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讀賣新聞 2006年(平成18年)3月2日(木曜日)

論 点
談合の根絶 外部監査で公正性確保
原田 敬美 (都市政策研究所長)


 成田空港会社や防衛施設庁などで相次ぐ談合事件に憤りを覚える。私は2000年から4年間、全国初の建築家首長として東京・港区長を務め、入札談合の一掃に取り組んできた。そこで学んだことは、談合を根絶するには、徹底したチェック(監査)しかないということだ。
 港区は現在、契約書に「談合が発覚した場合、契約額の20%の違約金を徴収し、3年間指名停止処分とする」という全国で最も厳しい罰則規定を設けている。さらに、官工事の予定価格を事前公表し、指名競争入札を廃し自由応募制にしている。ここでは、そうするに至った経緯と理由を説明したい。
 区長に就任した直後の同年6月議会で、福祉施設建設を巡る談合情報がもたらされた。
 その構図は、公的資金で再生したゼネコンA社が、受注するために設計の段階から関与しようとして、B設計事務所に予定価格の1割以下で落札させ、差額の9割をA社が補填する計画を立てたが、B事務所はA社より経営状態のいいC社に同条件で工事の受注を依頼して落札する――との内容だった。
 入札には16社が参加し、情報通りC社が予定価格の96.6%という高値で落札した。談合は予定価格と同額、もしくは同額に近い金額で落札するため税金の無駄使いであり、犯罪だ。
 建築家区長として、談合の撲滅や契約制度の適正化に取り組んだが、驚いたのは、契約にかかわる幹部職員の無関心だ。中には、「区民の関心は教育や福祉政策で、談合問題に関心はありません」などと“忠告”に来る幹部までいた。区議や関係者からの嫌がらせは茶飯事で、4年間の在任中、契約担当の課長4人を交代させた。
 港区では当時、設計や積算に詳しい自分が指摘する以外、談合をチェックする機能が働かなかった。監査委員会や公金支出について審査する区議会の決算委員会、契約案件を審査する総務委員会が開かれても、高額落札についての質問は無かった。ベテラン区議が監査委員で、しかも決算委員会の委員長とあっては、監査済みの案件に文句は言い出しにくい。日ごろ、税金の無駄使いをチェックすると息巻いていた野党系の議員も、高値落札についてはひと言も発しなかった。
 結局、最後の手段で、談合疑惑を公正取引委員会に通報したが、何の返事もなくがっくりさせられた。談合防止策として、全国で最も厳しい規定を設けたのは、このような経緯があったからだ。
 提案したい。全国の自治体首長は選挙公約であるマニフェストに、「談合情報があったら自ら公取委に告発する」と宣言すべきだ。首長は公正な事業を執行するために外部の専門技術者を非常勤監査人に任命し、積算の妥当性や契約の公正性を監視することで、談合など不適切な契約を排除できる。中央省庁の場合、会計検査院があるが、細かい検査は不可能だろう。各省庁で大臣が非常勤の技術監査人を任命し、権限を与えて活用すれば、地方自治同様の成果が期待できるはずだ。

前港区長・工学博士・56歳

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