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「地方議会人」2002年3月号 p6〜7

地方自治に思う
セカンド文化の提案 -大都市と地方の町村との補完関係の確立をー
原田 敬美 東京都港区長


 港区は首都東京の都心に位置しています。夜間人口は16万2千人、それに加えその約1割の数の外国人が居住し、合計約18万人です。昼間人口は85万人です。多くの大企業の本社、ファイナンシャルセンターが立地しています。民法テレビ局は全て港区内に立地しており(日本テレビは現在工事中です)、東京タワーがあり、港区は情報発信基地です。国家歳入のおよそ5%が、東京都の歳入のおよそ11%が港区から供給されています。
 開発動向で見ますと、現在、品川駅東口地区(新幹線品川駅が来年開設予定です。品川駅は港区です)。汐留地区、六本木六丁目地区などで開発が進んでおります。その結果、数年後には外国人居住者を含めた夜間人口が20万人、昼間人口は百万人になろうとしています。
 ところで、大都市の都心区は地方の町村の皆さんのお陰で成立しています。
 まず、歴史的に見ると、江戸時代には現在の港区に相当する地域に多くの大名屋敷がありました。参勤交代の制度で各藩から多くの江戸詰めの家臣が勤務生活をしていました。田舎からの仕送りが、普請や消費をとおして江戸を発展させ江戸の経済を活性化させました。
 時を経て、1960年代から70年代の高度成長期、地方の町村は日本の経済建設のため、若くて優秀な労働力を大都市東京に供給しました。当時の流行歌に、「東京だよおっかさん」、「僕は泣いちっち」、「ああ上野駅」、「東京砂漠」などがあります。地方から東京に集まった若者の思いをつづった内容です。東京は経済建設のための仮住まい「飯場都市」となりました。港区内在住者に出身地あるいは御先祖様の出身地を尋ねると、おそらく殆ど全国の町村をカバーするのではと思います。港区は全国市町村の縮図と言えます。
 今日、日本は成熟社会の段階に達し、東京を故郷とする都民が殆どを占めるようになりました。その中で都心区は世界経済を牽引するだめの力を持つようになりました。30年程前までは、アメリカがくしゃみをすると日本が風邪をひくと言われていましたが、現在、日本がくしゃみをすると世界経済が風邪をひくと言われる経済レベルになりました。六本木のカフェバーで為替ディーラー同士が明日のドル相場をどうするか、日銀、商社、シンクタンクの調査員等から聞き出した情報をヒソヒソ話をし、円ドル相場を決めているかもしれません。
 昼間百万人が仕事をし、夜20万人が生活できる背景の一つは、電気や水が安定的に地方の町村から供給されているからです。
 給水の1日平均量は東京23区で340万立法メートルになります。水源地は東京多摩地域から山梨県、群馬県、栃木県、埼玉県、千葉県の農山村地域です。
 電気について、港区内の夏場1日平均の使用量は80万KWから90万KWです。23区ではトップクラスの使用量です。23区全体の使用量は千万KW強で、その7%を占めています。電源地域は新潟県柏崎刈羽などで、送電線経路は、新潟県、群馬県、長野県、埼玉県などです。
 以上述べましたように、港区をはじめ大都市の都心区は「金」「人」「物」(水、電気、農産物等)を地方の町村から長い間継続的に供給して頂きました。
 さて、一つ提案をします。セカンド文化です。大都市と地方の関係は対立ではなく補完です。誤解が無いように付け加えますが、ここで言うセカンドとは二位とか次に位置するという意味ではなく、「補完」という意味です。都市人口は80%を占めるようになりました。都市が成熟化し、都市に生活する人は都市に欠けている物、たとえば、自然、伝統文化、やすらぎ、精神などを地方の町村に求めるでしょう。セカンドライフ、セカンドハウス、セカンドスクールです。
 セカンドライフは大都市での生活に疲れた人を癒すリゾートライフです。大都市の高密度空間から移動し、自然豊かな農山村や海辺、温泉地でゆっくり時を過ごし、その土地の特産品を楽しみ、英気を養います。
 セカンドハウスは、農山村で第二の住宅を購入しさらに積極的にセカンドライフを実践することです。晴耕雨読の生活を楽しみます。
 セカンドスクールは、大都市の小中学生徒が一週間程度地方町村の学校に体験留学し、そこで学んだ内容が正規の単位となる仕組みです。大都市の学校生活では味わえない豊かな自然の中での集団学習です。東京武蔵野市ではすでに実施中です。
 その際、大都市には無い美しい里山、田圃、緑、水辺の風景を徹底して創り出すことが重要です。特に自然の中に建つ建築は自然との調和という景観上の配慮が必要です。
 地方の町村の皆様の英知でそうした新たな需要に対応できるシステムを作っていただきますよう大都市都心区からお願いします。


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