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都政新報 2005年(平成17年)2月4日(金曜日)

港区長秘話 ⑦
「笑えぬ」笑えるエピソード
原田 敬美


「ヘー!」ならぬ 「えーっ!?」
 既述の通り、多くの成果を出すことができたのは熱心な職員のおかげです。困難な土地交換の交渉、全国初の介護保険白書、ユニークな戦略事業推進室の設置、港ブランド作戦(一部議員の協議不同意で店晒し中)、小学生の環境学習等、アイデアが次から次へと部長、課長、係長から提案されました。職員組合も、待機児対策のため保育園定員の弾力的運用、給食を活用した高齢者の昼食会などアイデアを出し、実行。組合も頑張ってくれました。職員の健闘についてPRしたい内容はたくさんありますが、本稿では「笑えぬ」笑えるエピソードを紹介します。「へー」ならぬ「えっー!?」編です。

剣士はどこだーっ?、車はどこだーっ?
 秘書室での出来事。私事ですが、私の父は40年前東京都広報室庶務課長で東知事、鈴木副知事の秘書役。私の親友に某総理秘書官、某省秘書課長などいました。上司の仕事がスムーズに運ぶのは当たり前、その裏に大変な苦労がと拝察します。
 1年前剣道大会で挨拶を依頼され、秘書から渡されたメモに従い会場に行きました。時間ぎりぎりです。体力・気力十分(1500m6分台)。 階段を2段跳びで一気にメモ指示の5階(体育館ですから住宅の8階相当)へ時間通り到着。ところがー、誰もいない。「剣士はどこだー!」と心の中で大騒ぎ。再び、階段を2 段跳びで1階へまっしぐら、管理事務所で会場が別棟1階と確認、ハーッハーッと会場へ走りこむ。ちょうど国家斉唱中。昔習った出産立ち会いのラマーズ法の呼吸法が役立った。「ヒーッヒーッフー」と呼吸を整え来賓挨拶をしました。
 出張の朝予定の8時に公用車が来ない。10分経ち、遅れるといけないのでタクシーで空港へ。帰りもタクシーです。運転手に事故がありました。翌日、秘書にタクシーの領収害(1万4000円)を渡すと、秘書曰く「区長は公用車が用意されているのでタクシー代は出ません」。「えー!?」「今回はいいから次に事故が発生しタクシーを使うことを想定し、区長のタクシー利用のルールを作成せよ」と指示。が、退任までルール案の提示は無し。
 3年前フランス外務大臣からパリヘの招聘状を受け取りました。秘書は「公務でなく私用で行って下さい」と。一国の大臣からお招きが公務でないと言うのは理解できないが、国際派区長として今後類似ケースを想定し、公務海外出張のルールを作れと指示。が、これも退任まで提示無し。外務大臣から依頼された用件を済まし、3日間の滞在中自ら入れたアポで、パリの市営住宅を4件(計画予定の区立住宅の参考)、新幹線駅周辺の開発(品川駅周辺計画の参考)、新しい公園の視察、パリ市役所で景観行政(景観行政の参考)、某機関でフランスの地方自治(都区制度の参考)、OECD(経済開発協力機構-機関銃を持つ警官が警備)で大都市政策についてヒアリング(都心問題の参考)、ルーブル美術館館長表敬訪問(港区にルーブルの出先がある)の仕事を精力的にこなし、帰国後100頁ほどの報告書を作成。幹部職員に回覧しました。

ゴゴーン!絶句
 「セクレタリー」は「シークレット(秘密)」を「守る人」でセクレタリーです。ところがシークレットがリークされました。セクレタリークと呼びたい場面。某議員がとある私の会合の日時、場所、相手側、会費、メニューまで知っていたので驚き、秘書部署に聞いたら「しゃべりました」。「えーっ!」五言絶句ならぬ「ゴゴーン!」「絶句!」。情報公開の時代ですから請求があれば担当部門が応じるのは当然として、秘書本人は絶対に口が堅くなくてはいけません。その後は例えば親友の政党幹部、東京都、中央省庁の局長などと会う場合、あらぬ噂を立てられてはいけないので自ら日程調整しました。前回の記事のように公正取引委員会から電話をもらう場合、コードネーム(偽名)でお願いしました。
 03年2月、教育委員会幹部に基本計画計上の06年港区立インターナショナルスクール実現のため、構想、工程など資料作成をお願いしました。打ち合わせの度どうなったか尋ねると「はい早急に」の繰り返し。私の腹の中でつけたあだ名が「早急さん」。退任時の04年6月わずか3 ページの資料が手渡された。「えーっ!」。民間企業なら即配置転換。下手すればクビ。

マニエリスム(前例)の守護者
 退任の日、自らブロデュースして、閉庁後の5分間、区役所ロビーで自らピアノ演奏し職員と港区歌を合唱し、お世話になった気持ちとして、私から職員に花束を贈呈しようと企画。担当課長に庁舎ロビーの使用願を出し、ピアノ所有者に許可をもらい、ピア丿運搬調律費用は全て私の個人負担としました。ところがある部長が「(野党系の)X党とY党の幹亭長から『そうしたセレモニーはしないよう』と言われました。前例が無いことはしないで下さい」と私に伝達。楽しく有終の美を飾ろうとのささやかな試みにミソを付けられました。「前例が無い」と言う台詞は幹部公務員にとりタブーです。頑迷固陋(理工学部出身でも4文字熟語を知ってますぞ)マニエリスム(前例)の守護者。直ちに組合委員長を区長室に呼び、ことの経緯を説明し、今後上司から新たな仕事を命ぜられたら「前例が無いことはしません。部長のお言葉です、と命令を拒否しろ」と伝え、セレモニーを断行しました。妻と娘も呼び(私の人生観です)、300人の職員がロビーに集まり、港区歌の大合唱。職員に感謝。
 『北北西に進路を取れ』という映画がありましたが、一部幹部職員は南南西に進路を取れとばかり(区庁舎の重心から見て議会棟の方角)一部長老議員に過剰反応。議員多選の弊害を感じました。

 (前港区長 都市政策研究所・工学博士)

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