40年前、建設省の建築研究所に少しの期間アルバイトをしました。そこで見聞きしたことで強く問題を感じたことがありました。建築研究所の部長S氏と私の友人H君が連名で都市計画学会に学術論文を提出、審査で合格、学会誌に掲載されました。実質の作業はH君がすべてやりました。S部長は単にコメントするだけでした。当時の私のレベルからすればH君の学会論文が掲載されたことは凄いことと思いました。しばらくしたらS部長は審査合格し掲載された学会論文をまとめ東京大学に提出、博士号を取得、筑波大学教授に就任、転職しました。自ら作業をせず、他人にすべてさせて成果を全て自分のものにするやり方はずるいと思いました。
私も学会審査付き論文を書き、博士論文にまとめ上げた体験からすると、アイデアは基本的に私自身が作成し、適宜、若手教授たちから助言をいただきました。作業はほとんど自ら担当しました。私の博士論文を審査いただいた当時の横浜国立大学教授小林重敬先生によると、審査の根本的基準①アイデアが本人のものであること、②データ収集が本人がしたもの、③分析作業が本人によるもの、が内容の審査に入る前の重要な確認事項だと説明を受けました。当然、私の博士論文は全て私の創作物であり、私の作業(若干の手伝いはしてもらいましたが)です。
建築研究所部長、その後、筑波大学S教授の博士論文はその人物の論文ではありません。アルバイトの搾取です。40年前はそのような無法が著名大学で許されたのでしょう。
私は一匹狼(本当はヒツジ)ですが、22歳から現在まで500本の論文、小論を書きました。内、審査付き論文は9本書きました。全て自分のアイデア、自腹です。大学教授は学生に授業料を払わせ、卒論指導という名目で学生にデータを集めさせ、卒論を書かせ、その先頭に教授の名前を掲載している方が多いですが、許し難い行為です。欧米には学生を教授の研究活動に利用する仕組みはありません。欧米でそうしたことをしたら裁判で大学教授と学長は授業料返還を求めまた、搾取されたと訴えられます。