ウッドランド・ニュータウンは、全米第4位の大都市テキサス州ヒューストン市から北へ40kmの郊外に位置する。1970年代に大都市近郊型ニュータウンとして開発され、様々のユニークな特徴を持つ。
私は74年ヒューストン市内にあるライス大学大学院へ留学する機会を得、第一学期に若い指導教授ピーター・ロー氏(現ハーバード大学大学院建築学部長)から熱っぽくウッドランド・ニュータウンの計画の素晴らしさについて講義を受けたことを昨日のように覚えている。
基本哲学は、多用な階層が住むというソシアルミックスと環境共棲である。
計画規模は100k㎡、計画人口15万人、住宅戸数49,000戸、26の近隣住区から構成され、雇用は3万人、ヒューストン大学の分校が立地予定である。自然のままの緑道が縦横に走り、各土地利用のバッファー(緩衝帯)となっている。
1990年ヒューストンで開催されたアメリカ建築家協会(AIA)大会に参加し、その際、うっドランドを訪ね、開発会社の敬買う計画担当副社長ブラウン氏にご案内をいただいた。90年現在で居住人口27,000人、雇用人口7,500人である。
全体の空間構成は概ねグリッド状に道路を配置し、どこの近隣住区も等しい位置付けがなされている。これは、イギリス、ロンドン郊外のミルトンケインズ・ニュータウンと同じ考え方である。但し、実際の道路パターンは既存の樹木を極力伐採しない方針で、かなり曲がりくねっている。結果的に道路景観上良好なものになっている。
近隣住区ごとにコミュニティ施設を分散立地させ、住宅はクルドサック(行き止まり道路方式)のアクセスのやり方である。住宅は森林の中にブレンドされ、文字どおりウッドランドである。
環境計画は、日本でも知られた生態学的手法の環境プランナー、マクハーグ氏による。景観計画も徹底しており、森林がテーマであるので、ガソリンスタンドすらも道路の陰に隠れ樹木でおおわれている。
住宅は様々な収入階層、年齢層が共に生活することを基本哲学とし、住宅規模、デザインが多様で、価格は700万円から1億円まで幅が広い。住宅価格の一例として、敷地が1,300㎡から1,600㎡、延床面積400㎡〜600㎡で2,000万円位であり、土地代を無視しても安い。
経済的に持家を変えない人のために、2,300戸のアパートがある。そのうち600戸は家賃補助付きアパートである。収入、生活様式に合せ、アパートも多様である。特に高齢者向けアパートはセキュリティシステムを完備し、ショッピングセンター、医療施設、コミュニティセンターのそばに立地している。
ゴルフ場、テニスコート等、レクレーション施設も完備されている。
20年前に開発が始まったニュータウンだが、今でも21世紀のモデルタウンである。
写真(ウッドランドの全体模型)-省略
|