昨年アメリカの専門誌を見ていたらアメリカのエンジニアの年収は1500万(正確には地域でのバラつきがありますが)と紹介されていました。国土交通省の技術者の単価表を見ると、50代から60代の経験技術者の1日の報酬は6万円以上。経費を120%とすると合計で1日13万2千円です。国土交通省の報酬基準に基づくと、アメリカのエンジニアとほぼ同額となります。
自治体の工事監査などの支援活動を仲間とNPO組織を作り実施しています。自治体ですから原則入札で担当組織が決まります。大阪に拠点を持つ2つの類似組織があります。驚いたのは、その組織が1日当たりの技術士の経費込みの報酬を5万円、6万円で応札することです。半値です。実際3日かかる仕事です。仮に6万円で落札すると、1日当たりの技術士の取り分は1万円程度でしょう。学生のアルバイト並みです。
建築事務所も同様です。予定価格の50%、あるいは30%で入札、落札しているところもあります。まともな仕事ができないと思います。どこかにしわ寄せが生じると思います。私が港区長に就任する直前、8000万円の予定価格の設計業務を700万円で落札した設計事務所がいました。まともな仕事ができるはずがありません。余談です。その案件について、私は、納品後の図書をチェックしました。やはり、想像した通り、大幅に修正指示を出しました。港区の施設課職員はチェックをしていませんでした。ちなみにその設計事務所の経営者は後年建築事務所協会の幹部に就任、会合で「建築士は倫理観を持ち仕事をしましょう」と挨拶、発言。自己矛盾だらけ。反省はしていないようでした。
プロとして、報酬は能力、責任を反映した内容でないといけません。