少し入ったところのペンシルビルの5階にありました。私の1969年と1971年と2度の留学経験で友人の紹介で依頼されました。
1972年はニクソン訪中、赤軍派あさま山荘事件、日本人テロリストによるテルアビブ空港乱射事件など重大事件、事故が多発しました。放送局の仕事の一端を垣間見ました。赤軍派のあさま山荘事件に関連し、日本のマスコミはややこしい左翼理論の解説などに重点を置いていました。ある時、ジョン・リッチ氏が生中継でNBCラジオ放送であさま山荘事件の報道、解説をしました。私はたまたま氏のデスクの隣に座っており静かに氏の東京発の報道を聴いていました。私の目の前でオンエア「赤軍派事件のリンチ事件は左翼思想の戦いではなく男女問題である」と黒電話でアメリカに放送している内容を聴き驚きました。後でそれが正解であることがわかりました。ジョン・リッチ氏はニクソン大統領に伴い北京へ訪問。氏から、上海経由で送信される報道内容を東京で一度受信し、それをさらにワシントンに送信するというややっこしい送信業務でした。テレックスという今では使われない送信方法もありました。当時それが最先端の放送技術でした。
当時NHKテレビのニュースは熟年の今福アナウンサーが丁寧に原稿を一言一言読み上げる方式でした。一方アメリカのニュース番組はニュースキャスターが語りかける方法でした。次第に日本のニュースもキャスターによる語りかけ調にに変わりました。NHKのアメリカかぶれと言いましょうか?