去る5月の連休中、上野の東京都美術館で平泉会の展覧会が開催されました。私はお誘いをいただき、建築のスケッチを2点出展しました。1つは日本のお寺、1つはスウェーデンの博物館です。
スケッチの日本の寺は、東村山市内にある正福寺。室町期の建立。都内で唯一木造建築の国宝です。鎌倉の円覚寺と似た様式です。禅宗様は鎌倉時代に禅宗とともに伝えられた様式で、日本建築史の重要な節目の一つです。垂木が放射状に伸びる扇垂木、火頭窓などの特徴があります。私の絵はスケッチというより、正確な建築記録の絵といった内容です。西武線東村山駅から徒歩15分程度。室町時代はお寺周辺は主要な街道沿いだったか、ある程度の集落があったかと想像します。都内の散歩がてら国宝建築の見学をお勧めします。
もう一つ、スウェーデン、ストックホルム市に立地するヴァアサ博物館です。17世紀の建造され処女航海で沈没した軍艦。近年引き上げられ保存され、世界で唯一の現存する17世紀の船です。1980年公開設計競技が実施され(日本の自治体などはコンペやプロポーザルを実施すべきです)モンソン・ダールベックが入賞、設計しました。80年代のスウェーデン建築の傑作のひとつと言われています。3本のマストを屋根に突出し、大きな箱を斜めにし船を覆うというフォルムです。内部の構造は美しいコンクリート打放しです。私の大好きな建築の一つです。1994年と2004年見に行きました。
来年1月に六本木の新国立美術館で、また、来年5月に東京都美術館で展覧会が予定されています。今からスケッチの構想、下書きを始めております。スケッチを描くことは、材料、色彩など建築空間を再認識することに役に立ちます。
平泉会の会長保坂先生はじめ素晴しい芸術仲間に感謝です。